石井英男のDigital Life

PCで生活習慣病の予防ができる「ヘルスプラネット」
~運動不足やダイエットに悩む人にもオススメ




 筆者もそうだが、いわゆるIT業界の人は、PCに向かっている時間が多く、運動不足になってしまいがちだ。それに加えて、生活リズムも不規則になりがちで、ついコンビニやファーストフードで食事を済ませてしまうといった人も多いのではないだろうか。こうした生活を送っていると、高血圧や心臓病といった生活習慣病にかかるリスクが高くなる。

 そこで今回は、PCで血圧や体重、体脂肪、歩数計などの情報をチェックすることによって、生活習慣病の予防ができる「ヘルスプラネット」を取り上げてみたい。

●体脂肪計、血圧計、歩数計のデータをPCで一括管理できる

左上がレシーバー、左下が歩数計、中央が体脂肪計、右がデジタル血圧計。ヘルスプラネットはこの4点から構成される

 昔から、健康食品やダイエット食品、運動器具などはあったが、ここ数年、そうした製品がさらに増えてきているように思う。食生活が欧米化したことや運動不足などによって、自分の健康に不安を感じる人が増えてきたのであろう。

 運動不足やカロリーの摂りすぎといった、不摂生な生活習慣が発症のメカニズムに大きく影響する病気を「生活習慣病」と呼ぶ。例えば、高血圧や糖尿病、脳血管疾患、高脂血症、がんなどが、生活習慣病の代表である。生活習慣病は、以前「成人病」と呼ばれていたが、最近は子供でも、糖尿病や高血圧、高脂血症などが目立つようになり、生活習慣病という名で呼ばれるようになった。

 さて、こうした生活習慣病を予防するには、毎日の食生活や運動習慣、ストレスコントロールが重要になってくる。しかし、忙しい毎日を送っている現代人は、規則正しい生活や十分な運動をしようと思ってもなかなか難しい。特にIT業界関連の人は、PCなどに向かう時間が多く、運動不足になりやすい。しがないライターである筆者も、締め切り前などは昼夜逆転したり、食生活が乱れてしまうことが多い。運動不足もたたって、学生時代に比べると、ずいぶん体重が増えてしまい(要するに「肥満」ということだが)、なんとかしたいとは考えていた。

 そこで目を付けたのが、体重計やキッチンスケールなどで有名なタニタの「ヘルスプラネット NT-001」である。ヘルスプラネットは、体脂肪計、デジタル血圧計、歩数計、レシーバーの4点から構成されており、体脂肪計、デジタル血圧計、歩数計で計測したデータをワイヤレスでレシーバーに送信し、そのレシーバーをUSB経由でPCに接続することで、PC上でそれらのデータを管理できるという商品だ。

 体脂肪計では体脂肪率と体重を同時に計測でき、血圧計では血圧と脈拍を同時に計測できる。こうしたデータを毎日チェックしすることで、生活習慣病を予防しようというのが、ヘルスプラネットのコンセプトだ。家庭向け製品で、体脂肪計や血圧計、歩数計のデータを一括管理できる製品は、ヘルスプラネットが世界初となる。

 ヘルスプラネットが発売されたのは今年の5月で、筆者も試してみたいと思っていたのだが、希望小売価格が64,800円とやや高いことがネックであり、購入には二の足を踏んでいた。今回は、ヘルスプラネットを3週間ほどお借りする機会を得たので、早速使ってみることにした。

●データの送信はワイヤレスでとても便利

 ヘルスプラネットは、体脂肪計(NT-101)、デジタル血圧計(NT-201)、歩数計(NT-301)、レシーバー(NT-401)の4点から構成されている。そこでまず、それらの機能と使い方を順に紹介していこう。

 体脂肪計は、身体の電気抵抗から体脂肪率を算出する方法を採用しているため、素足で本体の上に乗ることで、体重と体脂肪率を同時に計測できる。なお、体脂肪率を計測するには、あらかじめ計測者の個人データ(身長と性別、年齢)を登録しておく必要がある。個人データは4人分まで登録できるので、4人家族でも大丈夫だ。

 手前の部分にボタンが5つ並んでおり、左から個人キー1、個人キー2、個人キー3、個人キー4、体重専用キーとなっている。つま先で登録した個人キーを押すと電源が入って、液晶に登録番号や年齢、性別、身長が表示される。

 「ピッ」という音が鳴ってから、本体の電極板の中心にかかとがくるように素足で乗ると、再び「ピッ」という音が鳴って体重が表示される。そのまま、数秒間動かずに立っていると、体脂肪率の測定が行なわれる。

