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バイオノート505エクストリーム&バイオP 発表会レポート
~新市場を創造し続けるのがバイオ

11月12日開催



 ソニーは12日、新製品「バイオノート505エクストリーム」と「バイオP」の発表会を、都内で開催した。発表会ではIT&モバイルソリューションズネットワークカンパニーの木村敬治NCプレジデントと、同ネットワークカンパニーVAIO商品開発本部の島田啓一郎本部長が、新製品について説明した。

●米粒に58個乗る部品とMDサイズの基板で「505をもう一度」

「盛田昭夫語録」などが並ぶ本棚の、本の間から登場したバイオノート505エクストリーム

 製品の詳細は島田氏から説明された。同氏はまず、3月のバイオZ/バイオU発表会の時と同様に、今年のテーマを「モノづくり伝統の復権」とし、かっこよさや質感を強化した、こだわりの製品を目指していると述べた。

 バイオノート505エクストリームについては、「初代505の正統進化」と位置づけた。「フルスペックモバイル」として機能強化に努めた結果、2スピンドルとなり2kg弱まで重量を増やしたPCG-V505系とは「一線を画す」とし、初代505の「“持つ喜び”を備え、誰もが羨むスタイル」、「質感、薄さ、軽さを実現するモノづくり」という原点に回帰したモデルとした。

 このような世界最薄最軽量を支える技術として、部品占有率が90%に及ぶ10層の超高密度実装基板(通常は40~70%)や、それを実現するための、超小型電子部品を紹介。抵抗やコンデンサの大きさは0.6×0.3mmで、「米粒の上に58個乗る」とした。これによりマザーボードをMDサイズとし、マザーボードとHDDキーボードなどのコンポーネントを同一平面状に配置することが可能になり、本体を薄くできたとした。

 このほか、外装のニッケル強化カーボンモールド(ソニースタイルモデルではカーボンファイバー積層板)による軽量化と高剛性化、グラファイト熱拡散シートによるファンレス/ヒートシンクレス化、ベースプレートにマグネシウム合金を採用したキーボードなど、数々の技術を紹介した。

IT&モバイルソリューションズネットワークカンパニー VAIO商品開発本部の島田啓一郎本部長 初代505と505エクストリーム
505シリーズの系譜。505エクストリームは初代のコンセプトに原点回帰する MDサイズのマザーボードは10層基板
極小電子部品(左)と超高密度実装
基板やHDDを重ねずに配置したことも、薄型化に貢献
通常モデルの外装にはニッケル強化カーボンモールドを採用
ソニースタイルモデルの外装にはカーボンファイバー積層板 素材による剛性や比重の違い
放熱にはグラファイトシートを採用し、ファンとヒートシンクをなくした

●待ちわびたユーザーを裏切らないように

 続いてデザインを担当した森澤有人アートディレクターがバイオノート505エクストリームの箱を抱えて登壇、梱包からアクセサリまでを含んだデザインへのこだわりを語った。なお、森澤氏はクリエPEG-SJ33のデザイナーとして知られている。

 森澤氏は「このモデルを待ちわびたユーザーを裏切らないこと、同梱物、パッケージも本体以上の作り込みをすること」を大切にデザインしたとし、そのまま本棚に入れられるようにファイリングされたドキュメントやCD-ROM類、アクセサリポーチ、薄く作ったキャリングケースを紹介。

 とくにアクセサリについては目標を「本体より厚いものが存在してはいけない」とし、ディスプレイ&LANアダプタを薄くするためにマグネシウム合金を採用したこと、無線LANカードを本体と一体化するようにデザインしたことなどを紹介した。

 本体については、ヒンジ部の円柱部分にコネクタやバッテリなどを収め、CPUの内蔵部分、キーボード部などが分離して見えるデザインを採用。また、持ち歩く製品なので「裏も表になる」との考えから、底面の凹凸を無くしたことなどを述べた。こうしたトータルコーディネートにより「X505の世界観を作り出し、ひとつの空気でユーザーを包み込む」とデザイン意図を表現した。

505エクストリームのパッケージを持つ森澤有人アートディレクター ディスプレイ、円柱、CPU部、キーボードなどに分けたデザイン アクセサリや同梱物にも本体との統一感を出した

