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テムザック、大型レスキューロボット「T-52 援竜」公開3月25日発表 株式会社テムザックは、大型レスキューロボット「T-52 援竜」を、独立行政法人消防研究所内で正式発表、デモンストレーションを行なった。 T-52 援竜は、今年1月、北九州市の消防出所式で中間発表として初公開されたもので、今回は正式なお披露目となる。 2000年に公開された同社の大型遠隔操作ロボット「T-5」の後継機で、人間の代わりに災害現場で重作業を伴う救助作業を行なうためのレスキューロボット。 外観は人の上半身を模した形状で、全高3.45m、全幅2.4mという大型ロボット。重量は約5t。足回りにはクローラ(キャタピラ)を採用している。 T-5は駆動システムに水圧駆動方式利用した大型ロボットだっが、援竜では駆動系に油圧シリンダー方式を採用。32馬力のディーゼルエンジンにより発電、駆動する。油圧シリンダー方式の採用により、実用的な把持力を実現できたという。
操縦者が乗り込んで直接操縦するほか、人員の投入が難しい危険地帯での作業を想定した遠隔操縦も可能。 遠隔操縦システムは、京都大学大学院工学研究科助教授 横小路泰義氏らが開発したマスター・スレーブ方式の操縦装置で、操縦者の腕の動きに合わせて、援竜の腕を動かすことができる。 ただし、完全に人間の動きと同期させてしまうと、操縦者のちょっとした挙動にも敏感に反応してしまい、危険なため、あらかじめ鈍い動作になるように調整されているという。通信方式はSS無線、PHS方式を利用している。 片腕の把持力は約500kg。両腕では理論上、1tの重量を支えることが可能。片腕の自由度は、腕部7、手首2の合計9自由度。腕やボディ周辺には有効68万画素のCCDカメラを9基搭載し、機体のほぼ全周の情況が確認できるようになっている。 それに加え、未來電工株式会社が開発した、超高感度暗視カメラを1基搭載。陸上自衛隊でも採用されているもので、0ルクス(星明かりのみ)の環境下でも暗視能力を得ることができ、災害現場での昼夜を問わない活動が可能になるという。防水加工も施され、全天候下での活動が可能という。
会場で行なわれたデモは、瓦礫の下敷きになった車内に閉じこめられた人間を助けるというシナリオで進行。援竜の役割は、直接人間を引っ張り出すことではなく、レスキュー隊員の進入路を確保するため、瓦礫を取り除くこと。 援竜は、進路上にある木箱や鉄柱などを、片手で軽々と持ち上げ、排除。車のドアをダンボール紙のようにむしり取り、進入路を確保すると、待機していたレスキュー隊員が突入し、無事に被災者を救出した。 また、防災ロボット開発委員会交付のロボット操縦免許制度「レスキューロボット運転免許制度」も発表された。レスキューロボットの操縦資格教習を実施し、合格者に交付するもので、合格者にはクレジットカードサイズの免許証が交付される。 交付される免許証は、サウンド認証とよばれる、個人認証システムを採用。カードが発する“音”で認証を行なうシステムで、音をロボット側の端末が受信して認証し、パスすればロボットが操縦可能になる。カードから出る音は認証のたびに異なるため、偽造は難しいとしている。
株式会社テムザック代表取締役社長の高本陽一氏は援竜について、「人間が作業できない災害地域で作業させるには、どのような物がいいかを検討しながら開発した。通常、土木作業用車両では、1本のアームしか備えていないが、2本のアームを初めから備えていれば、複数の車両を手配することもなく、作業の柔軟性も高まる」と、その優位性について語った。 質疑応答では、「ロボットが直接人間を救助できるようになるのか」という質問がされたが、「現時点では非常に難しく、数年で可能にすることはできない。だが、将来的にはできるようにしていきたい」と説明された。 水圧方式ではなく、油圧シリンダー方式を採用したことについては、「水圧方式を採用したT-5では、自分の腕を持ち上げるので精一杯だった。今回は油圧シリンダー方式を採用したことで、実用性を優先した。しかし、水圧方式についても引き続き研究は続ける」とした。 また、2足歩行化については、「まったく考えていない。2足歩行による、納得できるメリットがあれば考えるが、現時点では無い」(高木氏)と明言。しかし同時に、「多足化はあり得る」という見解も示された。数年後には4~8本の足を備えたレスキューロボットが実現することもあり得るようだ。 現時点での援竜の価格は、マスター・スレーブ方式の操縦システム込みで約6,000万円。今後は、北九州消防局などと協力し、実証テストを実施し、2004年中に実用機の開発を目指す。 □テムザックのホームページ (2004年3月25日) [Reported by kiyomiya@impress.co.jp]
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