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駒村商会 ローライフレックス ミニデジ



 ローライフレックスは'29年にドイツで誕生した6×6判の二眼レフだ。ファインダー用ビューレンズと撮影用レンズが二段重ねになった独特のスタイルがカメラファンの心を魅了し、世界中に二眼レフブームを巻き起こした。誕生から70年以上たった今でも根強い人気を誇り、中古カメラ市場でも高価で取り引きされている。また現在でもローライフレックス2・8FX、ローライフレックス4・0FWの2機種の製造が続けられている。

 「ローライフレックス ミニデジ」は、日本におけるローライフレックスの輸入元である駒村商会がプロデュースしたデジタルカメラだ。


●オリジナルのローライフレックスを忠実に再現

 ローライフレックスミニデジ(以下ミニデジと表記)の最大の特徴は、オリジナルのローライフレックス(以下ローライフレックスと表記)を忠実に再現したスタイルである。

 もう少し詳しく説明すると、ミニデジはローライフレックスの黄金時代ともいうべき'60年代に発売されていたローライフレックス2.8Fをモデルにしている。ミニデジのボディはやや縦長だが、巻き上げクランクやピント合わせノブのデザインなど、よくここまで似せたものだ。すべての操作部がデジタルカメラの機能として使われているわけではないが、シャッターボタンボタンの位置はまったく同じだし、オリジナルでシンクロ接点がある位置は、撮影モードと再生モードを切り替えるスイッチになっている。

ミニデジ(左)とオリジナルのローライフレックス2.8F。細部に至るまで忠実にコピーしている 左下のシャッターボタンはオリジナルと同じ。右側のモード切替ボタンは、シンクロ接点を利用している。絞りダイヤルやシャッターダイヤルはダミー

 さらに心憎い演出と言えるのが巻き上げクランクだ。ミニデジはデジタルカメラだからフィルムの巻き上げは不要だが、ローライフレックスと同じようにクランクを一回転させないと、シャッターが切れない構造になっている。単純に考えると無駄な操作だが、これはローライフレックスには欠かせない大切な儀式だ。この点には遊び心が強く感じられる。

 ただしミニデジのシャッターストロークは深めでシャッターの切れるタイミングがつかみにくい。せっかくここまでやったのだから、このあたりのフィーリングにもう少し気を使って欲しかった。

単三型乾電池と比較。ミニデジの実際の高さは73mm シャッターを1回切った後、写真の位置まで巻き上げクランクを巻き上げないと次のシャッターが切れない。デジカメの機能とまったく関係なく、ローライらしさを演出することが目的である

●ウエストレベルファインダーを装備

 ローライフレックスは、上段のレンズから入った光をミラーで90度折り曲げ、水平に配置されたフォーカシングスクリーンに像を結ぶ仕組みだ。したがって使用者はスクリーンを上から覗き込むスタイルで構図を決めたりピントを合わせたりする。

 これに対しミニデジは、ローライフレックスと同じ位置にLCDパネルを配置。ローライフレックスとまったく同じ姿勢でカメラを構えることになる。つまり必然的にカメラアングルが下がるうえ、カメラマンは下を向いて撮影することになる。これがいわゆるウェストレベルファインダーでローライフレックスの醍醐味とも言える撮影スタイルである。

 ウェストレベルは、ローアングル撮影がしやすい、人物を撮影するときなどカメラマンの視線が人物と正対しないので自然な表情が撮影できるなど、いろいろなメリットがある。また今回、作例としてお見せしているスナップなどでは、撮影していることを相手に気付かれずに済む。もちろん盗み撮りに使うことは厳禁だが、これまでのデジカメにない違った世界を体験できる。

 なおミニデジの上段のレンズはダミーである。またローライフレックスのファインダー像は左右逆像だが、ミニデジは正像なので初心者にも使いやすい。ただしLCDのサイズが0.9型なので、被写体の細部を見ることはできない。

折り畳み式のピントフードを開くとLCDパネルが現れる。撮影のときは、胸の高さに構え、上からパネルを覗き込むスタイルになる ピントフードの折り畳み型もオリジナルと同じだ
LCDパネルは0.9型と小さく、それほど見やすくない ピントフードのフラップを跳ね上げて使うスポーツファインダーも再現されているが、残念ながら視野と撮影範囲は一致しない

