13.3型液晶を搭載したモバイルノート
「FMV-BIBLO MG75G」
~低反射コーティングの高輝度液晶を搭載



FMV-BIBLO MG75G

 富士通のFMV-BIBLOシリーズは、B5ファイルサイズのモバイルノートから16.1型液晶搭載の大型ノートまで、充実したラインナップを誇る。FMV-BIBLO MGシリーズは、LOOXシリーズを除いたFMV-BIBLOシリーズで一番携帯性の高い製品であるが、このクラスの製品の多くが、12.1型液晶を搭載しているのに対し、一回り大きな13.3型液晶を搭載していることが特徴だ。

 今回は、FMV-BIBLO MGシリーズの最上位モデルであるFMV-BIBLO MG75Gを試用する機会を得たので、早速レビューしていきたい。


●ドットピッチの大きい13.3型XGA液晶を搭載

 FMV-BIBLO MG75G(以下MG75G)は、XGA表示対応の13.3型液晶とDVDマルチドライブを搭載した2スピンドルモバイルノートPCである。このクラスの製品では、12.1型液晶を採用している製品が一般的だが、MGシリーズは一回り大きな13.3型液晶の搭載にこだわっていることが特徴だ。

 そのため、12.1型液晶搭載モバイルノートPCに比べると、フットプリントは一回り大きく、重量もDVDマルチドライブ装着時で約1.86kg(モバイル・マルチベイ用カバー装着時で約1.63kg)とやや重いが、ドットピッチが0.264mmと大きく(12.1型XGA液晶では0.24mm)、文字が大きく表示されることが利点だ。

 MG75Gでは、液晶パネルとして、表面に光沢パネルが貼られたスーパーファイン液晶を搭載している。スーパーファイン液晶は、いわゆる「ツルツル液晶」であり、輝度やコントラストは高いものの、外光が映り込みやすいという弱点があった。MG75Gでは、さらに改良されたスーパーファイン液晶が採用されており、従来比1.5倍の高輝度化を実現したほか、低反射コーティングが施されており、映り込みも大きく低減されている。

 液晶パネルの輝度は8段階で調整可能だが、全体的に輝度が高く、一番暗く設定しても室内なら十分見えるほどだ。発色も鮮やかで、DVD-Videoの再生も快適に楽しめる。

ボディ上面。ボディの材質にはマグネシウム合金やカーボン・ファイバープラスチックが採用されている DOS/V POWER REPORT誌とのサイズ比較。MG75Gのほうが一回りほど大きい 「コンピュータの電源を切る」ダイアログボックスに並ぶアイコンの横の長さは約10mmと長い

●大容量HDDとDVDマルチドライブを搭載

 MG75Gは、PCとしての基本性能も高い。CPUとしてPentium M 1.50GHzを搭載し、チップセットとして統合型チップセットのIntel 855GMEを搭載する。標準実装メモリも、512MB(PC2700 DDR SDRAM)と大容量で、増設しなくてもWindows XPを快適に利用できる。メモリスロットとして、SO-DIMMスロットを2基装備しており、最大2GBまで増設可能だ。ただし、標準で512MB SO-DIMMが1枚装着されているため、2GBまで増設する場合は、512MB SO-DIMMを外して、代わりに1GB SO-DIMMを2枚装着することになる。

 HDD容量も80GBと大きい。試用機では、東芝のMK8025GASが採用されていた。裏面のHDDカバーを外すことでHDDにアクセスが可能なので、換装も比較的容易であろう(もちろん、HDDの換装は保証外の行為となるが)。光学ドライブとして、DVD-RAM/R/RWに対応したDVDマルチドライブを搭載していることもウリのひとつだ。採用しているドライブは松下のUJ-811で、DVD-RAM/Rへの記録速度は最大2倍速、DVD-RWへは1倍速である。このDVDマルチドライブは、モバイルマルチベイに装着されており、着脱が可能だ。DVDマルチドライブの代わりに付属のモバイル・マルチベイ用カバーを装着することで、約230g軽量化できるほか、オプションの増設用バッテリを装着することもできる。

