会場:独ハノーバー市ハノーバーメッセ(Hannover Messe) CeBITは、IT技術のみならず、通信、携帯電話、デジタル家電など様々な話題が満載の総合ショーだが、International CESに引き続きIT技術、デジタル家電、通信の融合が話題の中心となっている。 そうした中、PC業界の雄であるMicrosoft、Intelはいずれも“デジタルホーム”と呼ばれるネットワーク化されデジタル化されたリビングの未来像などをアピールした。台湾のベンダなどはAVラックに入るフォームファクタを採用したEntertainment PCやDMA(Digital Media Adapter)など、PCをデジタルホームの1要素として使うためのソリューションを展示した。 ●FICとGIGA-BYTEがEntertainment PCを展示 1月のInternational CESで、Intelのポール・オッテリーニ社長兼COOから発表されたEntertainment PC(以下E-PC)構想だが、徐々に形になってきているようだ。Intelと協力してE-PCのリファレンスデザインを設計しているFICは、IntelのリファレンスデザインのE-PCと、別の新しいデザインのE-PCを展示した。 初日に行なわれたIntelの記者会見で使われたFICの白いデザインのE-PCは、FICがIntelと協力して開発されたもので、中央に光学ドライブを、左右にパッドが用意されており、リモコンを利用しなくてもファイルの再生や開始などの操作を行なえる。 CPUはPrescottコアのPentium 4が利用可能で、メモリはデュアルチャネルのDDR2-533/400、チップセットはIntel 915G+ICH6R、Serial ATA HDD、スーパーマルチDVD、ソフトアクセスポイントの機能を持つ無線LAN機能、TVチューナーなどを内蔵しており、OSにはWindows XP Media Center Edition 2004を採用しているという。 また、FICは同時に別のフロントパネルを持つE-PCも公開しており、こちらは大きめのボリュームボタンが右側に用意されており、中央には現在の動作状況を示す小型LCDが用意されるというデザインになっていた。
いずれの製品も開発はすでに終了しており、IntelのIntel 915チップセット(Grantsdale)の準備が整えば、いつでも出荷することが可能であるという。なお、FICではこの製品をベアボーンではなく、PCメーカーに対してOEMの形で供給していくという。現在日本のメーカーとも採用に向けて交渉しているとのことで、2004年の後半にはこの製品を元にした製品が日本メーカーから登場する可能性もある。
GIGA-BYTEもHAと呼ばれるE-PCを公開した。こちらはSiS661を採用しており、mPGA478のPentium 4ないしはCeleronの2.6GHzにまで対応する製品となっている。 DVD±RWに対応した書込型DVDドライブを搭載しているほか、無線LAN、TVチューナーを内蔵しており、Windows XP Media Center Edition 2004を利用することで、ビデオレコーダのような使い方をすることも可能になる。やはり前面にLCDを備えており、現在の動作状況を表示させることが可能になる。 また、本体の左側にはスティックタイプのコントローラが用意されているほか、前面にUSBやIEEE 1394、カードスロットなども用意されている。 なお、こちらはチャネル向けへの出荷も検討されているが、現時点ではどのような形で提供されることになるのかは未定ということだ。ビデオデッキのラックにPCを入れて利用するなどの使い方に適しており、チャネル向けへの出荷を期待したいところだ。 ●MSIもMegaの新型を展示し対抗、ASUSのDigiMatrixのフロントパネルを展示 すでに、MEGAを出荷しているMSIや、DiGiMatrixを発表済みのASUSTeK Computerも、これらの最新モデルを展示していた。 AV機器風小型ベアボーン“MEGA”シリーズを展開するMSIはMEGA 180とMEGA 865を展示した。MEGA 180はすでに秋葉原でも販売が開始されている。基本的には初代MEGAの改良版といった製品で、チップセットはnForce2 GT(GPU機能内蔵)が採用されており、Athlon XPを利用することが可能になっている。これに対してMEGA 865はIntel865Gチップセットを採用したマザーボードが採用されており、こちらはPentium 4を利用することができる。
