COMPUTEX TAIPEI 2004会場レポート【マザーボード編 2】

Intel 915でAGPに対応する製品が展示
~ATIの未発表ノースブリッジも


会場:Taipei World Trade Center Exhibition Hall 1/2/3
   Taipei International Convention Center
会期:6月1日~5日(現地時間)


 COMPUTEXの場で正式に公開されたIntelのPCI Express対応チップセット「Intel 915(コードネームGrantsdale)/925X(コードネームAlderwood) Express」シリーズは、他社のチップセットと違って拡張スロット構成がほぼ決めうちとなっているため、各社のマザーボードの仕様はほぼ横並びとなっている。が、ECSがIntel 915Pを搭載しながらAGPに対応するマザーボードを展示するなど、ユニークな機能を持つものもいくつか展示された。

 そのほか、ATIのPCI Express対応の未発表チップセットRS400/480や、ULiの新チップセットなども展示されたので、それら特徴的な製品を紹介する。

●ECSが謎のAGP Express対応製品を展示

 Intel 915シリーズ搭載品でもっとも独特だったのが、ECSのIntel 915P搭載「915P-A」。Intel 925X/915シリーズはビデオカード用としてPCI Express x16にしか対応しないが、独自の技術によりPCI Express x16に加えて、AGPスロットを実装することに成功した。

 AGPスロットはPCI Expressバス上に接続されており、同社ではこの技術を「AGP Express」と呼んでいる。AGP Expressの詳細については企業秘密とのことで教えてもらえなかったが、ブリッジチップなどは使っていないという。

 同製品はメモリスロットもDDR×2、DDR2×2となっているなど、現在の資産を活かしつつ、ひとまずCPUをLGA775対応製品にアップグレードしたいユーザーに向けた仕様となっている。出荷開始は6月下旬の予定。

Intel 915PでありながらAGPスロットを搭載する「915P-A」 スペック表には「AGP Express」の文字 こちらはIntel 915Pで標準的な構成の「PF4 Extreme」

●ULiが未発表のATI RS400/480を展示

 ULiは4月にPCI Expressでノースブリッジと接続されるサウスブリッジ「M1573」を発表したが、COMPUTEX会場ではATIの未発表のノースブリッジと組み合わせた評価用マザーボードを展示した。

 「RS400」はPentium 4用、「RS480」はAthlon 64用のノースブリッジで、いずれもDirectX 9世代のグラフィックスコアを内蔵し、PCI Express x16に対応する。M1573は、PCI Express x1×2、シリアルATA×4、8ch HDオーディオ、USB 2.0×8、Ethernetなどに対応する。展示されていたのはデスクトップ用マザーボードだが、モバイル向けにも対応するという。

 また、PCI Express x16やDDR/DDR2-667に対応するノースブリッジ「M1685」搭載のマザーボードも展示された。サウスブリッジには「M1567」を採用。M1567はサウスブリッジとしては珍しく、AGPコントローラを内蔵しており、展示マザーボードではPCI Express x16とAGP 8xスロットが搭載されていた。

 このPCI ExpressとAGPは同時利用が可能で、ビデオカードを2枚使用できる。それぞれ違うバスに接続されるため、お互いの帯域に影響を与えないという。M1685とM1567は1GHz HyperTransportで接続される。

 M1567はすでに量産開始されており、M1685は第3四半期にサンプル出荷が開始の予定。

RS400/M1573搭載のマザーボード。評価用ということで、コネクタがボード下部にあったり、miniPCIスロットがあったりする。モバイル向けにも対応するということで、このボードではSO-DIMMスロットが実装されている RS480/M1573搭載のマザーボード RS400。PCI Expressに対応し、DirectX 9世代のグラフィックスコアも内蔵する
RS480 M1573 PCI Express x16とAGPが同時利用可能なM1685/M1567搭載マザーボード

●ASUSTeKは独自の冷却板を添付

 ASUSTeKは、無線LANのオンボード搭載や、独自の冷却板などで他社と差別化を図っている。同社のLGA775対応製品はすべて「Stack Cool」と呼ばれる約15cm四方の基板が添付される。Stack Coolは、熱を発散させる効果を持っており、マザーボードの裏面に取り付けることで、マザーボード上の熱源の温度を約10度低下させられるという。

 同社はこれまでの製品でもPCIの無線LANカードをバンドルさせたバージョンなどを出していたが、新製品の上位モデルでは、ボード上にIEEE 802.11g対応のコントローラが実装される。アンテナはI/Oガスケット部から引き出されるようになっており、PCIスロットを消費することなく、無線LANを利用できる。出荷開始は6月下旬。

取り付けるだけでシステムの冷却を促すというStack Cool PCI Express x16スロットの上にあるシールドされたチップが無線LANコントローラ VRMに独自のヒートシンクを搭載するモデルもある

●ArimaがLindenhurstチップセット搭載マザーボードを展示

 Arimaは未発表のIntel製チップセット「Lindenhurst」を搭載したデュアルCPUマザーボード「LH500」を展示した。Lindenhurstは、コードネーム「Nocona」こと90nmプロセスを採用した次世代Xeonに対応するチップセット。説明書きによれば、Intelの64bit拡張技術「EM64T (Extended Memory 64 Technology)」をサポートするという。

 LindenhurstはPCI Express x4/x8に対応し、LH500は、PCI Express x8×1、133MHz PCI-X×1、100MHz PCI-X×4、33MHz PCI×1を装備。対応メモリはRegistered ECC DDR 333で、メモリスロット数は6本。

Lindenhurstチップセットを搭載するArimaの「LH500」 仕様書にはEM64Tの記載が

□COMPUTEX TAIPEI 2004のホームページ(英文)
http://www.computex.com.tw/computex2004/
□関連記事
【4月13日】ULi、初のPCI Express接続サウスブリッジ「M1573」
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2004/0413/uli.htm

(2004年6月3日)

[Reported by wakasugi@impress.co.jp]


【PC Watchホームページ】


PC Watch編集部 pc-watch-info@impress.co.jp 個別にご回答はいたしません。

Copyright (c) 2004 Impress Corporation All rights reserved.