Microprocessor Forumレポート

Efficeonの発表会でシャープがTM8600搭載製品を参考出品


TransmetaのEfficeon。L2キャッシュが1MBのこのモデルはTM8600の型番で呼ばれることになる
会場:アメリカ合衆国カリフォルニア州サンノゼ フェアモントホテル
会期:10月13日〜16日(現地時間)



 Microprocessor ForumのカンファレンスでEfficeonの詳細を明らかにしたTransmetaは、14日午後(現地時間)に「Efficeon」に関する発表会を開催。発表会では、Efficeonに対応した製品が多数展示。中でもシャープはEfficeonを搭載した試作ノートPCの展示を行ない、大きな注目を集めた。

●Efficeonでカバーする市場を拡張

 発表会では、同社の社長兼CEOのマシュー・ペリー氏が「EfficeonによりOEMメーカーは望みの製品を作ることができるようになる」と述べ、従来の熱設計消費電力の枠を守りながら処理能力の向上を実現したEfficeonで、同社がさらなる飛躍を目指すと宣言した。

Transmeta社長兼CEOのマシュー・ペリー氏

 さらに、ペリー氏は「Efficeonで当社は、ウルトラポータブルのノートPCだけでなく、メインストリームのノートPCやブレードサーバー、静音デスクトップPCなどに取り組んでいく」と述べ、Transmetaがカバーするマーケットを広げていくことを示した。

 Transmetaにとって、Efficeonのリリースは、待ちに待った製品だ。というのも、2000年にリリースされたTransmetaの最初の世代の製品である「Crusoe」は、リリース当初こそ200ドルを超えるような高付加価値製品として売ることができた。しかし、その後回収騒ぎや出荷遅延などの問題が重なり、ASP(平均売価)は下落し、結果同社の決算は非常に厳しいものとなった。

 同社の共同創始者で副会長兼CTOのデビット・ディッツェル氏は、「Efficeonリリース直前時点のCrusoeのASPは60ドル以下」と述べており、その結果7月に発表された第2四半期の決算では、2,000万ドルという会社のオペレーションコストに対して、売り上げが500万ドルという状況になってしまっていた。

 そこで、一打逆転を狙って投入されたのが、このEfficeonだ。ディッツェル氏はプレゼンテーションの中で、EfficeonのASPを100ドル前後に置いているというスライドを公開。つまり、低消費電力でありながら、高い処理能力を持つEfficeonを導入することで、ASPを引き上げ、収益体制も改善していくというのがTransmetaの戦略ということになる。

 別レポートでも解説したとおり、EfficeonのTM8600 1.1GHzは、900MHzの超低電圧版Pentium Mと互角かそれを上回る性能を持っているとTransmetaでは説明。また、熱設計消費電力が互角で、バッテリ駆動時間に影響を与えるアイドル時の消費電力が低いという付加価値を考えれば、製品としての魅力は超低電圧版Pentium Mに勝るとも劣らないものだと言ってよい。実際、超低電圧版Pentium M 1GHzの1,000個ロット時の価格が262ドル、900MHz版が241ドルであることを考えれば、100ドルというASPも決して夢物語というわけではない。

EfficeonではCrusoeがカバーできなかったメインストリームノートPCなどにもターゲットをのばしていく Efficeonの価格帯。Efficeonでは80ドル〜100ドルオーバーの価格帯を狙っていき、収益改善を目指す Efficeonを手に持ち、誇らしげに公開するTransmetaの共同創始者で副会長兼CTOのデビット・ディッツェル氏

●シャープ、富士通、HPがOEM採用

ペリー氏が公開したOEMベンダのリスト。日本のベンダでは富士通とシャープが入っている

 注目のEfficeonを採用するOEMベンダは、ペリー氏のプレゼンテーションの中でいくつか明らかにされた。その中でも大手OEMベンダでは、シャープ、富士通、HPの3社が明らかにされた。

 ただし、この3社がOEMベンダとなるというのは、ある程度既定路線だったと言ってよい。というのも、この3社は現在でもCrusoeベースの製品をリリースしており、その後継としてEfficeonを採用する可能性が高いと見られていたからだ。

 とはいえ、その3社もすぐにEfficeon搭載マシンをリリースするのかと言えば、どうもそうではなさそうだ。シャープは現在Crusoeを搭載マシンとして発売している「PC-MM1-H5W」の筐体を利用した試作機を展示していたが、富士通はまだケースには入っていない開発途上、というよりCPU評価段階というレベルのサンプルボードを展示したのにとどまっており、HPに至っては、全く展示などはなかった。

 今回の発表会を見る限り、シャープは今すぐにでも出荷可能なように見受けられたが、富士通の説明員によれば「現段階では評価段階で、実際に製品を出すのかなどについて答えられる段階ではない」と、実際に製品としてリリースされるのかどうかなども含めて未定という答えだった。

 こうした状況を見ると、TransmetaのOEMベンダ獲得には、まだ超えなければいけない高いハードルがある、というのが発表会に出席していた多くの関係者の一致した見方であるようだ。

シャープの試作マシン。TM8600 1GHzを搭載。メモリ容量は256MBで、そのうち32MBがCMSキャッシュに割り当てられていた。ビデオチップはEfficeonのAGPポートに接続されたMOBILITY RADEON(M6)で、サウスブリッジはALi(ULi)のHyperTrasnport対応「M1563M」が採用されていた 富士通の評価ボード。まだまだ評価ボードの段階であり、実際に製品として投入されるのか、また投入されるとしてもどのような製品になるかは未定

●Efficeon搭載ノートPCなどが複数展示される

 発表会と同時に行なわれた製品デモでは、前述のように、シャープが10.4型液晶搭載ミニノートPCを展示したほか、台湾のAMOiが10.6型ワイド液晶を採用したミニノートを展示。

 また、NVIDIAのnForce3をサウスブリッジとして採用したリファレンスマザーボードなども展示されていた。現段階ではこれらの製品がいつ出荷されることになるのかは明確ではないが、Efficeon自体は第4四半期中に出荷される予定で、一部製品は今年中には登場することが予想される。

AMOiのV3。TM8600 1.1GHz、メモリ256MB、HDD 60GB、10.6型ワイド液晶、USB接続の外付け光学ドライブという仕様。サイズは270×183×25.5mm、重量1.2kgと軽量を実現している。ただ、電源は入っておらず、実際にさわって試すことはできなかった GBMのEfficeon搭載12.1型液晶搭載ノートPC。ただし、電源は入っておらず、それ以上の詳細は公開されていなかった
EfficeonとnForce3 150を搭載したブレードサーバーボード EfficeonとnForce3 Professional 250を搭載したテスト用のマザーボード
EfficeonでDVDを再生しながらサーモグラフィで熱を計測するデモ。DVD再生時でもファンなしで摂氏30度という温度で駆動しつつづけていた DVD再生時の消費電力の比較デモ。上段がEfficeonで、下段が超低電圧版Pentium M 900MHz。Efficeonが0.5W程度であるのに対して、超低電圧版Pentium Mは1.269Wとなっている

□Microprocessor Forumのホームページ(英文)
http://www.mdronline.com/mpf/
□関連記事
【10月15日】【MPF】ついにベールを脱いだTransmetaの秘密兵器Efficeon!
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2003/1015/mpf01.htm

(2003年10月15日)

[Reported by 笠原一輝]


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