COMPUTEX TAIPEI 2004会場レポート【COMPUTEXビデオカード図鑑】

【ATI/S3/XGI 編】PCI Expressネイティブ対応を多数展示


会場:Taipei World Trade Center Exhibition Hall 1/2/3
   Taipei International Convention Center
会期:6月1日~5日(現地時間)


 IntelがPCI Express対応チップセットIntel 925X/915の詳細を明らかにしたことで、いよいよPCI Express時代の幕が開いた。PCI/AGPからPCI Expressへの移行はバスアーキテクチャの大きな変化であり、マザーボード側だけでなく、ビデオカードや拡張カード側での対応も必要になる。中でも、重要度が高いのがビデオカードである。

 NVIDIAは、すでにAGP-PCI Expressブリッジチップを利用することで、PCI Expressへの対応を表明していたが、COMPUTEX会期中にATI Technologiesが、PCI Expressにネイティブ対応したRADEON X800/X600/X300シリーズを発表し、PCI Express対応製品でも両者の激烈な戦いが始まった。今回のCOMPUTEXでは、各ビデオカードベンダーが多数のPCI Express対応製品を出展しており、来場者の高い関心を集めていた。

 そこで、PCI Express対応製品や最新チップ搭載製品を中心に、COMPUTEXで展示されていたビデオカードを紹介していくことにしたい。

【ATI Technologies】PCI Expressへのネイティブ対応でNVIDIAを先行

 ATI Technologiesは、今回のCOMPUTEXにタイミングをあわせて、PCI Expressのネイティブ対応したRADEON X800/X600/X300シリーズを発表した。その発表会の様子については、「ATI、PCI Expressネイティブ対応GPUの発表会を開催」でレポートされているので、詳しくはそちらをご覧いただきたい。

 今回発表されたPCI Express対応製品は、RADEON X800 XT Platinum Edition、RADEON X800 XT、RADEON X600 XT、RADEON X600 PRO、RADEON X300、RADEON X300 SEの6製品だが、COMPUTEX会場では、RADEON X800 PRO搭載と称したPCI Express対応製品もいくつか出展されていた。RADEON X800シリーズは、AGP版もPCI Express版も同じ名前なので非常に紛らわしいが、AGP対応版では外部電源コネクタが必要なのに対し、スロットからの電源供給能力が大きいPCI Express版では、外部電源コネクタが省略されていることにも注目してほしい。

 それでは、PCI Express対応版や最新のRADEON X800シリーズ搭載製品をまとめて紹介する。型番や特徴については、それぞれのキャプションを参考にしてほしい。

