総合小売店「ジャスコ」などを運営するイオン株式会社の9,980円デジタルカメラが25日発売された。インターネット通販では、すでに当日引き渡し分は売り切れとなっているが、幸い店頭で購入できたので、レポートをお届けする。
なお、イオンのリリースでは「210万画素 デジタルカメラセット」と記載されていたが、パッケージ/マニュアルとも「Polaroid PDC 2070」と記載されている。
●液晶付き200万画素級で1万円を切る PDC 2070が注目を集めたのは、なんといってもその価格だ。 液晶付きで有効192万画素(総画素数210万画素)であり、スマートメディアも使用可能という仕様で、9,980円と1万円を切る価格設定がされている。今回、店頭での価格も9,980円のままだった。 Polaroidブランドのデジタルカメラは4月から、ニチメンとNHJが国内販売しているが、この機種の前に発売されている2機種は、22,800円と34,800円で、国内メーカーの低価格機並の設定だった。 イオンでは低価格に設定できた理由をリリースでは、「中国で生産し、一括で仕入れることにより(中略)実現することができました」としている。なお、PDC 2070はイオンの専売となっており、ニチメンとNHJからは発売されていない。 撮像素子は、1/2インチのCMOSイメージセンサーだ。出力解像度は、最大1,600×1,200ピクセルで、1,280×960/640×480ピクセルも選択できる。 なんと、音声付き動画も撮影でき(320×240ピクセルのみ)で、音声の記録もできる。静止画はJPEG形式、動画はAVI形式、音声はWAV形式で記録される。動画は最大約90秒、音声は最大約30分の記録が可能としている。なお、スピーカーを内蔵していないので、音声の再生はできない。
●ベーシックなデザイン 本体は正面から見ると正方形に近いデザインで、思っていたよりも厚みがある。サイズは80×34×75mm(幅×奥行き×高さ)だ。ツートンカラーで、嫌みのないベーシックなデザインだ。
人差し指をグリップに、親指を背面のくぼみに合わせると、人差し指がシャッターボタンにのる。自然で持ちやすいデザインだ。ストラップも長めのものが右下につけられるようになっており、ぶら下げていた状態からも構えやすい。 スイッチ類は必要最小限で、ボタンやスイッチの説明は記号が中心で、一部英語になっている。 メニューは日本語化されており、露出調整、ホワイトバランス、画像サイズ、オートパワーオフ時間などの設定もできる。
ボディの厚みは単三電池でも余裕があるぐらいなのに、電池が単四電池が4本なのは、ちょっとおどろいた。容量やコストのことを考えれば単三電池にしてほしかったところだ。ちなみに単四電池はアルカリのみが動作保証されている。 パッケージには本体、USBケーブル、ケース、ソフトウェア、電池が含まれ、これだけで完結している。なお、ソフトウェアはドライバソフトのほか、ArcSoftのフォトレタッチソフト「PhotoStudio4.0」やビデオ編集ソフト「VideoImpression1.6」まで含まれる。 マニュアルは「ユーザーズガイド」がA4 4ページ、「クイックガイド」がA5 2ページという必要最小限の簡素なものだ。
●のんびりとしたペースが求められる撮影 電源スイッチを入れると約4秒で起動する。ただし、これは内蔵メモリのみの状態で、スマートメディア使用時は起動が遅くなる。128MBのスマートメディアを使用した状態では約11秒かかった。 オートパワーオフからの復帰には、毎回これだけかかるので、オートパワーオフの設定は最長の90秒にしておくことをお勧めする。 撮影間隔はいずれも4~5秒で、差はない。確認画像は2秒ほどおいて、ゆっくりと表示される。
液晶はSTNカラー液晶なので、室内や日陰では見えるが、日なたでは見えにくい。天気のいい屋外では光学ファインダーが中心だろう。表示色は公開されていないが、256色表示ぐらいの印象だ。 TFTの鮮やかさはないが、室内であれば何色であるかは一応見える。ただ、人に画像を見せるという用途にはちょっときついだろう。 なお、光学ファインダーはわりとおおざっぱな作りで、ブライトフレームなどはなく、実際に写る範囲よりも広い部分が見える。そのつもりで撮影しないと周辺部が切れてしまうので注意が必要だ。 起動時の設定は静止画となっており、動画撮影への切り替えはメニューで行なう。ちなみに、オートパワーオフになってしまうと、この設定は初期化され静止画に戻ってしまう。ターゲットとしている層から考えると、妥当な仕様とも言えるが覚えておいた方がいい。動画モードから静止画モードに戻っているのに気が付かず、1枚撮ってしまうことが何度かあった。 フォーカスは固定焦点なので、ピント合わせもいらず、ただ撮りたい物に向いてシャッターボタンを押すだけだ。残念だったのは、最短撮影距離が1.8mで、マクロモードがないこと。ショウウィンドウや草花などを撮っていて、つい近寄りすぎてしまいピンボケになることがあった。 なお、単四電池ということで心配していたバッテリは、半日以上の撮影の最後まで交換せずに使用できた。 ●USBストレージクラスに対応 画像の転送は、付属のUSBケーブルで行なう。 マニュアルではドライバソフトのインストールが必要とされているが、ストレージクラスに対応しており、Windows XPでは、ソフトウェアを必要とせずに、そのままリムーバブルメディアとして認識される。 転送はあまり速くなく、USB 2.0インターフェイスに単独で接続した場合でも、100枚(約60MB)の転送に約5分かかった。 もちろん、スマートメディアを取り出し、カードリーダーなどで読むこともできる。スマートメディアの抜き差しは必ず電源を切って行なうように強調されている。
●思ったよりもずっと良く撮れる 転送した画像を見て、ちょっとおどろいた。安いCMOSセンサー機によくあるコントラストの低い画像を想像していたのだが、色のノリのいい派手な画像だったのだ。 低価格のCMOSセンサー機では、アイ・オーの初代MotionPIX (AVMC131)の絵に似ているが、4枚ガラスレンズのPDC 2070の方が光学系がまともなようで、遠景でもしっかり撮れている。 多少、赤が強調されすぎなところもあるのと、シャドウ部がつぶれがちなのが欠点だ。全体に色合いがベタッとした感じもある。 また、露出のばらつきがあるようで、同じ条件で続けて撮影しても、明らかに画像の露出が異なることが何度かあった。撮影時に液晶で露出を確認することは難しいので、大事なものは何枚か撮っておいた方がいいだろう。 そして、センサーからのデータ読み出しが順次読み出しとなっているらしく、撮影中に動きがあると画像が変形する。これもきちんと構えて撮影していれば問題はないが、覚えておいた方がいいだろう。 しかし、正直に言って1万円でここまで撮れれば個人的には文句ない。露出がうまく合ったときの画像はかなり良く撮れていると思う。コストパフォーマンスはとても高い。 マクロがない点や、液晶の品質などから、万人に勧めるのは躊躇するが、使用頻度が低い人や、予算が限られる人、とりあえずデジカメというものを試してみたい人などの最初の一台として有力な選択肢だ。子供のいる家庭なら、専用にしてあげるのもいいと思う。
●実写画像
□イオンのホームページ (2003年7月28日) [Reported by date@impress.co.jp]
【PC Watchホームページ】
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