底面にSO-DIMMスロットを2基装備している。SO-DIMMスロットの1基には512MB SO-DIMMが装着されている 標準で装着されている512MB SO-DIMM。Infenion製メモリチップが採用されている 裏面のHDDカバーを外すことで、HDDへのアクセスが可能である

モバイルマルチベイにDVDマルチドライブを装備している DVDマルチドライブは着脱が可能で、代わりにモバイル・マルチベイ用カバーや増設用バッテリを装着できる

●IEEE 802.11b/g対応無線LAN機能を装備

 MG75Gは、インターフェース類も充実している。USB 2.0×3、IEEE 1394(4ピン)、外部ディスプレイ、マイク、ヘッドホン/光デジタルオーディオ出力、S端子(専用形状のミニ端子なので、変換ケーブルが必要)の各ポートを装備しているほか、カードスロットとして、PCカードスロット(Type2×1)とSDカード/メモリースティックスロットを装備している。SDカード/メモリースティックスロットには、SDメモリーカードやメモリースティック、メモリースティックProを直接挿入できるので、それらのメモリーカードに対応した機器との連携に便利だ。PCカードスロットのフタも、ダミーカード式ではないので、無くす心配はない。

 通信機能として、100BASE-TX/10BASE-TのLAN機能と56kbps対応モデム機能に加えて、IEEE 802.11b/g準拠の無線LAN機能を搭載している。この無線LAN機能は、Intel製のminiPCIカード「Intel PRO/Wireless 2200BG」で実現されており、Centrinoブランドとなる。本体背面には、ワイヤレススイッチが用意されており、無線LAN機能のオンオフが可能だが、背面ではなく、手前や側面などのもう少し操作しやすい位置にあったほうが便利であろう。無線LANインジケータは特に用意されていない。

 また、ステレオスピーカーを内蔵しているので、DVD-Videoや音楽CDなどのサウンドもステレオで楽しめる。

右側面には、盗難防止用ロック穴やDVDマルチドライブ(モバイルマルチベイ)が用意されている 左側面には、ヘッドホン/光デジタルオーディオ出力、マイク、PCカードスロットが用意されている 背面には、USB 2.0×3やモデム、LAN、Sビデオ端子、IEEE 1394、外部ディスプレイの各ポートが用意されている

前面に、SDカード/メモリースティックスロットを装備している SDカード/メモリースティックスロット部分のアップ 背面には、無線LAN機能のオンオフを行なうワイヤレススイッチが用意されている

●キーボードやポインティングデバイスも使いやすい

 MG75Gは、モバイルノートPCとしてはサイズが大きめなので、キーボードにも余裕がある。キーピッチは約19mm、キーストロークは約3mmと十分である。キー配列も標準的で、全てのキーピッチが均等になっているので、使いやすい。タッチは比較的軽めであるが、キーボード中央部を強く押しても、たわむようなことはない。

 キーボード上部には、5つのワンタッチボタンが用意されている。一番右のモードボタンを押すことで、「Applicationモード」と「Playerモード」を切り替えることができ、Applicationモードでは、割り当てたアプリケーションやWebブラウザ、メールソフトの起動が、Playerモードでは、CD/DVDの再生や停止などが行なえる。

 ポインティングデバイスとしては、パッド状のフラットポイントが採用されている。ポインティングデバイスの操作性も良好で、左右クリックボタンの中央に上下スクロールボタンが搭載されており、スクロール操作も可能だ。

 富士通製PCらしく、プリインストールソフトも非常に豊富だ。オフィススイートの「Microsoft Office Personal Edition 2003」やホームページ作成ソフトの「ホームページ・ビルダー7 ライト」をはじめ、CD/DVDライティングソフトの「Drag'n Drop CD+DVD」やハガキ印刷ソフトの「筆ぐるめVer.11」など、実用的なソフトが多数バンドルされているので、買い得感も高い。

キーピッチは約19mmと余裕がある。配列も標準的で不等キーピッチもないので、使いやすい。右下のカーソルキーが、他のキーとは独立してやや下側に配置されているのも便利だ。ポインティングデバイスとしては、フラットポイントを採用 ワンタッチボタンは、ApplicatonモードとPlayerモードの2つのモードによって、割り当てられる機能が異なる