●日本の文化を引き継ぐ? はこべてしまえるバイオP

 バイオPについて島田氏は、70%のユーザーがノートPCを外出先に持ち出さず、宅内でのみ使っているという調査を紹介。また、日常で使われる製品を、置きっぱなしで使う「固定据置系」、家庭内で運べてしまえる「可搬収納系」、外に持ち出す「移動携帯系」に分類し、「日本の文化には、座卓やこたつ、布団のような、“たたむ、しまう、どこでも使える”商品がたくさんある」と述べ、バイオPを「はこべてしまえるPC」とし、このようなPCとしてノートPCを使ってるユーザーを、バイオPの潜在ユーザーと位置づけた。

 そして、運べてしまえるPCの条件として「薄くたためる、ハンドルがある、ディスプレイ/キーボード一体型で、突起が無く、たたんだときに画面が保護される、リビングになじむデザイン、大画面、すぐ使える、TVやDVDをリモコンで見たい、家具を傷つけないよう底面が保護されていてほしい」などをあげた。

 このような家庭内での可搬性、収納性を考慮し、似たような形状をとった製品は他社からもすでに発売されているが、「運ぶ、しまえるということを真剣に考えて実現できた製品はバイオPが最初と自負している」(ソニーマーケティング 佐藤一雅 業務執行役員)、「運ぶ、しまうということには複数の、多くの必要条件がある。これらを網羅し、回答としたのがバイオPであり、他社との違いはそこにある」(島田氏)と述べ、バイオPが新たな市場を開拓できるとした。

 バイオPでも担当デザイナーの横田氏が登壇、バイオPを「家の中でモバイルするためのパソコン」と述べた。デザイン上の工夫として、キーボードのヒンジを本体背面に設置したことをあげた。これにより、「キーボードの一部が本体の下にもぐりこんでいるため、キーボードを開いても省スペースになる」とし、一方でたたんだときに、ディスプレイ全体をキーボードでカバーできる。また、マウスやACアダプタを本体に収納できる機能なども紹介した。

バイオPは「運べてしまえる」可搬収納系製品
担当デザイナーの横田氏 ヒンジを背面に配置し、キーボード展開時の省スペース性と、ディスプレイ全面をカバーできる面積を両立
背面上部にマウス収納用のポケットを備える。ACアダプタはスタンド部に巻きつける

●新市場を創造し続ける

 発表会冒頭では木村NCプレジデントがバイオのこれまでと、新製品につながる流れを総括。バイオはAVとITの融合など、PCにおける新しいコンセプトを提案してきたと述べ、バイオPもバイオノート505エクストリームも「まったく新しい形態のPC」とした。また、バイオPについては「我々はノートPCとデスクトップPCの境界は無くなったと思っている。パソコンは今までの形態にない形に進化していく。(バイオPは)そのひとつとして、自信を持った提案」とした。

 また「新しいものへの期待感は、過去に無かったほど大きい。バイオは新しいコンセプトによって市場を作り出してきた。バイオグループは新しい市場を作り続ける覚悟であり、今日の商品はそうしたことへの、バイオに関わる全員のコミットメント」とした。

 なお、ソニーがデジタル家電中心の製品戦略を打ち出している中での、バイオの位置づけについては「バイオがひとつの大きなプラットフォームであることに変わりはないので、これからもこのカテゴリの商品は大きな流れとして存在する。私自身は、世の中のすべてがWindowsプラットフォームになってしまうことはないし、その逆もまた真と考える。業界、市場、技術の方向性をドライブしていくものとして、PCは最大のプラットフォーム。いろいろなプラットフォームが相互につながる形を作っていくし、その中でソニーにとってのバイオの位置は変わらない」と述べた。

IT&モバイルソリューションズネットワークカンパニーの木村敬治NCプレジデント バイオの価値は市場創造

□ソニーのホームページ
http://www.sony.co.jp
□関連記事
【11月12日】ソニー、重量825g、最薄部9.7mmの「バイオノート505 エクストリーム」
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【3月12日】ソニー、バイオU、Z発表会を開催、デザインを語る
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(2003年11月12日)

[Reported by tanak-sh@impress.co.jp]


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