COMPUTEX TAIPEI 2004レポート

ATI、PCI Expressネイティブ対応GPUの発表会を開催


発表会は、ルビーによるアクロバットから開始
6月3日(現地時間)開催


 ATI Technologiesは、昨日プレスリリースで発表したPCI Expressネイティブ対応のRADEON X800、X600、X300のデスクトップPC向けGPU 3製品と、MOBILITY RADEON X600というモバイルPC向け1製品を発表した。

 ライバルのNVIDIAがPCI Expressネイティブ対応GPUでやや遅れをとる今、ATIにとっては大きなリードを築くための重要な戦略製品となる。

 また、ハイエンド向けのFire GL VシリーズについてもPCI Expressネイティブ版が発表され、IntelなどのチップセットベンダなどがPCI Express対応チップセットを出荷するのと同じタイミングで出荷が開始される。

●ルビーのアクロバットと共に始まったATIの歴史的な発表会

 今回の発表会で、最初にステージに登壇したのは、ATIの社長兼CEOのデーブ・オートン氏でもなければ、ATIの会長であるK.Y.ホー氏でもなかった。最初に登場したのは、RADEON Xシリーズのマスコットガールと言ってもよい、ルビーだった。

 ルビーはX800シリーズのデモ用に作成されたシェーダによる3Dプログラムに登場するヒロインで、X800シリーズのカタログなどに必ず登場するキャラクターだ。今回は、その“リアル版”ルビーが登場し、最初にデモのアクロバットシーンを再現、最後には複数のルビーが登場したところで、ステージの中央からATIのオートン社長が登場するという実に凝った演出がされている。

 これには、正直言って筆者もびっくりした。というのは、ATIという会社はこういう凝った演出の発表会をあまりしたことがなく、割と堅実な発表会が多かったからだ。

 そんなATIがここまで派手な発表会を行なうのにも理由がある。それは、ATIにとってこの発表会は一世一代の発表会だからだ。オートン社長自らこの発表会を「ATIにとって歴史的な発表会だ」と呼ぶほどだ。というのも、ATIにとって今回の発表会は、ライバルのNVIDIAに大きなリードを築くことになるものであるからだ。

 4月にNVIDIAはNV40の開発コードネームで呼ばれるGeForce 6800シリーズを公開したが、こちらはAGP版だけで、PCI Expressネイティブ版は用意されていない。業界筋の情報によれば、NVIDIAはまもなくGeForce 6800シリーズのPCI Express対応版をリリースする予定だが、そちらはHSIと呼ばれるPCI Expressブリッジチップを組み合わせたもので、PCI Expressネイティブの製品は、その後ということになるという。従って、エンドユーザーが、PCI ExpressネイティブのGPUを選択するとなると、ATIしかないという状況だ。

 もう1つのATIにとっての勝利は、Intelとの強い関係を業界関係者にアピールすることができたことだろう。業界関係者によれば、ATIはIntelと共同でPCI Expressのマーケティングなども行なっているとのことで、今回の発表会にも、Intel デスクトッププラットフォームグループ チップセットプロダクトマーケティングマネージャのロジャー・ペーネ氏が登場し、PCI Expressのメリットを語っていた。

だんだんとルビーが増えていき…… 最後は6人まで増える。なお、この時間COMPUTEXの展示会場にいたルビーは姿を消していたということだ 最後に、ATIの社長兼CEOのデーブ・オートン氏が舞台の下から登場という派手な演出で登場
そしてルビーからダイヤモンドの替わりに水晶を受け取る Intelのロジャー・ペーネ氏はPCI Expressに対応した製品のポート数は今年末までに1億に達すると予想

●AGP版のX800シリーズと同じ機能を持つPCI Express版X800

 デスクトップPC向けにはRADEON X800(以下X800)、RADEON X600(以下X600)、RADEON X300(以下X300)の3ラインナップが用意されている。