ABITのRADEON X800 XT搭載ビデオカード「RX800 XT-PCIE」。PCI Expressに対応する。ビデオメモリは256MB ABITのRADEON X800 PRO搭載ビデオカード「RX800 Pro-PCIE」。PCI Expressに対応する。ビデオメモリは256MB ABITのRADEON X600 XT搭載ビデオカード「RX600 XT-PCIE」。PCI Expressに対応する。ビデオメモリは128MB
ABITのRADEON X600 PRO搭載ビデオカード「RX600 Pro-PCIE」。PCI Expressに対応する。ビデオメモリは256MB ABITのRADEON X300 SE搭載ビデオカード「RX300 SE-PCIE」。PCI Expressに対応する。ビデオメモリは128MB ABITのRADEON X800 XT搭載ビデオカード「RX800 XT」。ビデオメモリは256MB
ABITのRADEON X800 PRO搭載ビデオカード「RX800 Pro」。ビデオメモリは256MB ASUSTeKのRADEON X800搭載ビデオカード「Extreme AX800」。PCI Expressに対応する。ビデオメモリは256MB ASUSTeKのRADEON X600 XT搭載ビデオカード「Extreme AX600XT」。PCI Expressに対応する。ビデオメモリは128MB
ASUSTeKのRADEON X300搭載ビデオカード「Extreme AX300」。PCI Expressに対応する。ビデオメモリは128MB ASUSTeKのRADEON X800 XT搭載ビデオカード「AX800XT」。こちらはAGP版。ビデオメモリは256MB ASUSTeKのRADEON X800 PRO搭載ビデオカード「AX800PRO」。ビデオメモリは256MB
ASUSTeKのRADEON 9550搭載ビデオカード「A9550 Gamer Edition」。ビデオメモリは128MB。メモリバス幅が128bitで、64bitの製品よりも35%高速である JetwayのRADEON 9800 PRO搭載ビデオカード「X8PR-AV-256D」。ビデオメモリを256MB装備。コアクロックは475MHz JetwayのRADEON X600 PRO搭載ビデオカード「X6PR-EV-256D」。PCI Expressに対応する。ビデオメモリを256MB装備。コアクロックは400MHz
JetwayのRADEON X800 PRO搭載ビデオカード「X8PR-EV-256D」。PCI Expressに対応する。ビデオメモリを256MB装備。コアクロックは475MHz JetwayのRADEON X300 SE搭載ビデオカード「X8PR-EV-256D」。PCI Expressに対応する。コアクロックは325MHz。ビデオメモリを64MB装備。メモリバス幅は64bit Tul CorporationのRADEON X300 SE搭載ビデオカード「PowerColor X300 SE PCI/E」。PCI Expressに対応する。コアクロックは325MHz。ビデオメモリを128MB装備。メモリバス幅は64bit
Tul CorporationのRADEON 9550搭載ビデオカード「PowerColor 9550 SE」。コアクロックは250MHz。ビデオメモリを128MB装備。メモリバス幅は64bit Tul CorporationのRADEON 9550搭載ビデオカード「PowerColor 9550」。コアクロックは250MHz。ビデオメモリを128MB装備。こちらはメモリバス幅が128bitとなっている Tul CorporationのRADEON X300 搭載ビデオカード「PowerColor X300 PCI/E」。PCI Expressに対応する。コアクロックは325MHz。ビデオメモリを128MB装備。メモリバス幅は128bit
Tul CorporationのRADEON X600 PRO搭載ビデオカード「PowerColor X600 PRO PCI/E」。PCI Expressに対応する。コアクロックは400MHz。ビデオメモリを128MB装備。メモリバス幅は128bit。クーラーには蜘蛛をイメージした飾りがつけられている Tul CorporationのRADEON X600 XT搭載ビデオカード「PowerColor X600 PRO PCI/E」。PCI Expressに対応する。コアクロックは500MHz。ビデオメモリを128MB装備。メモリバス幅は128bit。クーラーには蜘蛛をイメージした飾りがつけられている Tul CorporationのRADEON X800 PRO搭載ビデオカード「PowerColor X800 PRO」。コアクロックは475MHz。ビデオメモリを256MB装備。メモリバス幅は256bit
Tul CorporationのRADEON X800 XT搭載ビデオカード「PowerColor X800 XT PLATINUM EDITION」。コアクロックは520MHz。ビデオメモリを256MB装備。メモリバス幅は256bit Triplex CorporationのRADEON X600 XT搭載ビデオカード「Para-souls X600」。PCI Expressに対応する。ビデオメモリは256MB版と128MB版がある Triplex CorporationのRADEON X800 XT搭載ビデオカード「EYE・BOMB」。ビデオメモリは256MB
Info-Tek CorporationのRADEON X600 XT搭載ビデオカード「RADEON X600XTGU-C2 Xtreme」。PCI Expressに対応する。ビデオメモリは128MB Info-Tek CorporationのRADEON X800 XT搭載ビデオカード「RADEON X800XT256」。ビデオメモリは256MB Info-Tek CorporationのRADEON X600 PRO搭載ビデオカード「RADEON X600PROG-C3」。PCI Expressに対応する。ビデオメモリは128MB
Info-Tek CorporationのRADEON X300搭載ビデオカード「RADEON X300-C3」。PCI Expressに対応する。ビデオメモリは128MB。メモリバス幅は128bit Info-Tek CorporationのRADEON X300 SE搭載ビデオカード「RADEON X300SE-C3」。PCI Expressに対応する。ビデオメモリは128MBだが、メモリバス幅は64bit FICのRADEON X800 XT搭載ビデオカード「AX800 XT」。PCI Expressに対応する。コアクロックは520MHz、メモリクロックは1.12GHz相当(DDR3採用)。ビデオメモリは128MB
FICのRADEON X600 XT搭載ビデオカード「AE X600 XT」。PCI Expressに対応する。コアクロックは500MHz、メモリクロックは740MHz相当。ビデオメモリは128MB FICのRADEON X300搭載ビデオカード「AE X300」。PCI Expressに対応する。コアクロックは325MHz、メモリクロックは400MHz相当。ビデオメモリは128MB FICのRADEON X300 SE搭載ビデオカード「AE X300 LS」。PCI Expressに対応する。コアクロックは325MHz、メモリクロックは400MHz相当。ビデオメモリは128MBだが、メモリバス幅は64bit
MSIのRADEON X600 XT搭載ビデオカード「RX600 XT-TD128」。PCI Expressに対応する。ビデオメモリは128MB MSIのRADEON X600 PRO搭載ビデオカード「RX600 PRO-TD128」。PCI Expressに対応する。ビデオメモリは128MB GIGABYTEのRADEON X800 PRO搭載ビデオカード「GV-R80P256D」。ビデオメモリは256MB
GIGABYTEのRADEON X600 XT搭載ビデオカード「GV-RX60X128V」。PCI Expressに対応する。ビデオメモリは128MB GIGABYTEのRADEON X600 PRO搭載ビデオカード「GV-RX60P128V」。PCI Expressに対応する。ビデオメモリは128MB GIGABYTEのRADEON X300 SE搭載ビデオカード「GV-RX30S128D」。PCI Expressに対応する。ビデオメモリは128MBだが、メモリバス幅は64bit
PALITのRADEON X800 PRO搭載ビデオカード。ビデオメモリは256MB版と512MB版が用意される PALITのRADEON X300 SE搭載ビデオカード。PCI Expressに対応する。ビデオメモリは64MB版と128MB版が用意される

