買い物山脈

ザ・フィットマウス<手の匠>のフィット感




品名コクヨ ザ・フィットマウス<手の匠>
購入価格5,980円
購入日2003年10月27日
使用期間約1週間

「買い物山脈」は、編集部員やライター氏などが実際に購入したもの、使ってみたものについて、語るコーナーです。

●肩こりの解決となるか!?

 筆者は、猛烈な肩こりに悩まされている。特に右の肩から首にかけては、月並みな言い方をするとまさに“鉄板”とも言うべき凝り固まり方で、ラジオ体操を朝昼晩3回やっても、ほぐれるには3年くらいかかるんじゃないかと思うくらい、絶望的な症状だ。一度整体にも行ってみたのだが、はっきりいって治療にならない。治療師さんがちょっと揉みほぐそうとしただけで電流が走るような痛みに襲われ、30分の治療終了後は、川を上り終えた鮭のようにぐったり。多少体が軽くなりはしたが、2回目に行くかと聞かれれば「……」というのがホンネだった。

 もちろん、左肩も凝っているのだが、右と比べると比べものにならない。この肩こりの犯人捜しをすれば、おのずと答えは出る。マウスだ。マウス(もしくはマウスの使い方)が悪いのだ。が、犯人はわかっていたものの、トラックボールにすべきか、ただマウスを変えればいいのか、打開策に欠け、困っていた。

 そんな折り、Watch編集部界隈でも話題になっていたコクヨのユニバーサルデザインマウスこと「ザ・フィットマウス<手の匠>」が編集部にやってきたと聞き、全国1,000万のマウス肩こり症患者の期待に応えるためにもさっそくお借りして、使用感と肩こりへの影響を確かめることにした。

●センサーの読み取りで問題発生

 パッケージ内容は意外とシンプルで、マウス本体とUSBのワイヤレスレシーバ、USBからPS/2への変換コネクタ、マウス本体の電源となる単4アルカリ電池2本という構成。専用のドライバやユーティリティは添付されておらず、導入はレシーバをUSBポートに差すだけと非常に簡単だ。

 本製品は、「手にやさしく、使いやすいマウス」をコンセプトとした「ユニバーサルデザイン」を謳った光学無線マウス。利き手を選ばない左右対称のデザインと、高さ/傾斜/曲面形状などあらゆる点で手にフィットする形状が特徴。また、底面部にマウスと一体化された「リストパッド」を備える。光学センサー部の解像度は800dpi。

 いよいよ使用、という段になって問題発生。筆者の机だとうまくポインターが動いてくれないのだ。無線リンクを設定し直したり、机に鉛筆で薄く格子模様を描いてみたり、あの手この手であがいてみたがやはりダメ。

 マウスパッドを敷けば支障なく作業できることはわかったが、リストパッド一体型のこの形状でマウスパッドを下に敷いてる姿はこの上なくカッコ悪い。それ以上に、なにか使い方として間違えているような気がする。

 同じ机でも、マイクロソフトの「Wireless IntelliMouse Explorer」最新モデルではパッドなしで動いているので、センサー部の改善に期待したいところだ。しかし、背に腹は代えられないので、今回はマウスパッドを併用することにした。

このようにマウスとリストパッドが一体となっている 読み取りは光学式 単4乾電池2本で動作する
ワイヤレスUSB送信機は折りたたみが可能 この机の模様ではうまくポインターが動いてくれない

●野球のボールを握るような感覚

 というわけで丸1週間、「意味ないじゃん」というツッコミで自らを戒めながら、Webブラウジングやメール、原稿執筆、画像処理など通常業務に使用した。ポインターの動きに関しては、大きな不都合は感じなかった。やはり手首のスナップを効かせなくてもポインターを移動できるのがなかなか新鮮。

 「この感覚、どっかで体験したことあるよなぁ」などと思っていたらトラックボールだった。トラックボールは手の移動がなく指先だけで操作できるのが特徴だが、「手の匠」も操作感としてはそれに近い。人間工学的にどうなのかは門外漢なのでわからないが、長時間使用したときの疲れる部分が、通常のマウスを使用したときと違うような気がする。

 これまでは手首の部分を支点として左右にマウスを動かしていたが、「手の匠」を使うようになると、手首がマウスと一体型になったパッド部分の上に乗るため、支点が大きく移動し、肘から先の部分全体を使って操作するようなイメージになる。

 逆に言えば、スナップを効かして操作することができず、人によっては慣れが必要かもしれない。筆者は試用中、さほど苦労しなかった。が、あえて1つ苦労点を挙げるならば、数ピクセル単位での操作が必要になる画像処理だ。手首での操作で調整する癖がついていたため、肘を支点にした操作にまだ慣れておらず、操作の精度で問題が出た。

 もう1つ残念なのは3ボタンだということ。この「手の匠」、マウスのボタン部を中心に、ちょうど野球のボールを握るようなフォームで使用する。この感触が何とも心地いい。これで、握った親指と薬指の部分に、オプションボタンがあればもっと便利なのにと思うことが多かった。

 たとえばエディタでカット/ペーストを割り当てたり、IntelliMouseのようにブラウザの戻る/進むを割り当てると、親指から薬指まで、4本の指でオペレーション可能になり、通常の5ボタンマウスより一歩進化した操作感が得られるような気がする。構造的になかなか難しそうではあるが、次期バージョンでは5ボタンモデルをラインナップに加えて欲しいところだ。

握ると野球のボールを握るようなフォームになる 左利きでも何ら問題なく利用できる

●肩こりの解消には期待薄

 さて、本題? の肩こりへの影響について述べておこう。正直なところ、1週間程度ではその効果のほどがわからなかった。長時間使用していると「あ、ラクだな」と感じることはあるものの、肩こりへの直接的影響はまだ感じられずにいる。長期的に使用すれば、現在筆者が苦しんでいる肩こりは解消されるかもしれない。

 しかし、今までとは別の部分の筋が疲れていると感じることもあり、酷使している部分が違うだけで、ほかの場所が痛くなるだけのような予感もする。とりあえずもう少し使い続けてその効果のほどを確かめたい。

■■ 注意 ■■

・分解/改造を行なった場合、メーカーの保証は受けられなくなります。
・この記事を読んで行なった行為(分解など)によって、生じた損害はPC Watch編集部および、メーカー、購入したショップもその責を負いません。
・内部構造などに関する記述は編集部が使用した個体に関してのものであり、すべての製品について共通であるとは限りません
・PC Watch編集部では、この記事についての個別のご質問・お問い合わせにお答えすることはできません。

 最後にこの変わった形のマウスを分解してみた。やはりこの形状では基板の絶対的な面積が足りないのか、2層構造になっている。詳しくは写真をじっくりご覧頂きたい。

上蓋を外したところ。ボタン周辺部にアンテナがある 緑の基板を取り外すと、その下からさらに別の基板が出てくる
USBモジュールも分解 基板の実装密度は割と高い

□関連記事
【10月14日】コクヨ、リストパッド一体型の「ザ・フィットマウス<手の匠>」
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2003/1014/kokuyo.htm

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(2003年11月10日)

[Text by 伊藤大地]


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