 「ピピッ」という音がしたら測定終了なので、本体から降りればよい。測定が終了すると、体重と体脂肪率が交互に3回表示されるが、その間にもう一度個人キーを押せば、計測したデータが自動的にレシーバーへと送信される。レシーバーへの送信も数秒で終わるので、とても便利だ。

 100kgまでは100g単位で計測可能であり(100~136kgまでは200g単位)、体重計としてのスペックも優秀だ(デジタル式体重計でも、安価な製品は200g単位あるいは500g単位でしか計測できない)。また、体脂肪率は0.1%刻みで計測できる。電源は単3アルカリ電池4本で、約1年動作する(1日に5回計測した場合)。

 なお、個人データを登録していない人でも、体重専用キーを押すことで、体重のみの計測は可能だ(この場合、レシーバーへのデータ送信はできない)。

体脂肪計では、体重と体脂肪率を計測できる。個人データの登録は4人分まで可能 手前のボタンをつま先で押すことで、電源が入る。左から個人キー1、個人キー2、個人キー3、個人キー4、体重専用キーとなっている

 デジタル血圧計は、手首で計測するタイプなので、袖を肩までまくる必要はない。左手の手のひらを上に向けて、血圧計本体が手のひら側にくるように、カフ(布でできている巻き付ける部分)を手首に巻くだけで、測定準備は完了だ。カフは、マジックテープで固定するようになっている。

 「電源/スタート」ボタンを押して電源を入れて、「個人登録番号」ボタンで、登録番号を表示させてから、もう一度「電源/スタート」ボタンを押せば自動的に加圧が始まり、測定が行なわれる。結果は、最高血圧と最低血圧および脈拍が交互に表示される。この表示中に、「送信」ボタンを押せば、データがレシーバーに送信される。デジタル血圧計では、個人データを登録する必要はないが、1~4までの登録番号を使い分けることができるので、最大4人まで共有可能だ(データは、登録番号ごとに管理されるので、体脂肪計、血圧計、歩数計で同じ登録番号を利用する)。

 血圧計は、単3アルカリ電池2本で動作し、電池寿命は約4カ月である(1日に5回計測した場合)。

デジタル血圧計は手首式なので、袖をまくらずに気軽に利用できる このように手首に巻いて、計測を行なう。液晶に表示されているのは、最高血圧と最低血圧 血圧と同時に脈拍も計測される。結果表示中に、送信ボタンを押せば、データがレシーバーに送信される

 歩数計は、クリップで腰のベルトなどに固定することで、計測を行なう。一番最初は、日時と個人データ(性別、年齢、身長、体重、安静時脈拍数)、登録番号を入力する必要があるが、設定が終わったら腰に付けて歩くだけで、毎日の歩数が自動的に計測される。深夜の12時を過ぎると、自動的に次の日の分としてカウントされるので便利だ。

 歩数計は、一日につき最大99,999歩までカウント可能で、消費カロリー数や脂肪燃焼量も表示してくれる。歩数計では、電波を利用する体脂肪計や血圧計とは違って、赤外線でレシーバーにデータを送信するようになっている。歩数計をレシーバーに載せるだけで、自動的にデータがレシーバーに送信されるが、歩数計本体に一週間分のデータを記録しておけるので、毎日レシーバーにデータを送信する必要はない。

 また、脂肪を燃やしたい人向けに、脂肪燃焼に適した歩行ピッチを音で知らせてくれるトレーナーモードも用意されている。トレーナーモードでは、まず一定間隔でピッチ音が3分間なるので、そのピッチにあわせて歩くようにする。その後、3分(初級コースの場合、中級では6分、上級では9分)ごとにピッチ音が15秒間鳴るので、ピッチがずれていないか確認する。

 さらに、一週間分の合計データや100点満点での評価点数を見ることもできる。なお、体脂肪計や血圧計は4人までで共有できるが(データをレシーバーに送信せず、単に計測するだけなら何人でも可能)、歩数計には1人分のデータしか登録できないので、1人用となる(歩数を計測するためには、一日中身体に装着しておく必要があるので、当然ともいえるが)。ヘルスプラネット用の歩数計は単体でも発売されているので(歩数計NT-301の希望小売価格は4,800円)、複数人で使いたい場合は、追加で購入すればよいだろう。

 歩数計は、ボタン電池「CR2032」1個で動作し、電池寿命は約6カ月である(1日1回レシーバーへデータ送信を行なった場合)。

歩数計。左のMDと比べてみればわかるように、非常にコンパクトだ 液晶画面に歩数や消費カロリー、脂肪燃焼量が表示される その日に歩いたことによって、燃焼した脂肪の量。過去1週間分のデータを保存、閲覧できる

