西川和久の不定期コラム
|
PCM61P 8パラDACを作って以降、妙に自作癖が付いてしまい、夜な夜な半田ごてを握りながら工作している。しかし、テスターだけではどうにもならない部分が多く、「オシロスコープ欲しい!」病が出てしまった。 |
筆者がはじめてオシロスコープを使ったのはもう四半世紀近く前になる。バイト先でZ80を使ったコントローラを作ったり、ICでいろいろなロジックを組んでいた頃、現場の先輩が使っていたのを見よう見まねで操作していた。もちろんスペックがどうのとか、何がどうなって動いているのか全くわからない状態だったので、今、オシロスコープを探すと言っても、そのキーワード自体がわからない。とりあえずYahoo!オークションやGoogleで検索し情報収集。とは言え、肝心なのはスペックより価格。あまり高いと手が出ないため、はじめは5万円前後で考えていた。当然、この範囲だとほとんどが中古になる。 ある日「もしかしたらPCをオシロスコープ化するソフトウェアやハードウェアがあるかも!?」と、調べたところ今回のSoftDSPの「SDS 200」を見つけたのだ。他にもあるにはあったが、Windows XPでの作動が駄目だったり、今更PCとの接続がRS-232Cだったりと、PCの周辺機として見た場合、見劣りするものが多かった。ただ既に新しいバージョンの「SDS 200A」が出ている。気になってその差を調べたところこの程度。プロから見れば大きな差かも知れないが、筆者にとっては問題ない範囲だ。大幅に予算オーバーしているので、少しでも安いSDS 200を選択、秋月電子の通販で購入した。日本語のマニュアルがここにあるので、興味のある人は見て欲しい。 SDS 200の簡単なスペックは以下の通り。
価格84,500円と、かなり予算オーバーしてしまったが、USB経由でPCの周辺機として扱えるこのデジタルストレージオシロスコープは何故かそれ以上の魅力を感じてしまった。多分、PCを経由することにより、「得体の知れないものでは無い=安心」と言う、勝手な思い込みだろう。USBからのバスパワードなのでノートPCを使いバッテリー駆動すれば電源いらずというメリットもある。 ●早速使ってみました! では、実際に工作中のDACへSDS 200を接続したので、使い勝手などをレポートしよう。ただこの原稿を書く時に、同社のDownloadエリアを調べたところ、大幅にバージョンアップして2.2となっている。付属のCD-ROMから何も考えずにインストールした関係上、かなり古いバージョン(1.2.7)でのレポートとなってしまうが、この点はあらかじめご了承頂きたい(追記参照)。セットアップ自体は非常に簡単。SETUP.EXEを実行するだけだ。USBデバイスとしても難なく認識された。 |
操作感は結構快適だ。素直なユーザーインターフェイスで直感的にわかりやすい。もちろんPCベースなので必要なデータの画面キャプチャも簡単に取れ、印刷も簡単。この辺は専用機だと四苦八苦してたに違いない。 以上、非常に簡単ではあるが、SDS 200のファーストインプレッションをお届けした。機能的に紹介していない部分もあり、すべては使いこなしていない状況だ。残念ながらこれ以上の部分に関しては、筆者が必要とするまで使い方すらわからないと思われる。ある意味、高価なおもちゃとなっているが、紹介した範囲で十分実用になっている。 |
●総論
デジタルテスター1台、アナログテスター2台の状況から、このSDS 200が加わったことで大幅に作業&チェック効率はアップした。それ以上にこれまで見えなかった情報が見えるようになったことによる安心感は計り知れない。USBを使ったPCの周辺機であることもPC畑の人間にとっては敷居が低くなり好都合だ。惜しむべきはせめて5万円程度であればもっと購入し易くなるだろう。もともと数が見込めるジャンルの製品ではないので、これは無理な相談か!? FFT解析搭載オシロスコープと言う、強力な助っ人を得て、まだまだ大人の休日は続くのであった……。
追記
脱稿後、掲載までに少し間があったので、最新版のFirmwareおよびSoftScope2.2をインストールした。フルスクリーンモードの追加、縦横カーソルの設定、AC/DCに加えGND(S/W)が表示可能、各プロパティ設定場所の変更など、細かいバージョンアップだ。従ってレポートした1.2.7と大筋変わりない。どちらかと言えば新しいSDS 200Aに合わせて調整し直したのだろう。オリジナルはそれなりに古いソフトウェアであるが、ハードウェアがからむだけにきっちりメンテナンスしているのは評価できる。
(2004年4月8日)