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「GeForce 6800はNVIDIA史上最大の性能向上」
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4月16日 発表
米NVIDIAは16日、「GeForce 6」シリーズの発表会を国内で開催した。発表会では、同社デスクトップGPUシニア・プロダクト・マネージャのスティーブン・シムズ氏が、同製品の仕様や機能について解説した。
●16本の強力なパイプラインを搭載
デスクトップGPUシニア・プロダクト・マネージャのスティーブン・シムズ氏 |
GeForce 6の設計にあたっては、いくつかの目的が設定され、その1つは最速のGPUを作ることだったという。
シムズ氏によれば、GeForce 6800 Ultraは、GeForce FX 5950との比較で、さまざまなゲーム、ベンチマーク上で平均して2倍の実パフォーマンスを達成したという。この性能向上の最大の要となるのが、新たなパイプラインアーキテクチャ。
GeForce 6シリーズの上位モデルとなる「GeForce 6800 Ultra」は、16本のスーパースカラパイプラインを搭載。これは、他社製品も含め既存のハイエンド製品の2倍にあたる数字。
かつこのパイプラインは、1本あたり1つのテクスチャユニットのほか、2つのシェーダーユニットを搭載する。
レンダリング時においては、テクスチャユニットが画素の最終的な色を決定するために、画素をフェッチ、その後さらなる演算処理が施される。シムズ氏によれば、今後登場するゲームは、1つのテクスチャに対し、およそ3つの演算処理を施すようになるといい、GeForce 6のアーキテクチャは、それを見据えたものとなる。
シムズ氏は、GeForce 6の性能の指標として、14,860という3DMark03のスコアを紹介した。これはオーバークロックしたGeForce 6800 Ultraを用いたもので、そのほかの計測環境の詳細は不明だが、既存製品の倍以上の数値となる。この性能向上は、同社のこれまでの各製品サイクルのなかで最大のものだという。
GeForce 6800 Ultraのリファレンスカード | 従来の倍となる16本のパイプラインを実装 | これにより、各種ゲームやベンチマークでGeForce FX 5950の2倍の性能を達成 |
●Shader Model 3.0を導入
もう1つ、GeForce 6に取り入れられた先進的な機能が「Shader Model 3.0」への対応。これは、今後リリースされるDirectX 9cで導入される新しいシェーダー規格で、シェーダー精度がFP24からFP32へ、頂点/ピクセルシェーダー命令数が65,535にまで引き上げられるなどの拡張がなされている。
DirectX 9cのリリース時期は未定だが、「S.T.A.L.K.E.R」など近い将来登場予定のゲームがすでに対応を表明している。「FarCry」などリリース済みのゲームにおいても、アップデートで対応予定だといい、会場ではShader Model 3.0対応版FarCryの画面が公開された。
従来のShader Model 2.0対応版では平面的な描画にとどまっているものが、Shader Model 3.0対応版では、凹凸で表現されているのが確認できた。
従来のShader Model 2.0とShader Model 3.0の比較 | Shader Model 3.0対応ゲーム |
ゲーム「FarCry」の従来版の画面 | こちらがShader Model 3.0対応版の画面。階段やドア部分が凹凸で表現されているのが分かる |
また、Shader Model 3.0とGeForce 6の性能をアピールするデモとして「Nalu」という名前の人魚と、「Timburry」というコミカルなキャラクタのリアルタイムデモが行なわれた。
Naluでもっとも特徴的な点の1つはその髪の毛。Naluは全身で30万ポリゴンを使用しているが、そのうち髪の毛が15万ポリゴンを占める。髪の毛には「密度機能」が使われており、髪の密度に応じてライティングの反射の具合が動的に変化する。
また、ソフトシャドー技術も用いられている。従来の影表現では、影の境目がくっきりしすぎるきらいがあるが、Naluでは1フレームあたり19パスのレンダリングが行なわれており、このうち4パスが影の拡散効果に使われている。これにより、より自然な影の表現を実現した。
このほか、プログラマブルシェーダーにより、海面の揺らぎによる光の反射や、条件分岐によるレンダリングの最適化などが行なわれている。
もう1つ、参考デモとして、Epic Gamesが開発中のShader Model 3.0対応次世代3Dエンジン「Unreal 3エンジン」のデモが行なわれた。なお、会場のみの限定公開のため、写真撮影は許可されなかった。
