Taipei International Convention Center 会期:6月1日~5日(現地時間)
今年のCOMPUTEX Taipeiの目玉と言えば、やはりPCI Expressに対応した製品だろう。今後10年間を見据えたPCのインフラストラクチャとして開発されたPCI Expressは、新世代のPCアーキテクチャの基礎として注目が集まっている。 6月1日に行なわれたIntelのウィリアム・スー副社長の基調講演ではIntelのPCI ExpressベースのチップセットであるAlderwood/GrantsdaleことIntel 925X/915 Express チップセットファミリーの概要が明らかにされたが、2日に行なわれたIntelとGIGABYTEによる共同のプレスカンファレンスでは、Intel 925X/915の詳細が公式に明らかにされた。 ●Alderwood/Grantsdaleの正式名称はIntel 925X/915 Expressチップセットに このプレスカンファレンスは、IntelとGIGABYTEの共催という形で開催された。ただ、実際のところ主催はGIGABYTEで、Intelはそこに参加する形となっているのだが、その中で、IntelのPCI Express対応チップセットの解説が行なわれた。 これまでAlderwoodと呼ばれてきたハイエンド向けチップセットがIntel 925X Express チップセット(以下Intel 925X)で呼ばれ、Grantsdaleと呼ばれてきたメインストリーム向けチップセットは、単体版がIntel 915P Express チップセット(以下Intel 915P)、統合版がIntel 915G Express チップセット(以下Intel 915G)という製品名であることが正式に公開された。 1日に行なわれたIntel デスクトッププラットフォームグループ 共同ジェネラルマネージャのウィリアム・スー氏の基調講演では、これらの製品名が公開されていたが、詳細までは語られていなかった。 今回のプレスカンファレンスでは、Intel デスクトッププラットフォームグループ プロダクトマネージャのロジャー・ペーネ氏によるIntel 925X、Intel 915G/Pの解説が行なわれた。 ペーネ氏は「弊社はIntel 925X、Intel 915G/Pをデジタルホーム時代に必要な要素と位置づけている。弊社は2年前から業界の標準団体であるPCI SIGなどと協力して規格を策定してきた。さらには動作検証にも膨大な時間をかけており、それを実際に投入することでユーザーにパフォーマンスを提供する。これにより、デジタルホーム戦略を現実のモノとしていきたい」と述べ、Intel 925X/915がIntelにとって非常に重要な製品であると説明した。 ●デュアルチャネルDDR2、PCI Express x16などの新機能をサポート
ペーネ氏は「Intel 925X、Intel 915G/Pではいくつかの新機能を搭載していく。デュアルチャネルのDDR2、新しい内蔵GPUのIntel GMA 900、高速なGPU接続のためのPCI Express x16、新しいオーディオ機能のHD Audio、4ポートのSerial ATAによるRAID機能、さらにはIEEE 802.11b/gのような無線LAN機能をなどを備えており、業界各社はこれに対応したメモリモジュールやビデオチップなどをすでに出荷する準備に入っている」と語り、今回のCOMPUTEXにおいて、PCI Expressに対応したデバイスが多数展示されたことがその証拠であると指摘した。 Intel 925XとIntel 915G/Pの基本的な違いは表1のとおりだ。主にIntel 925XがPATによるメモリ周り性能の強化版、Intel 915GがGPU内蔵版、Intel 915Pが単体型版となる。 【表1】Alderwood/Grantsdaleの予想スペック(筆者予想)
ノースブリッジ周りの機能としては、PCI Express x16とDDR2-533のサポートがあげられる。PCI Express x16はAGP 8Xに変わるGPU用のバスで、上り下りそれぞれに4GB/secの帯域幅が実現されている。さらにメインメモリはDDR2-533とデータレートが533MHzに引き上げられ、帯域幅は8.4GB/secと、従来のDDR400デュアルチャネルの6.4GB/secに比べて引き上げられている。
なお、システムバスのクロックは、従来と同じく800MHzにとどまっている。ただ、OEMメーカー筋の情報では、Intelは第3四半期に現在のPentium 4 Extreme Edition(開発コードネームNorthwood-2M)の高クロック版となる3.46GHzをリリースすると説明しているという。3.46GHz版のシステムバスは1,066MHzとなる予定で、IntelとしてはこのCPUのために何らかの製品を用意する必要がある。そのため、IntelはIntel 925Xの改良版としてIntel 925XEをリリースする予定であるとOEMメーカーに説明しており、それほど次期をおかずに登場するという。 なお、サウスブリッジとなるICH6だが、新たに周辺機器用のPCI Express x1スロットが最大で4レーン、Serial ATAが2ポートに増やされた(ただし、Ultra ATAに関しては1チャネルに減らされている)。 また、新たにAzaliaのコードネームで呼ばれてきたHD Audioをサポートしており、192kHz/24bit/7.1チャネルのオーディオを処理することが可能になっている。もちろん、従来通りAC'97コーデックを利用することも可能だ。 ICH6には4つのバージョンがあり、ICH6、ICH6R、ICH6W、ICH6RWの4つがそれだ。それぞれ、末尾に“R”がつくのはRAID機能が搭載されていること、“W”は無線LAN(IEEE 802.11b/g対応)機能が搭載されていること、“RW”はその両方の機能を搭載していることを意味している。 【表2】サウスブリッジの仕様
なお、COMPUTEXの展示会場では、複数メーカーによりIntel 925X、Intel 915G/Pを搭載したマザーボードが多数展示されており、従来のATX、micro ATXだけでなく、キューブ型PC用のFlex ATXやBTXフォームファクタのマザーボードなども展示されていた。なお、マザーボードに関しては別途レポートなどを参照していただきたい。
●新マザーボードとHA2によるデジタルホームソリューションを発表したGIGABYTE GIGABYTEは、この記者会見において、自社のIntel 925X/915を搭載したマザーボードの発表を行なった。同社のトニー・リオ氏はこのマザーボードを「8Σ」と名付け、8つのポイントがあると説明した。 「8Σとは、HTテクノロジのプロセッサ、デュアルチャネルDDR2、強化されたD.P.S、PCI Expressなどの周辺機能、デュアルGigabit Ethernet、強化された冷却機構、HD Audio、ユニークなソフトウェアのことだ。これらの機能により、弊社のマザーボードは競合他社と差別化することが可能になる」と述べ、8Σシリーズと呼ばれるIntel 925X、Intel 915搭載マザーボードを紹介した。紹介は、まるでファッションショーのように行なわれ、マザーボードの発表としてはややユニークなものだった。 その後、同社がCeBITで初めて公開したHA2を利用したデジタルホーム戦略の紹介などが行なわれた。HA2は、Pentium 4を利用したビデオデッキサイズのベアボーンPCで、今後GIGABYTEが発売する予定となっている。同社はこのようなPCをリビングにおくことで、人々のライフスタイルを変えることができるとアピールした。
□COMPUTEX TAIPEI 2004のホームページ(英文) (2004年6月3日)
[Reported by 笠原一輝]
【PC Watchホームページ】
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