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三洋、超格子合金採用のニッケル水素電池に関する説明会を開催

説明を行なったビジネスユニットリーダー兼エナジー研究所所長 工学博士の米津 育郎氏

11月28日 開催

 三洋電機株式会社は28日、27日に同社が発表した新電極材料「超格子合金」を採用したニッケル水素電池に関するプレス向け説明会を都内で開催した。

 従来までのニッケル水素電池では、負極材料に希土類元素とニッケルを含有した1種類のXユニット(AB5型)の単純な積み重ねによって構成されていた。'90年の実用化以降、この構造を維持しながら改良を施し、高容量化を図ってきた。

 超格子合金はXユニットのほかに、希土類元素とニッケル、マグネシウムを含有したYユニット(AB2型)と組み合わせて負極材料を構成する。Y:X=1:2の比率で構成され、一定のパターンで格子状に積み重なった独自の構造となる。

 Yユニットは、Xユニットと比べて水素原子の吸収量が大きい反面、放出しづらいという特性を持つ。単純にYユニットを積み重ねるだけでは実用レベルでの水素原子放出(放電)ができなかったが、水素原子を放出/吸収しやすいというXユニットの特性を上手く組み合わせることで、両ユニットの「いいとこどり」に成功したとしている。

従来の負極材料の構成図。希土類元素(水色)とニッケル(黄色)の原子構造を単純に積み重ねた構成 新構造の「超格子合金」結晶構造。希土類元素(水色)とニッケル(黄色)にマグネシウム(赤)を加えた従来と異なるユニットで構成される 2つのユニットが格子状のパターンで配置される構造

同社製ニッケル水素電池容量の変遷
 従来の負極材料では理論限界容量が370mAh/gだったのに対し、現時点で400mAh/gを越える合金の開発に成功しており、従来比約25%の高容量化が実現できたという。

 なお、電池容量全体に占める負極材料の割合は1/3に満たないため、現時点で電池全体の容量は従来比で約10%程度の増加に留まる。

 放電特性に優れ、ハイパワー用途にも向く。また、低温特性が向上しており、-20度の環境下で従来では約30%だった放電率が約60%になった。そのほか、従来の負極材料では微粉化抑制に必要なコバルト材料が不可欠だったが、超格子合金は構造そのものが微粉化現象を小さくできるため、高価なコバルト材料の大幅削減による低コスト化が図れるという。

 2004年4月頃発売の携帯電話向け製品を皮切りに、市販の乾電池や電動工具向け製品、ハイブリッド電気自動車用途向けなどに展開し、順次ニッケル水素電池を超格子合金方式に切り替えていくとしている。

 超格子合金は、当初東芝と東芝電池によって開発され2000年10月に基本的な思想が発表された。2001年4月に東芝電池から三洋電機にニッケル水素電池事業が譲渡されたことに伴ない、開発が三洋電機で引き継がれた。成分配合を変更したことでリサイクル寿命を実用レベルへと改善し、27日の発表に至った。

□三洋電機のホームページ
http://www.sanyo.co.jp/
□ニュースリリース
http://www.sanyo.co.jp/koho/hypertext4/0311news-j/1127-1.html
□関連記事
【11月27日】三洋、ニッケル水素充電池用の新電極素材「超格子合金」
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2003/1127/sanyo.htm
【7月10日】三洋、公称容量2,300mAhの単三型ニッケル水素電池
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2003/0710/sanyo.htm

(2003年11月28日)

[Reported by yosida-s@impress.co.jp]


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