International CES 2004 会場レポート

QRIOも米国出張、元気な日本メーカー
~ソニー、東芝ブースレポートほか


AIBOにちょっかいを出す見学者。AIBOは米国でも大人気

会場:Las Vegas Convention Centerほか

会期:1月8~11日(現地時間)



 2日目を迎えた9日(現地時間)の2004 International CESは、広大な会場を膨大な見学者が埋め尽くし、通路を通り抜けるのも困難なほど。会場と周辺ホテルを結ぶシャトルバスやタクシーは朝夕には大混雑で、1~2時間は待たないと乗れない。

 そんな中、日本のメーカーは年頭の一大イベントとあって、力のこもった展示を行なっている。

●インターネット越しに使える“エアボード”発展型や、2層+R対応ドライブ

ソニーのブース

 日本ではすでに発売されている4色CCDのサイバーショット DSC-F828や、カーボン外装のバイオノート505Xの展示が人気のソニーブースだが、ここCESで世界初公開となった製品はさらに大きな注目を集めている。

 それは「Location Free TV」と呼ばれる製品で、12.1型のタッチパネル付き液晶ディスプレイ部分とTVチューナーユニット(ベースステーション)で構成されるもの。ベースステーションとディスプレイはIEEE 802.11a/gで無線接続され、ディスプレイ部にはメール機能やWebブラウズ機能を備える……一見すると同社の「エアボード」のようだが、同社は「たしかにベースはエアボードだが、まったく違う新しいコンセプトの製品」と強調する。

 その理由は「エアボードは家の中で使うものだったが、Location Free TVはその名のとおり、家の外からでも使えるもの」だからだという。

 ディスプレイ部は単体でもインターネット接続が可能で、出先のホットスポットやEthenetから、自宅のベースステーションに接続し、ベースステーションからストリーミングされるTV番組を見ることができる。会場のディスプレイ部は実際に、東京のベースステーションからリアルタイムで送られてくる日本のテレビ番組を映していた。

Location Free TV。女性が持っているのがディスプレイ部で、左にあるのがベースステーション。ベースステーションはTVチューナーのほか、ビデオ入力×2、Ethernet、無線LAN、プリンタ用USBポートを備える 東京のベースステーションが受信している日本のTV番組を、会場のディスプレイ部に映す。取材したのが米国時間で金曜の夕方なので、日本の土曜の午前中の番組が流れていた 着せ替えパネルも用意

 さらにベースステーションには、他のAV機器を赤外線リモコンコマンドでコントロールする機能がある。ディスプレイ部から、ベースステーションに接続されたPSXなどをコントロールし、その中のコンテンツを見ることもできるわけだ。一般的な赤外線コマンドをサポートしているので、ソニー製でない機器でもコントロールできるという。

 またディスプレイ部は、メモリースティックスロットを備え、デジタルカメラで撮影した静止画や動画を再生することもできる。外出時に12.1型のディスプレイは重過ぎる、という向きのために、5.8型液晶を備える小型のディスプレイ部も試作されている。なお、1台のベースステーションに接続できるディスプレイ部は1台のみとなっているが、技術的には複数のディスプレイ部を同時に接続することもできるという。

 米国では9月に発売する予定。価格は未定。日本での発売も未定だ。

外出先から家にあるベースステーションと、ベースステーションに接続された機器をコントロールする 5.8型ディスプレイを搭載した小型版試作機

 このほか同社ブースでは、片面2層DVD+Rの記録再生に対応したDVD±RWドライブが展示されている。5インチベイ内蔵タイプで、動作はしていなかった。

片面2層+R対応ドライブ 2層+Rメディアの模型

□関連記事
【2000年9月28日】ソニー、無線LAN搭載のインターネット液晶TV「エアボード」
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/20000928/sony.htm
【1月8日】【CES】DVD+RW Alliance、16倍速DVD+R規格を年内に策定
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2004/0109/ces04.htm

●ソニーブースはQRIOがお出迎え

 ソニーのブースを訪れた見学者は、シアターに通され、QRIOの踊りと、QRIOの司会によるイメージビデオを見せられることになる。もちろんQRIOは英語で司会をしている。

おなじみ「We are QRIO」のテーマで踊るQRIO。シアターが入れ替え制で、次の見学者を入れなければならないため、早く外に出るように促されるのだが、それでもQRIOの近くで写真を撮ろうとする人が多く、ソニーブースに入るのは結構大変 「SONY Like no other」と題されたイメージビデオを見てからブースに入場する

●PCもクライアントになる東芝のメディアサーバー

 東芝についてはHD DVDについてレポートしたが、ここでは前夜祭「Digital Experience」でも展示されていたデジタルメディアサーバーについてレポートする。

 ハードドウェアの仕様は、CPUにCeleron 733MHz、チップセットにIntel 835を搭載し、DVDドライブ、HDD、Ethernetなどを搭載する、というようにホームサーバーの構成として一般的なものだが、同時に複数のストリームを配信可能など、様々な新機能を搭載している。

 無線LANにも対応し、IEEE 802.11a/b/gのほか、会場ではUltra Wide Band(UWB)による映像配信のデモも行なっていた。このUWBアダプタは、PCへの適用も検討しているという。

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アドバンスド・メディア・サーバー UWB経由で2つの映像を同時に右上の2つのディスプレイに配信するデモ デモのシステムの全体図
UWBアダプタのアンテナ

 また、メディアサーバーに搭載されているユーザーインターフェイスと同様な機能を持つ、PC用のクライアントソフトが用意されており、PCからメディアサーバーをコントロールし、メディアサーバー内のコンテンツをPCで再生することもできる。

 PC上でデジタルコンテンツを扱う際に問題になるのがデジタルデータの著作権保護だ。このメディアサーバーは著作権保護規格「Digital Transmission Content Protection(DTCP)」にも対応することで、この問題を解決している。DTCPに対応していない、認証されないクライアント上ではメディアサーバー内のコンテンツは再生できないのだ。またDTCPは本来、IEEE 1394上を通るデータの著作権を保護するためのものだが、メディアサーバーではIEEE 802.11a/b/g上のデータにも適用している。

メディアサーバーのGUI(左)とPC用クライアントソフト DTCP対応クライアント(右)と非対応クライアントに同時配信するデモ

●松下は1GB SDカード

 松下電器産業は、日本の大手家電メーカーの中でももっとも豪華かつ大規模な展示を、一等地で行なっている。が、展示されているのは日本ではすでに発売されているものがほとんど。10倍光学ズームのLUMIX FZ10や、超小型デジカメのD-Snapシリーズは、米国でも大きな注目を集めている。

 そんな中、あっさりと展示されているのが1GB SDメモリーカード。すでにグリーンハウスから製品化が発表されているが、松下電器ブランドのものが公開されるのは初めてだ。

豪華な松下電器ブース USBカードリーダーに挿し込まれた1GB SDメモリーカード 1GB SDメモリーカードは、ウルトラハイスピードタイプと通常タイプのデータ転送速度の違いを見せるデモに使われている

□2004 International CESのホームページ(英文)
http://www.cesweb.org/

(2004年1月10日)

[Reported by tanak-sh@impress.co.jp]


【PC Watchホームページ】


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