【VIA/S3 Graphics】PCI Expressにネイティブ対応したGammaChromeの展示も

 VIA Tehnologiesの子会社であるS3 Graphicsは、DirectX 9世代のビデオチップ「DeltaChrome」シリーズに続いて、PCI Expressにネイティブ対応したGammaChromeを発表した。GammaChromeは、基本的にDeltaChromeのPCI Express版であり、パイプライン本数が8本のDeltaChrome S8に相当する製品から登場することになるようだ。

 今回のCOMPUTEXでは、VIAのブースに1枚だけGammaChrome搭載ビデオカードが展示されていたが、実際の動作デモは行なわれていなかった。GammaChrome搭載ビデオカードは2004年第3四半期に登場が予定されているが、DeltaChromeも製品の発表から実際に出荷されるまでにはかなりの期間を要したことや、今回動作デモが行なわれていなかったことを考えると、このスケジュール通り出てくるかは疑問である。

 また、DeltaChrome S4をベースにTVチューナを搭載したOmniChromeと呼ばれる製品も展示されていた。OmniChromeは、NVIDIAのPesonal Cinemaシリーズと同じコンセプトの製品であり、TV番組の視聴や録画を行なうことができる。

ネイティブでPCI Expressに対応したGammaChrome搭載ビデオカード。チップのパッケージもDeltaChromeとは変更されている OmniChrome搭載ビデオカード。DeltaChrome S4 NitroにTVチューナが組み合わされている。TVチューナユニットは、NVIDIAのPersonal Cinema FXシリーズで採用されているものに比べて大きい VIAブースに展示されていたDeltaChrome S8搭載ビデオカード。BGAタイプのメモリを採用している
VIAブースに展示されていたDeltaChrome S8搭載ビデオカード。こちらはTSOPタイプのメモリを採用している VIAブースに展示されていたDeltaChrome S8搭載ビデオカード。こちらもTSOPタイプのメモリを採用している

【XGI】年内にPCI Expressネイティブ対応の次世代チップが登場

 デュアル構成が可能なVolariシリーズを投入して話題を呼んだXGIだが、残念ながら期待したほどの性能は発揮されなかったため、市場でもあまり人気はない。COMPUTEX TAIPEIの会場でも、Volariシリーズを採用した製品はわずかしか見かけなかった。