こちらは消費カロリー数。ちなみに、この日の歩数は13,063歩である。過剰に摂取したカロリーを消費するのはなかなか大変だ 裏面にはクリップが装着されており、ベルトなどに挟んで固定することができる

●レシーバーに送信したデータはUSB経由でPCに転送できる

 ヘルスプラネットの最大のウリは、体脂肪計や血圧計、歩数計で測定したデータをレシーバーに送信できることだ。レシーバーの大きさは、ハガキをひと回り小さくした程度であり、非常にコンパクトである。

 レシーバーには、長さ13cmほどのアンテナが付いている。アンテナの材質は柔らかく、角度も自由に調整できるようになっている。レシーバーには、機器登録ボタンが用意されているが、このボタンは最初に体脂肪計や血圧計を登録するときにのみ利用し、あとは一切操作を行なう必要はない。また、電源ランプやUSBランプ、体脂肪計ランプ、血圧計ランプ、アクセサリーランプ、歩数計ランプといったLEDインジケータが用意されており、動作状況が確認できるようになっている。

 レシーバーの電源は、付属のACアダプタ経由で供給される。ヘルスプラネットでは、電波(体脂肪計と血圧計)や赤外線(歩数計)を利用して、ワイヤレスでデータをレシーバーに転送できることが特徴だ。体脂肪計と血圧計では、特定小電力無線通信を利用しており、通信距離は見通し50mとされているため、一般的な住宅なら十分カバーできる。

 体脂肪率を正確にはかるには、就寝前の入浴後に計測するのがベストである。体脂肪計は浴室の入り口などに設置しておいて、他の部屋にあるレシーバーに問題なくデータを送信できるのでとても便利だ。

 同様に血圧計も、レシーバーとは別の部屋で計測しても、そのまま送信が可能だ。筆者も自宅でいろいろテストしてみたが、IEEE 802.11b準拠の無線LANの電波がギリギリ届くような状態でも、ヘルスプラネットの無線データ送信は問題なく行なえた。

 レシーバーには、4人分×7日分(1週間分)の体脂肪計、血圧計、歩数計のデータを記録するメモリが内蔵されている。体脂肪計と歩数計については、1日につき1回分の記録が保存されるが、血圧計は1日あたり5回分の記録が保存されるようになっている。1日に何回も体脂肪計のデータを送信した場合は、その日最後のデータが保存される。

 また、血圧計で1日6回以上データを送信した場合は、その日の1回目と最後の4回分が保存される。レシーバーに保存されているデータは、USB経由でPCに転送できるが、レシーバーに1週間分のデータを保存しておけるので、毎日PCに接続してデータを転送する必要はない(PC上で毎日データをチェックしたければ、毎日データを転送すればよい)。USBはバージョン1.1対応だが、データ量がそれほど多くないので、転送も数秒~十数秒程度で終了する。

レシーバーに、4人分×1週間分のデータを保存しておくことができる 血圧計からのデータを受信中の様子。受信中は対応するインジケータが点滅する レシーバーの上部には、歩数計を載せるためのくぼみがある

歩数計をくぼみに載せると、自動的に赤外線経由でデータがレシーバーに送信される。歩数計の手前で光っているLEDはデータを受信中であることを示している レシーバーの背面には、ACアダプタ接続用端子とUSB端子が用意されている。USBのバージョンは1.1だが、データの転送は数秒で終了する

●専用ソフトでデータのグラフ化が可能

 レシーバーからPCへデータを転送するには、付属の専用ソフト「Health Planet」を利用する。Health Planetの画面デザインは、文字やボタンが大きく、操作も非常にわかりやすい。レシーバーとPCをUSB経由で接続したら、Health Planetを起動し、1から4までの個人登録番号を指定して、「データ取り込み」ボタンをクリックするだけで、レシーバーからPCにデータが転送される。

 転送されたデータは、体脂肪計、血圧計、歩数計の各機器ごとにグラフ化されるので、変化の様子がひと目で分かる。グラフの月間/週間表示の切り替えや縦軸の拡大なども、クリックするだけで行なえる。また、1日の目標歩数や目標体重、目標体脂肪率を設定しておけば、その目標値もグラフ上に表示されるので、励みになるだろう。

 ダイエットしたい場合は、メイン画面で「ダイエットしたい!」ボタンをクリックすれば、ダイエットに役立つ項目でまとめたグラフ・測定表が表示され、生活習慣病が気になる場合は「生活習慣病(肥満・高血圧)が気になる」ボタンをクリックすれば、生活習慣病の予防に役立つ項目でまとめたグラフ・測定表が表示される。