デモではまず、100万ポリゴンを使用した廃墟のようなシーンから始まり、続いて、ランプのような光源体がダンジョンの中を移動し、ダイナミックなライティングを行なうシーンに移った。
ライティングは1ピクセル単位で行なわれており、板張りの机の下に光源が移動すると、板と板のわずかな隙間から光がこぼれるなど、緻密なものとなっている。また、ステンドグラスから投影された光を浴びつつ、セルフシャドーを行なう様子なども紹介された。
また、もともとこのデモでは多数のポリゴンを使用しているが、ディスプレースメントマッピングを使うことで、ポリゴン数以上に複雑なジオメトリを表現していた。
新しいイメージキャラクタの1人は人魚のNalu デモ動画はこちら(WMV/1.4MB) |
15万ポリゴンを使用した髪の毛は圧巻 | ソフトシャドーで柔らかい影を表現。また、日光が髪を透ける様子も自然 |
もう1人のイメージキャラクタTimburry デモ動画はこちら(WMV/1.6MB) |
一昔前のショートフィルム並みのクオリティはある。リアルタイムレンダリングなので、露出を変更したりできる |
●ハードウェアビデオエンコード機能
GeForce 6でさらにユニークなのは、GPU内に汎用のビデオハードウェアエンコーダ/デコーダを内蔵している点。これは3Dの演算処理ユニットとは別に設けられているもの。プログラマブルな構成となっているため、MPEG-1/2/4/WMVなどあらゆるコーデックに対応可能という。
シムズ氏によれば、リアルタイムエンコードが可能で、ハイビジョン(HD)ビデオも同時に2ストリームまで扱えるという。
●500Wクラスの電源を要求
GeForce 6はまず、コアクロック400MHz、メモリクロック1,100MHz(550MHz DDR)、256MB DDR3搭載、16パイプラインのGeForce 6800 Ultraが投入される。すでに量産が開始されており、5月には各ベンダから出荷開始される。数量は潤沢なものになるという。
なお、シムズ氏によれば、十分な冷却機能さえあれば、GeForce 6800 Ultraはオーバークロックできるよう余地を残しているといい、カードベンダによっては高クロック版を出す可能性があることを示唆した。
その後に、低クロック、128MB DDR1搭載、12パイプラインのGeForce 6800が出荷される。GeForce 6800のコア自体はUltraと同じもので、性能はGeForce FX 5950の1.5倍程度という。
GeForce 6800 Ultraは、カードブラケットは1スロットだが、リファレンスカードでは巨大冷却機構が隣接するPCIスロットを覆ってしまう。発熱は穏やかで、3DMark03実行中のカードのヒートシンクは人肌よりやや温かい程度であった。
これはチップコアをヒートスプレッダなどで覆わずにむき出しにすることで、熱の発散効果を高めたり、冷却機構を強化したことによるという。また、GDDR3を採用したため、メモリの発熱が低下したことも寄与しているという。
GeForce FXでは、低負荷時にファンの回転数が落ちるしくみとなっているが、GeForce 6では、ファンの最大回転時でも十分騒音が少ないと判断したため、リファレンスカードでは常に最大回転となるようにしたという。ただし、カードむきだしのデモ機からはそれなりに耳につく騒音が出ており、ケース収納時でも音が漏れ聞こえそうな印象だった。
GeForce 6800 Ultraは、2本の電源コネクタを装備するが、PC全体としての電源ユニットの要求スペックは480W程度になるという。GPU以外にCPUなど他のパーツの消費電力も向上してきているため、それを考慮してのことという。
ただし、GeForce 6800の電源コネクタは1本で、今後登場するPCI Express版ではUltraでも1本になる予定。
□NVIDIAのホームページ(英文)
http://www.nvidia.com/
□製品情報(英文)
http://www.nvidia.com/page/geforce_6800.html
□関連記事
【4月15日】【海外】NVIDIAが16パイプラインの強力GPU「GeForce 6800(NV40)」を発表
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2004/0415/kaigai083.htm
【4月15日】3DゲームファンのためのGeForce 6800 Ultra講座(GAME)
http://www.watch.impress.co.jp/game/docs/20040415/nvidia.htm
【4月15日】NVIDIA、GeForce 6シリーズを発表
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2004/0415/nvidia.htm
(2004年4月16日)
[Reported by wakasugi@impress.co.jp]
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