ASUSTeK ComputerはDiGiMatrixの異なるデザインのフロントパネルを公開していた。基本的には日本などで発表された製品と同じ内部構造をとっていながら、フロントパネルだけを変えたもので大きな差はない。 なお、ASUSとMSIも、Windows XP Media Center Editionライクな10フィートGUIを展示しており、今後こうしたベアボーンなどにバンドルしていくという。見た目はほとんどWindows XP Media Center Editionと同様であり、テレビなどにPCを接続しリモコンで操作する場合に適している。こうしたベアボーンは、リビングに置かれることも増えているそうで、そうしたユーザーのニーズに対応するためにバンドルしていくこということであるようだ。
●加速するx86ベースのホームサーバーやPCデータの再生可能なDMAの普及 CeBITでは、x86ベースのホームサーバーなどがいくつか展示され注目を集めた。日本ではVIAのC3プロセッサを搭載したNECのAXシリーズがPCユーザーの大きな注目を集めているが、そうした流れを受けてIntelも組込型CeleronやPentium IIIなどの普及に力を入れ始めており、International CESなどでも展示されていたが、CeBITでも再びいくつかの新製品が展示されていた。
富士通シーメンスのACTIVY Media Centerはドイツで販売されているHDDレコーダだが、IntelのCPUを採用したx86ベースのPCアーキテクチャを採用している。ただし、OSは通常のWindows XPではなく、組み込み向けのWindows XP Embededが採用されており、PCではなく家電ライクなデバイスとなっている。 TVチューナーを内蔵しておりTVをタイムシフト視聴、録画できるほか、Ethernetポートを利用して他のPCからアクセスして録画したビデオを再生することが可能になっているだけでなく、逆にPC側にあるファイル(ビデオ、オーディオ、写真)を再生することも可能だ。 また、DVD±RWドライブを内蔵しており、録画したビデオを書き込んで残すことができるほか、DVD、MPEG-1/2/4、DivX、WMVといった動画ディスク、オーディオCD、MP3、WAV、WMAなどのオーディオディスクなどを再生することが可能になっている。 ユニークな機能としては、ドイツテレコムがサービスしているT-Onlineに接続して、コンテンツのダウンロードやVOD(Video On Demand)のサービスを利用することができることがあげられる。これにより、ユーザーはネットワーク経由で好みのコンテンツを購入して自宅のACTIVY Media Centerで楽しむことができる。なお、価格は発売時期などは未定で、販売はとりあえずドイツ国内を前提に考えられているようだ。 MSIも、International CESに引き続きホームサーバーを展示した。 CPUにCeleron、チップセットにIntel815、OSにはLinuxが採用されたMS-3287は書込型DVDを内蔵したHDDレコーダで、HDDには録画したTV、音楽ファイル(MP3、WAV、LPCM)、写真(JPEG、PNG、BMP)などのファイルを蓄積しておくことができる。 Universal Plug and Play(UPnP)に対応したホームネットワークソフトウェアを搭載しており、ネットワーク経由でPCやUPnPに対応したDMAから再生することが可能になっている。MSIではDMAとしてMS-3288を用意しており、これを利用することでリビングにおいてあるMS-3287のファイルを寝室に置いたMS-3288で再生するということが可能になっている。MSIの説明員によれば、本製品はどのように提供するのかは未定であり、MSI自身のブランドで提供するかは現在検討中であるという。
なお、UPnPに対応したDMAはMitacやSamsungといったブースでも展示されていた他、PhilipsなどはInternational CESで展示したDMAなどを再び展示するなど、徐々に数が増えてきている印象だ。 □CeBIT 2004ホームページ(英文) http://www.cebit.de/homepage_e □関連記事 【3月18日】MSIのAVコンポ風キューブ系PC「MEGA 180/400」がデビュー(AKIBA) http://www.watch.impress.co.jp/akiba/hotline/20040320/etc_mega.html □関連記事 【1月9日】【CES】Intel ポール・オッテリーニ講演レポート ムーアの法則、ついに家電へ ~家電業界にチャレンジするIntel http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2004/0109/ces07.htm (2004年3月22日) [Reported by 笠原一輝]
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