●パフォーマンスも良好で、バッテリ駆動時間も合格

 標準バッテリは、4,400mAh、10.8Vの6セルタイプで、公称で最大約4.7時間の駆動が可能である。また、DVDマルチドライブを外して、代わりにオプションの増設用バッテリを装着することで、最大約8.4時間の長時間駆動が実現できる。バッテリの持ちについても合格点をつけられるだろう。また、ACアダプタも比較的小型で、携帯性は良好である。

バッテリは6セルタイプ。左にあるのはVHSビデオテープ ACアダプタも小さくて軽いので、一緒に持ち運んでも邪魔にならない。左にあるのはVHSビデオテープ

 参考のために、いくつかベンチマークテストを行なってみた。ベンチマークプログラムとしては、BAPCoのMobileMark2002、SYSmark2002、Futuremarkの3DMark2001 SE、id softwareのQuake III Arenaを利用した。

 MobileMark2002は、バッテリ駆動時のパフォーマンスとバッテリ駆動時間を計測するベンチマークであり、SYSmark2002は、PCのトータルパフォーマンスを計測するベンチマークである。また、3DMark2001 SEやQuake III Arenaでは、3D描画性能を計測する。MobileMark2002については、電源プロパティの設定を「ポータブル/ラップトップ」にし、それ以外のベンチマークについては、AC駆動時(電源プロパティの設定は「常にオン」)にして計測した。

 結果は下の表にまとめたとおりである。比較対照用として低電圧版Pentium M 1.20GHzを搭載したLet'snote CF-Y2の試作機と、Pentium M 1.40GHzを搭載したEndeavor NT300およびEDiCube S150Hの結果も掲載してある。

 結果を見ればわかるように、MG75Gのパフォーマンスはなかなか良好である。MoblieMark2002のPerfomance ratingは158と高く、バッテリ駆動時間を示すBattery life ratingの値も216(3時間36分)と、低電圧版Pentium M 1.20GHzを搭載したLet'snote CF-Y2には及ばないが、6セルバッテリ搭載機としては健闘している(EDiCube S150Hのバッテリは8セル仕様)。

【FMV-BIBLO MG75Gベンチマークテスト】
 FMV-BIBLO MG75GLet'snote CF-Y2
(バッテリ優先モード)
Let'snote CF-Y2
(パフォーマンス優先モード)
Endeavor NT300EDiCube S150H
CPUPentium M 1.50GHz低電圧版Pentium M 1.20GHz低電圧版Pentium M 1.20GHzPentium M 1.40GHzPentium M 1.40GHz
ビデオチップIntel 855GME内蔵コアIntel 855GME内蔵コアIntel 855GME内蔵コアIntel 855GME内蔵コアIntel 855GM内蔵コア
MobileMark2002
Performance rating158138142155140
Battery life rating216306298115297
SYSmark 2002
Internet Content Creation184149150173163
Office Productivity141125126145113
3DMark2001 SE
1,024×768ドット32bitカラー(3Dmarks)23611883230624111914
Quake III Arena
640×480ドット32bitカラー11795.4103.111497.4
800×600ドット32bitカラー87.570.386.387.268.9
1,024×768ドット32bitカラー55.144.555.34643.9

●地味だが完成度の高いモバイルノート

 MG75Gは、世界最軽量などといった、人目を惹くようなセールスポイントがあるわけではなく、一見地味な製品である。しかし、基本性能や使い勝手は優秀であり、モバイルノートとしての完成度は高い。

 13.3型液晶は、12.1型液晶に比べて文字が大きく表示されて目に優しいので、小さな文字を見るのは辛いが、携帯性も重視したいという人には特にお勧めである。また、2スピンドルノートであり、CPU性能も比較的高いので、特にモバイル用ということを意識せずに、メインマシンとして使うことも十分可能であろう。

□関連記事
【1月6日】富士通、ノートPC「BIBLO」シリーズを一新
~初の11b/g対応Centrino登場
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2004/0106/fujitsu2.htm

バックナンバー

(2004年2月18日)

[Reported by 石井英男]


【PC Watchホームページ】


PC Watch編集部 pc-watch-info@impress.co.jp 個別にご回答することはいたしかねます。

Copyright (c) 2004 Impress Corporation All rights reserved.