西川和久の不定期コラム
キヤノン EOS-1D MarkIIで夏休み!
佐藤万葉
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前回は“海!”って感じの夏休みパターンを撮ったが、今回は伊豆の温泉でちょっと渋い雰囲気を狙ってみた。
使ったカメラはキヤノン EOS-1D MarkII。800万画素のデジタル一眼レフカメラだ。同じくEOS-1Dsと並びデジタル一眼レフカメラとしては最上位機種にあたる。
カメラのセッティングをコントラストLOW、シャープネスLOW、JPEG/AdobeRGBとしている関係上、Photoshopを使い、トーンカーブとシャープネス、sRGBへの色空間変換などを行なっている。また、サーバーの負荷を考え、800万画素フル画像は各シーン1枚。その他は400万画素相当になっている。予めご了承頂きたい。
Text by Kazuhisa Nishikawa
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●久々に触るキヤノンのデジタル一眼レフ
筆者は、同社のEOS DCS 3c(135万画素)や1c(600万画素)という、液晶ディスプレイは無し、バッテリーは内蔵で切り離しできない、赤外線&ローパスフィルタ無し、メディアはTypeIIIのHDD、CCD RAWのみ……と言った今のデジタルカメラとは程遠いカメラを触ったのがきっかけで現在に至っている。もともとはキヤノンユーザーなのだ。
当時ズームレンズが主体であったが、取材系を撮らなくなってから単焦点レンズを使うようになった。F2.8から始まるズーム大三元(EF16-35/24-70/70-200mm F2.8L USM)と比較しても、写りは単焦点の方が良く、サイズもコンパクトで持ち運びが楽。特にポートレートに関しては撮影者が動けばいいのでズームの必要性を感じない。
今回使用したレンズは、EF24mm F2.8、EF35mm F2.0、EF50mm F1.4 USM、この三本。EF85mm F1.2L USMも持っているが、残念ながら故障中で今回は使えなかった。カメラの設定は、屋内ISO200、屋外ISO100、ホワイトバランスは全てDaylight固定である。以下、浜辺での3カットがちょうど全てのレンズを使っているので参考にしてほしい。左上から50mm、24mm、横位置が35mmである。
ここ数年間仕事ではニコンばかり使っている筆者であるが、最後にデジタルEOSを集中して使ったのは、岡倉あゆ2nd写真集「たわわ」(ぶんか社)を撮ったときで、このときはEOS-1DとEOS D60だけで撮影した。従ってまとまった撮影は2002年以来2年ぶりということになる。もちろんKiss DigitalやEOS 10Dも少しは使っているものの、撮影枚数は数百枚のレベルだ。
同社のデジカメはDIGICを搭載してからコンパクトから一眼レフまで非常に安定した発色で、同じメーカーなのに機種によって色の傾向が違うと言う他社にありがちなパターンはみられない。ただ筆者の場合、ハイエンドに関してはそのDIGICカラー自体とCMOSのイメージャがあまり好みではなく、ニコン D1/D1Xへ浮気してしまっただけに、このEOS-1D MarkIIの写りがどうなのか!? 興味津々と言った感じだ。
●実際使っての感想
メカとしてのEOS-1D MarkIIは文句無しだ。撮っていて非常に気持ちいい。ファインダーの見え具合、シャッター音、AFなど各作動速度、流石に最高峰のカメラだけある。非常に撮影能力の高いカメラと言えよう。
バッテリーの持ちも抜群。予備も含め三本持っていったが結局1,000枚以上撮影しても一本で済んでしまった。更に一般的なAPS-Cサイズよりもイメージャが大きいため、画角は約1.3倍となり、今回のケースだとそれぞれ約31mm/約45mm/約65mmとなる。多くの1.6倍系のデジタル一眼レフよりレンズが有効に使えるのもメリットだ。
デジタル部に関してはEOS-1Dsから改良された部分がある。それは600万画素モードの搭載である。EOS-1Dsが出た時、筆者が「何時も1,110万画素は必要なく、といって一気に約270万画素に落ちるのは不満。600万画素相当もほしい」と言ったのが組み込まれ嬉しい限りだ。用途に応じて解像度を実用範囲で変更することができ、メディア効率や後の作業が楽になる。
ただ良いことばかりではない。第一に重い。筆者は日頃の撮影でけっこう鍛えている方だと思うが、それでも重たく感じる。特にこの風呂場のシーンは落とさないか!? と冷や冷やしながら撮影した。仕事であれば写り優先で重たい機材でも何とかするものの、趣味で使うにはちょっと辛いかも知れない。
次に、再生時に液晶ディスプレイで表示する明るさ・コントラストと、実画像の明るさ・コントラストに違いがあることだ。調整してもうまく行かず、全体的にコントラストが浅めに表示される。前モデルに相当するEOS-1Dではどうだったか? 数年前の話なので記憶は定かではなく、ヒストグラム表示もあるので慣れてしまえば問題ないだろう。この件をメーカーに確認したところ、カラーマトリクス4(AdobeRGB)で撮影した場合、カメラ上ではsRGBとして表示するのでこのような現象になるそうだ。ただニコン D1Xの場合、ここまで差は出ないので技術的に可能であれば何とかしてほしいと思う。
また、AdobeRGBでは肌色の好みからすると気持ち赤が不足気味。このため掲載した写真はトーンカーブの赤チャンネル真ん中をほんの少しだけ持ち上げている。色に関してはやはり良くも悪くもDIGIC色。しかし、いろいろなパラメータやトーンカーブセット、カラーマトリクスをカメラへ設定できるので、ユーザーの好みに色調を変化させることができる。ハイエンドだけあって、たかだか数日触っただけでは本領を発揮しない。使いこなしが重要だ。時間があれば是非挑戦したい。
●総論
千人風呂がある金谷旅館
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今回は伊豆下田にある金谷旅館の部屋と千人風呂、その近くの多々戸浜で撮影した。夕景の浜辺が曇っていて狙った絵が撮れなかったのは少し残念ではあるものの、何時も江ノ島近辺で撮っているので新鮮で面白かった。また機会があれば伊豆まで行ってみたい。
さて、筆者のメインカメラであるボロボロのニコンD1Xだ。D2X(仮称)が出ない限り買い替え最有力候補のEOS-1D MarkIIは実際使った感じ非常にいい。色やコントラストに関しては先に書いたように現像パラメータを好みに設定すれば何とかなりそうな雰囲気だ。後は予算……。頑張って稼ぐしかないな!?
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(2004年8月6日)
[Text by 西川和久]
PC Watch編集部
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