 PCI Express版RADEON X800は、これまでR423という開発コードネームで呼ばれてきた製品で、基本的にはAGP版X800(R420)とPCI Expressに対応している以外の機能は同等となっている。ピクセルシェーダは16パイプライン構成で、バーテックスシェーダは6ユニットという構成も同等で、2つの製品間にバスアーキテクチャ以外の違いはないということができるだろう。

 ラインナップは若干異なっている。AGP版X800(R420)はX800 XT Platinum Edition(16パイプ)とX800 Pro(12パイプ)という2つのラインナップがあったのに対して、PCI Express版X800(R423)にはX800 XT Platinum Editionは同等であるものの、X800 XTという別のラインナップが用意されており、16パイプラインは同じながらクロックがやや低いバージョンとなる。コア/メモリクロックはX800 XT Platinum Editionは520MHz/1.12GHzであるのに対して、X800 XTは500MHz/1GHzだ。

 なお、出荷時期はX800 XTが6月下旬が予定されており市場予想価格が449ドル(日本円で約5万円前後)、X800 XT Platinum Editionは7月下旬が予定されており、こちらの市場予想価格は499ドル(日本円で5万5千円前後)となっている。

X800(R423)はPCI Expressにネイティブで対応している以外に違いはない X800のラインナップ。X800 XT Platinum EditionとX800 XTの2製品がある
X800 XTを搭載したビデオカード、写真はASUSTeK製 公開された性能。GeForce PCX 5950との比較

●メインストリーム市場向けX600シリーズとバリュー向けX300

 X600シリーズはメインストリーム市場向けの製品で、これまで開発コードネームRV380で呼ばれてきた製品だ。X600は、その開発コードネームからもわかるように、RV350/360(RADEON 9600シリーズ)の流れをくむ製品で、基本的にはこれらのPCI Express版であると言ってよい。従って、2つのバーテックスシェーダユニット(VS2.0対応)と4パイプのピクセルシェーダユニット(PS2.0対応)を備える。

 X600はX600 XTとX600 Proの2製品が用意される。2つの製品の違いは動作クロックのみで、X600 XTは500MHz/740MHz、X600 Proは400MHz/600MHzで動作する。X600の具体的な価格レンジは明らかにはされなかったが、基本的にはRADEON 9600ファミリーと同じような価格帯(日本円で1万円台後半〜2万円台)あたりになると考えて良いだろう。両製品ともすでに出荷が開始されており、Intel 925X/915を搭載したマザーボードやPCなどと同じタイミングで市場に流通することになると考えられる。

 バリュー向けのX300は、開発コードネームRV370で知られてきた製品で、メインストリーム向けとなっている。基本的なスペックはRV380と同じで、2つのバーテックスシェーダユニット(VS2.0対応)と4パイプのピクセルシェーダユニット(PS2.0対応)を備える。

 X600との大きな違いは製造プロセスルールがTSMCの0.11μmになっていることだ(X600は0.13μm Low-k)。0.11μmにしたことで、「ダイサイズは20%も縮小した」(マット・スキナー氏、ATI Technologies デスクトッププロダクト マーケティングディレクタ)とのころとで、より安く製造することが可能になり、ローエンド向けとして安価に提供できるようになったという。

 X300には、X300とX300 SEの2ラインナップが用意され、いずれの製品も325MHz/400MHz(コア/メモリ)に替わりはないが、メモリバス幅は前者が128/64bitのいずれにも対応しているのに対して、後者は64bitのみとなる。両製品ともすでに出荷が開始されており、Intel 925X/915搭載マザーボードやPCなどと同じタイミングで市場に流通することになると考えられる。

 X800 XT Platinum EditionX800 XTX600 XTX600 ProX300 ProX300 SE
開発コードネームR423RV380RV370
製造プロセスルール0.13μm Low-k0.13μm Low-k0.11μm
バーテックスシェーダユニット数622
ピクセルシェーダパイプライン1644
コアクロック520MHz500MHz500MHz400MHz325MHz325MHz
メモリクロック1.12GHz1GHz740MHz600MHz400MHz400MHz
メモリバス幅256bit128bit64/128bit64bit
出荷時期7月下旬6月下旬出荷済み出荷済み出荷済み出荷済み

