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NEC、PC事業の通期黒字化を達成
~連結決算も3年ぶりの増収で黒字転換

金杉明信社長

4月28日 発表



 NECは、4月28日、2003年度の連結決算を発表した。

 売上高は前年比4.5%増の4兆9,068億円、営業利益は51.1%増の1,826億円、税引前利益は161.1%増の1,605億円、当期純利益は前年の245億円の赤字から黒字転換して、410億円となった。

 売上高は3年ぶりのプラス、最終損益も3年ぶりの黒字となった。金杉明信社長は、「最大の課題となっていた財務体質の強化に関しても、有利子負債残高を3,160億円圧縮し、NET D/Eレシオも、2.24倍の改善となる0.95倍と1倍を切るなど、着実に成果があがっている」と、2003年度の決算を自己評価した。

2003年度実績 ITソリューション事業の状況 SI/サービス事業の状況

 事業別では、ITソリューション事業が、売上高で前年比0.8%増の2兆988億円、営業利益で140億円減少の917億円となった。営業利益に関しては、当初計画に対しても132億円の未達となった。

 ITソリューション事業の不振は、SIサービスにおいて、利益率が悪化したことが要因。地上デジタル放送システムやJava全面採用ブロジェクトなどの先行投資案件が増加したことが収益性の悪化に影響している。

 金杉社長は、「地上デジタル放送システムでは、全国シェアの7割を獲得しているが、仕様が固まりきらないなかでプロジェクトがスタートしながらも、カットオーバー時期が決まっているという案件だった。結果として、多くのリソースをこのプロジェクトに投入し完遂したが、利益率は悪化している」と話す。しかし、「今後は、これらの蓄積した技術やノウハウとソフト資産を横展開し、収益の拡大に寄与させたい」として、単年度の事象であることを示した。

 一方、国内のPC事業が通期の黒字化を達成したことが、ITソリューション事業における明るい話題。金杉社長も、「国内PC事業など、課題事業の構造改革にめどがついたことは2003年度の大きな成果」と話す。

 2003年度のPC出荷実績は、第1四半期65万台、第2四半期66万台、第3四半期62万台、第4四半期77万台と推移。年間では270万台と、前年実績の260万台を4%上回った。業界全体の成長率に比べると低いため、結果としてシェアを落としている計算になるが、それでも最重点課題としていた「通期黒字化」としたことで、その点に関しては、金杉社長自身も高く評価している。

 なお、2004年度に関しては、前年比4%増の280万台を出荷計画としており、前年に引き続き、「固い数字で見ている」(金杉社長)という状況。この点に関して、金杉社長は、「オリンピックの影響を懸念している。ハイビジョンテレビや地上デジタル放送関連は大きく伸びるだろうが、その影響を受けてPCが売れなくなるのではないか。そのため、PC事業全体を固めに見ている」と説明する。

 だが、その一方で、引き続き「通期黒字化」の目標は、最低限のラインとしており、拡大戦略よりも、構造改革以降の体制づくりの定着化が優先課題となりそうだ。

 そのほか、ITソリューション分野では、OMCS(オープンミッションクリティカルシステム)プロジェクトとして推進していたNTTドコモの次世代システム「CiRCUS」や、八千代銀行の「BankingWeb21」といった大型システムの稼働や、光ディスク事業の拡大、HPなどへのミドルウェアのOEM供給の開始などといった成果があった。

 分野別の売上高は、SI/サービスが2.7%増の7392億円、ソフトウェアが4.5%減の1,011億円、コンピュータプラットフォームが5.0%増の5324億円、パーソナルソリューションが3.1%減の7261億円となった。

ネットワークソリューション事業の状況 エレクトロンデバイス事業の状況 2003年度の成果

 ネットワークソリューションは、売上高が前年比12.6%増の1兆7757億円、営業利益は98%増の678億円。

 高い成長を支えたのは、モバイルターミナル事業。ターミナルとインフラをあわせたモバイルが29.5%増の1兆479億円だが、モバイルターミナルだけで見ると、前年比66%増の7,297億円と大幅な伸びを記録。販売台数も、前年比65%増の1,550万台と高い成長率となった。とくに海外向けの携帯電話では、カメラ付き携帯電話を主力とした高付加価値戦略が功を奏し、出荷台数で前年比5倍増という記録的な成長率を達成した。

 そのほかの分野別の売上高は、ブロードバンド事業が8.6%減の4,789億円、社会インフラが2.3%増の2,489億円。

 ブロードバンド事業に関しては、3,000人の人員削減をはじめとする構造改革の成果が出始めているとしたほか、社会インフラ事業では、東京、名古屋、大阪の地上デジタル放送プロジェクトの完遂が売り上げを上昇させたという。

 エレクトロンデバイスは、売上高が前年比0.5%減の9321億円、営業利益は前年の22億円の赤字から542億円の黒字に転換した。売上高は微減だが、上期にはDRAM事業をエルピーダに移管したこと、回路基板、カーエレクトロニクス事業などを連結対象外としたことが影響しており、これを含めると実質的には前年比6%増になるという。

 携帯電話向けやデジタル家電、自動車、PC周辺機器向けのシステムLSIが好調であるほか、高付加価値製品へのシフトが功を奏しているという。

 分野別の売上高は、半導体が2.5%増の7,243億円、ディスプレイが2.0%増の999億円、電子部品その他が18.3%減の1,079億円となった。

 なお、2004年度の連結見通しは、売上高は前年比1%増の4兆9,400億円、営業利益は20%増の2,200億円、税引前利益は12%増の1,800億円、当期純利益は71%増の700億円としている。

構造改革の進展 2004年度業績予想 セグメント別売上/営業利益

□NECのホームページ
http://www.nec.co.jp/
□ニュースリリース
http://www.nec.co.jp/press/ja/0404/2801.html
□関連記事
【1月29日】NEC、引き続き携帯電話事業好調で売上増
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2004/0129/nec.htm
【2003年10月30日】NEC、コンシューマPC市場でシェア30%維持が目標
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2003/1030/nec.htm

(2004年4月28日)

[Reported by 大河原克行]


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