COMDEX Las Vegas 2003前日レポート


会場:米国ネバダ州ラスベガス市 ラスベガスコンベンションセンター
会期:11月16日~20日



 かつて“世界最大のIT系展示会”と呼ばれていたCOMDEX Fallだが、ここ数年は出展社の減少も相次ぎ、主催者であるKey3Media Groupが破産申請(その後、MediaLive Internationalに名称を変更して営業を継続)したりと、かつての勢いはすでに無くなってきている。

 主催者の社名も新しくなり再生1年目にあたる今年のCOMDEXは、ビジネスソリューションをテーマとして、企業内の購買担当者などをターゲットとしたIT系の総合的なイベントとして生まれ変わることとなる。

 昨年までの“COMDEX Fall”から、“COMDEX Las Vegas 2003”となった本イベントは、11月16日(現地時間)夜に行なわれる恒例のMicrosoft ビル・ゲイツ会長兼CSAの基調講演よりスタートすることになる。

●3つあるLVCCホールのうち1つだけに縮小された展示会場

会場となるラスベガスコンベンションセンター(LVCC)

 年々縮小していくCOMDEXの規模だが、特に今年は目に見える形で明らかに縮小している。展示会場となるラスベガスコンベンションセンター(Las Vegas Convention Center)には大きく3つのホールに分かれている。ノースホール、セントラルホール、サウスホールの3つだ。

 昨年のCOMDEX Fall 2002においてはノースホール、セントラルホールが利用されていたのだが、今年はセントラルホールのみとなっており、確実に規模が縮小されている。現時点では主催者側から最終的な出展者数などが発表されていないため、どの程度に縮小されているかはわからないが、展示面積という点では明らかに縮小していると言っていいだろう。

 ちなみに、COMDEXのライバルと目されてきたInternational CESの場合、今年はノース、セントラル、サウスのすべてが利用されており、規模の点では段違いとなってしまった。

 実際、出展社のリストを見ていても、PC系の企業で出展しているところは、Microsoftが大規模なブースを備えている程度で、他にはAMD、ATI、Intel、NVIDIAなどがブースは備えていないものの、顧客向けの商談ブースを用意している程度になっている。NEC、富士通、ソニー、東芝といった日本メーカーや、Dellなど米国のPCベンダはリストに載っていない。

 大手メーカーが撤退した背景には、COMDEX自体の開催方針が変更されたことにあるといえる。昨年までのCOMDEXは一般来場者も相手にしたイベントであったのに対し、今年度は一般来場者に50ドル(日本円で約5,500円)の入場料を課しており、一般参加者を相手にしていないのは明らかだ。

 このため、COMDEXのテーマ自体も企業のビジネスソリューションなどといった、やや曖昧なものになっており、そうしたことが総合的に影響してこのように出展社が減ってしまったと考えることができるだろう。

●商談や発表会が周辺のホテルで行なわれるスタイルは従来のまま

 展示会という意味では、縮小されてしまったといえるが、IT業界にとっての商談の場という意味では、その役割はまだ終わっていないようだ。

 例えば、COMDEXに出展していないコンポーネント系のメーカー、例えばマザーボードベンダなどは会場近くのホテルのスイートルームにおいて、顧客向けに限定した展示と商談を行なっている。また、同じく出展していない米国のPCメーカーも同様で、顧客や報道関係者だけをターゲットにした商談や説明会などを開催している。

 COMDEXに出展しない企業がこうした別の手段を用意する理由は、COMDEXが開催される11月中旬というタイミングが、来年に発表する製品やクリスマス商戦に投入する製品の発表タイミングとして最適だからだ。

 実際、NVIDIAは月曜日にモバイル向けGPUの新製品発表会を予定しているなど、各社このイベントに新製品の投入タイミングを合わせてきているのだ。そうした意味では、イベントそのものにはあまり新製品は展示されないが、周辺で行なわれるイベントではいくつかの新製品が登場することになるだろう。

 なお、COMDEXの主催者であるMediaLive Internationalと同じ米国のイベント企画会社であるJupiterEventsは、LVCCからやや離れた場所にあるマンダレイベイホテルにおいて、cdXpoというCOMDEX対抗のイベントを企画している。こちらも企業向けのITシステムをテーマに掲げており、COMDEXとの対決の行方にも注目が集まっている。

●16日夜に開催されるビル・ゲイツ氏の基調講演よりスタート

 前日となる15日には、参加者の登録や会場の準備などが行なわれていた。展示会場にはすでにブースなどが設置されつつあり、各社とも準備は快調に進んでいるようだ。

 なお、COMDEX Las Vegas 2003は、11月16日(現地時間)の夜に行なわれるMicrosoft ビル・ゲイツ会長兼CSAの基調講演より開始される。

 昨年までMGMグランドホテルの巨大シアターで行なわれていたこの基調講演も、今年は会場を、より小さなアラジンホテルのシアターに変更して実施される。昨年はOneNoteとSPOT、一昨年はTablet PCについて語られたが、今年はTablet PCの最新版などについて語られる見通しだ。

 PC WatchではCOMDEXに関係したニュースを随時お届けしていく。

会場内では展示会に向けた準備が進められていた

□COMDEXのホームページ(英文)
http://www.comdex.com/
□MediaLive Internationalのホームページ(英文)
http://www.medialiveinternational.com/
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【2月4日】COMDEXの主催会社Key3Mediaが破産法申請
~主催イベントは予定通り開催
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2003/0204/comdex.htm

(2003年11月17日)

[Reported by 笠原一輝]


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