 しかし、COMPUTEX TAIPEI会場に隣接するグランドハイアットには、XGIがスイートルームを設けており、そこでPCI Express対応品「Volari PCIE」や、現行の製品ラインアップが展示されていた。ただし、Volari PCIEは、現状のVolariとAGP-PCI Expressブリッジチップを組み合わせるというソリューションであり(つまり、NVIDIAのGeForce PCXシリーズと同じ)、PCI Expressにネイティブ対応しているものではない。

 ビデオカード上にブリッジチップも実装しているのならともかく、展示されていたのは、通常のAGP版ビデオカードに変換基板を組み合わせるという強引な状態であった。XGIの説明員にPCI Express対応への取り組みを聞いたところ、PCI Expressが急激に立ち上がるとは考えておらず、現行の世代ではPCI Express対応製品を実際に出荷する予定はないとのことだ。

 しかし、年内にも発表予定の次世代チップ「XG45」と「XG47」(ともに開発コード名)では、ネイティブでPCI Expressに対応する。XG45/XG47搭載ビデオカードは、来年早々に登場予定とのことだ。また、この次世代チップは、PCI Express版だけでなく、AGP版の製品も投入されるという。次世代チップのスペックはまだ公開できないとのことだが、このチップの投入によって、NVIDIAやATI Technologiesとの差をどこまで縮められるかによって、XGIの今後の命運が決まるであろう。

ExplorerのVolari V8搭載ビデオカード。展示品はビデオチップからヒートシンクが取り外されているが、実際にはヒートシンクが装着される。ビデオメモリは128MB版と256MB版が用意される ExplorerのVolari V3XT搭載ビデオカード。ビデオメモリは64MB版と128MB版が用意される ExplorerのVolari V3搭載ビデオカード。展示品はビデオチップからヒートシンクが取り外されているが、実際にはヒートシンクが装着される。ビデオメモリは64MB版と128MB版が用意される
XGIのスイートルームで展示されていたPCI Express対応版「Volari PCIE」の展示。展示されていたビデオカード自体は通常のAGP版Volari V8で、AGP-PCI Expressブリッジチップを搭載したカードを間に挟んで、PCI Expressスロットに接続していた。もちろん、このままの状態で発売されるわけではない。 XGIのスイートルームで展示されていたVolari V3XT搭載ビデオカード。コアクロックは250MHzで、メモリクロックは500MHz相当となる。バーテックスシェーダーとピクセルシェーダーはそれぞれ1基ずつしか搭載しておらず、性能的にはエントリーモデルに属する XGIのスイートルームで展示されていたVolari Duo V8 Ultra搭載ビデオカード。コアクロックは350MHzで、メモリクロックは900MHz相当(DDR2採用時)。デュアルチップ構成で、合計16本のピクセルパイプラインを持つ
XGIのスイートルームで展示されていたVolari XPS搭載ビデオカード。本来はノートPC などのモバイル向け製品だという。コアクロックは250MHzで、メモリクロックは500MHz相当、バーテックスシェーダーとピクセルシェーダーを1基ずつ搭載するなど、スペックはVolari V3XTとほぼ同じようだ XGIのスイートルームで展示されていたVolari V3搭載ビデオカード。Volari V3XTの低クロック版で、コアクロックは200MHz、メモリクロックは400MHz相当となる
XGIのスイートルームで展示されていたVolari V5搭載ビデオカード。コアクロックは300MHzで、メモリクロックは600MHz以上。バーテックスシェーダーとピクセルシェーダーを2基ずつ装備しており、ピクセルパイプラインの本数は4本である XGIのスイートルームで展示されていたVolari V8搭載ビデオカード。コアクロックは300MHzで、メモリクロックは900MHz相当(DDR2採用時)。バーテックスシェーダーを2基とピクセルシェーダーを4基装備しており、ピクセルパイプラインの本数は8本である

□COMPUTEX TAIPEI 2004のホームページ(英文)
http://www.computex.com.tw/computex2004/

(2004年6月4日)

[Reported by 石井英男]


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