 さらに、「アドバイス」ボタンをクリックすると、「体型」や「体重」、「体脂肪量」、「基礎代謝量」(「ダイエットしたい!」を選んだ場合)、「内臓脂肪レベル」(「生活習慣病が気になる」を選んだ場合)について、アドバイスを行なってくれる。

 以下に示した画面キャプチャは、実際に計測した筆者のデータである。ヘルスプラネットを試用していた3週間ほどでは、体重は1.7kg程度しか減っていないので、グラフを見せるのはお恥ずかしいが、それでも少しずつ体重が減少していることはわかる。

 歩数に関しては、8月1日~16日までの16日間の合計が15万7,268歩となっており、平均すると1日あたり1万歩という目標をほぼ達成したことになる。

 「日記」ボタンをクリックすれば、その日に食べた食品や運動レベルなどを日記として記録できるので、日頃の食生活や運動量を反省するのに使える。また、「豆知識」ボタンをクリックすれば、健康に関するさまざまな情報を知ることができる。

付属の専用ソフト「Health Planet」の起動画面。「スタート」ボタンを押して次に進む Health Planetのメイン画面。現在表示されているのは体重の月間グラフ(拡大表示)。左の「データ取り込み」ボタンをクリックすることで、レシーバーからデータが転送される こちらは標準形式での表示。目標値が赤線で表示されている

「ダイエットしたい!」ボタンをクリックすれば、ダイエットに役立つ項目がまとめてグラフ表示される 「生活習慣病(肥満・高血圧)が気になる」ボタンをクリックすれば、生活習慣病の予防に役立つ項目がまとめてグラフ表示される 血圧計の月間グラフ。最高血圧と最低血圧、脈拍が表示されている

血圧計のデータは、頻度分布形式で表示することもできる 歩数計の月間グラフ。目標値を超えた部分は、オレンジ色で表示されている。上の表には、月頭からの合計歩数も表示される

日記では、その日食べた食品や運動レベルをメモすることができる 豆知識では、体脂肪やダイエット、生活習慣などに関する情報を知ることができる

●インターネットによる健康アドバイスサービスや医師による対面健康相談も利用できる

 また、タニタでは、インターネットによる健康アドバイスサービス「タニタ ベストウェイト健康サポート」を提供している。このサービスは、インターネット経由で体脂肪率や体重などのデータを送ることで、タニタの栄養管理士や健康運動士が生活習慣について適切なアドバイスを行なってくれるというものである。

 ヘルスプラネットがなくても、会員専用Webページから、毎日の体重、体脂肪率、およその歩数などを手で入力することでサービスを受けることができるが、Health Planetには、ベストウェイト健康サポートとの連携機能が用意されている。「データ送信」ボタンをクリックして、ベストウェイト健康サポートのユーザーIDとパスワードを入力するだけでデータが送信されるので、非常に楽だ。

 ただし、ベストウェイト健康サポートは有償サービスで、利用には別途申し込みが必要となる。ベストウェイト健康サポートは、3カ月単位のサービスとなっており、通常料金は1人あたり7,200円(延長する場合は3カ月6,000円)だが、ヘルスプラネットの購入ユーザーは、最初の1カ月間を無料でサービスが受けられる(4人まで。その後2カ月延長は4,000円、以下3カ月延長は6,000円となる)。

 今回は借用機ということもあり、ベストウェイト健康サポートは試していないが、真面目にダイエットや生活習慣病の予防に取り組みたいというのなら、ベストウェイト健康サポートが強い味方となるだろう。さらに、ヘルスプラネットを購入してベストウェイト健康サポートに申し込んだ人限定のサービスとして、医師による対面無料健康相談も行なわれている。

 ヘルスプラネットは、体脂肪率や体重、血圧、脈拍などの健康状態の判断に役立つデータを、家庭で気軽にチェックするための製品としては、非常によくできている。例えば、専用ソフトのHealth Planetでは4人までの個人データを管理できるが、個人データには個別のパスワードを設定できるので、家族にも知られたくない体重などのプライバシーも守れるようになっている。

 機器やソフトの操作も簡単で、データは全てワイヤレスでレシーバーに転送できるので、使い勝手もよい。最初は、いくらPCと連携できるといっても、体脂肪計や血圧計、歩数計に6万円以上も出すのはどうかと思っていたが、試用してみたら、それだけの価値はある製品だと思うようになった。健康で丈夫な身体は何よりの財産だ。ヘルスプラネットで家族みんなが健康に過ごせるのなら、安い買い物であろう。

□タニタのホームページ
http://www.tanita.co.jp/
□製品情報
http://www.tanita.co.jp/products/planet/index.html

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(2003年8月19日)

[Reported by 石井英男]


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