以降に掲載する作例のリンク先は、撮影した画像データそのものです(ファイル名のみ変更しました)。
特に記載がない限り、クリックすると1,760×1,760の画像が別ウィンドウで表示されます
ミニデジのウェストレベルファインダーはペットをローアングルで撮るのに最適だ。しかしスペック上は0.7mからピントが合うことになっているが、実際には、3mくらい離れないとピントが合わなかった となりのエスカレーターに乗った女性をスナップ。カメラを胸の高さに構えて下を向いていると、まったく気付かれずに撮影することができる

●長めの立ち上がり時間

 スイッチを入れてからカメラが立ち上がるまでの時間は、はっきり言って長い。スイッチを入れると3秒ほどで「WELCOME」という表示が出て、撮影準備が整うまでさらに2秒ほど待たされる。画像の書き込み時間も長めでHモードで約7秒ほど時間が掛かる。再生モードは1コマずつ手動で再生する方式である。

 電源はCR2型リチウム電池をボディ底部に1個収納。約2時間の連続使用ができる。

 解像度の切り替えや再生時のコマ送りなどはボディ背面にある3つの押しボタンで操作する。このボタンはローライフレックスになく、ミニデジで新設されたものだ。

ミニデジだけにある3つの背面ボタン。画像の再生や解像度の設定などに利用する 電池と記録メディアはボディ底部の蓋を開いて収納する。電源はCR2リチウム電池1個。メディアはSDまたはMMC

●正方形フォーマットを採用

 ミニデジはローライフレックスと同じ正方形の画像が撮影できる。デジカメとしては、とても珍しいフォーマットだ。このフォーマットは、長方形の画面を見慣れた眼で見るとたいへん新鮮に見える。慣れないと構図の決定が難しいが、この点もローライフレックスと共通した楽しみと言えるだろう。

 なおミニデジのLCDパネルはやや縦長の長方形。残念ながら実際に記録される画像の左右が少しカットされた形になってしまう。

 イメージセンサーは200万画素のCMOSを採用。解像度はH(1,760×1,760ピクセル 画像補完)、N(1,200×1,200ピクセル)、L(600×600ピクセル)の3段階。作例を見れば分かる通り、それほど画質は高くないが、あくまでもこのカメラのコンセプトは、二眼レフの撮影感覚を手軽に楽しむこと。画質の善し悪しを論議するカメラではない。

●画角はローライフレックスと同じ

 レンズは9mm(ただしPhotoshopで見たExifデータは10.8mmと出る)F2.8で5枚構成。レンズの構成枚数は意外と多い。画角は公表されていないが、プラナー80mm付きのローライフレックスにかなり近い。

 絞りは常時開放で、電子式シャッターで露出を調節する方式だ。ピント合わせは固定焦点で、カタログスペック上は0.7m〜無限遠までピントが合うことになっているが、実際には近距離がかなりボケる。

 面白いのはカメラブレを起こすと画像が波打ったように写ることだ。恐らく上下に画像をスキャンして記録しているので、こんな現象が起こるのだろう。怪我の功名のような使い方だが、敢えてこの性質を利用すると不思議な写真が撮れる。

中間調の色再現はあまり良くなく、原色がベタッとした感じに再現される。ジャギーもかなり目立つ ホワイトバランスはオートのみだが、比較的イメージ通りの色に写るようだ
露出補正機構も付いていないので、このような条件では露出オーバーぎみになってしまう カメラぶれを起こして偶然写った不思議な写真。もちろん実際の柱は真っ直ぐ立っている。恐らく縦方向に画像をスキャンして記録しているので、こんな現象が起こるのだろう

画質H(1,760×1,760ピクセル)で撮影 画質N(1,200×1,200ピクセル)で撮影 画質N(640×640ピクセル)で撮影

 すでに説明したように、ミニデジの開発コンセプトは二眼レフの楽しみを手軽に味わうことだ。したがって撮影した結果よりも、操作部の仕様や、首から下げて歩くだけで注目されるデザインなど、従来のデジカメとは違った視点で作られている。決して高画質ではないが「デジカメでお洒落に遊ぶ」には、最適なカメラと言えるだろう。

 とにかく実際に使ってみて、何よりも魅力に感じたのは、ウェストレベルファインダーと正方形の画面だった。もし次の製品が企画されるのなら、高画質の映像が撮れる本格的な二眼レフタイプの製品を期待したい。

□駒村商会のホームページ
http://www.komamura.co.jp/
□製品情報
http://www.rollei.jp/pd/MiniD.html
□関連記事
【3月5日】ローライタイプのミニチュアデジカメ「MiniDigi」
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2004/0305/komamura.htm

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(2004年7月6日)

[Reported by 中村文夫]


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