X600を説明するスライド。基本的なアーキテクチャはRADEON 9600ファミリーを受け継ぐ X600のモデルを説明するスライド X300を説明するスライド
X300では、TSMCの0.11μmプロセスを採用している X300のモデルグレード
X600を搭載したASUSTeKのビデオカード X300を搭載したTul製のビデオカード

●同時にモバイル/ワークステーション向けPCI ExpressネイティブGPUを投入

 モバイル向けとワークステーション向けのPCI ExpressネイティブGPUも投入された。

 モバイル向けのMOBILITY RADEON X600は、これまで開発コードネームM23で知られてきた製品だが、基本的にはMOBILITY RADEON 9600/9700(M10/M11)のPCI Expressネイティブ版と言える。MOBILITY RADEON X600は2つのバーテックスシェーダユニット(VS2.0対応)と4パイプのピクセルシェーダユニット(PS2.0対応)を備える。

 MOBILITY RADEON 9600/9700からの強化点としては、LCD-EEと呼ばれる液晶の表示品質をあげる機能やPOWERPLAY 5.0と呼ばれる、強化された省電力機能がある。

 LCD-EEは液晶の応答速度を上げることで、動画の表示品質を向上させるもの。POWERPLAY 5.0は、PCI Expressに対応したほか、液晶側の動きの少ない部分を検知して、色温度を調整し、バックライトの輝度を調節するなどの機能が用意されている。

 なお、MOBILITY RADEON X600は従来通り、単体版のパッケージと、メモリをサブ基板に統合したMCM版の2つが用意されているが、MCM版には、新たに128MB版が追加された(従来製品では64MBまで)。

 MOBILITY RADEON X600が実際の製品に搭載されるには、ノートPC用のPCI Express対応チップセットが登場する必要があり、本格的な登場は、IntelがAlvisoをリリースする第4四半期となるだろう。

 ATIは、新たにOEMメーカーがBTOをする場合に必要となるモジュールの規格として「AXIOM」を発表している。今回の記者会見では、AXIOMも公開されたが、やはりNVIDIAの「MXM」とは異なる形状となっていた。両社の方針が分かれた形になり、今後どちらの仕様がメインストリームとなるのかは、市場の判断ということになるだろう。

 ワークステーション向けのGPUとしてはFire GL Vシリーズが発表された。Fire GL Vシリーズは4つの製品がラインナップされ、Fire GL V7100とV5100は、R423コアを採用した製品で、前者が16パイプライン+6バーテックスシェーダユニット、後者が12パイプライン+6バーテックスシェーダユニットとなっている。

 また、Fire GL V3200/3100は4パイプライン+2バーテックスシェーダとなっており、RV380コアを採用したものとなる。いずれの製品も、HP、IBM、ELSA、Dell、NECなどから搭載製品がリリースされる予定。

MOBILITY RADEON X600はPCI Expressネイティブに対応したノートPC向けGPU LCD-EEを利用することで、動画の表示品質を改善することができる POWERPLAY 5.0では輝度の調節なども可能になっている
MOBILITY RADEON X600では、単体型とMCM版の2つが用意されており、ビデオメモリ128MB版が用意される AXIOMでは、MXMと同じようにモジュール形式でGPUをノートPCに実装可能。ただし、MXMとはコネクタも形状も異なっており、互換性はない MOBILITY RADEON X600
AXIOMのモジュール。コネクタはボードの裏側に用意されている
Fire GL Vシリーズのラインナップ Fire GL Vシリーズのスペック

□COMPUTEX TAIPEI 2004のホームページ(英文)
http://www.computex.com.tw/computex2004/
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【6月3日】未発表チップセット「CK8-04 Pro」や実働する「MXM」を展示したNVIDIA
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2004/0603/comp13.htm

(2004年6月4日)

[Reported by 笠原一輝]


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