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インテル、CMOS無線技術などへの取り組みを紹介
6月9日 発表 インテル株式会社は9日、無線技術研究開発に関する説明会を開催。インテル・フェロー兼コーポレート技術本部コミュニケーション&インターコネクト技術ディレクタのケビン・カーン氏が、同社で現在研究開発中のシリコン無線技術について説明を行なった。 Intelは現在、無線技術について、実装面、技術面、システム面など多方面での研究開発を行なっている。本説明会ではそのうち、CMOS無線実装、再構成可能な無線技術(RCA)、スマートアンテナへの取り組みが紹介された。 ●低コストのCMOS上に無線を統合 CMOS無線実装とは、文字通りCMOSに無線を埋め込んでしまう技術。カーン氏が示したロードマップによれば、5年後にはベースバンドやパワーアンプなど全てを統合し、400MS/sec~10GS/sec(MS/sec=1秒間に百万サンプル)を実現するCMOSトランシーバーが登場するという。 CMOS実装化の最大のメリットの1つは低コスト化。無線技術をチップセットやCPUなどに組み込むことで、量産によるコスト削減が可能となる。また、デジタル化することで、安定性やスループットの向上といった相乗効果も得られる。 しかし、現在のデジタル回路向けのプロセス技術には、低電力化やノイズ問題などアナログ回路と相容れないものがあり、その実現には回路コンセプトのブレークスルーが必要だという。
●シームレスな接続を実現するRCA
再構成可能な無線技術(RCA:Reconfigurable Communication Architecture)とは、異なるベースバンドへと瞬時に瞬時に切り替えられる無線技術。 デュアルバンドなどと違うところは、あらかじめ広い範囲のベースバンドを用意しておくことで、特定の周波数帯に限定されずに利用できる点。 例えば、2GHz~10GHzといったベースバンドを用意しておくことで、IEEE 802.11b/g(2.4GHz)とIEEE 802.11a(5GHz)を瞬時に切り替えられるだけでなく、将来登場する別の周波数帯を利用した無線LANにも対応できるという。 日本と米国とでは同じIEEE 802.11aでも微妙に異なる周波数帯を用いるが、このような場合にも同じハードウェアを利用しながら、設定を変更するだけで対応できるといったメリットもある。 ●アンテナで通信距離や転送速度を改善 最後にスマートアンテナへの取り組みが紹介された。スマートアンテナとはアンテナを高機能化することで、通信距離、収容容量、転送速度などを改善するというアプローチ。 その具体例の1つとして紹介されたのが、「セクタ・アンテナ」で、これは4つの指向性アンテナをノートPCに内蔵するというもの。これにより、方向や位置による感度の変動が低下し、通信距離がほぼ2倍に拡大するという。セクタ・アンテナは早ければ来年のCentrinoノートPCにも採用される見込み。 もう1つはMIMO(Multiple Input Multiple Output)。これは、アクセスポイントと端末とで使用するアンテナの数を増やすことで、複数の仮想チャンネルを構成し、転送速度を向上させる技術。 カーン氏によれば、アンテナ数の増加に応じて、転送速度がリニアに向上するといい、例えば2つのアンテナを用意することで、IEEE 802.11bを利用しながらも、規格の2倍の22Mbps(理論値)での通信が可能となるという。
●無線は有線を置き換えるものではない これらの技術は、いずれも近い将来にすぐ登場するものではないが、実現すれば、現在分離されているWireless LAN/Wireless WAN/Wireless PAN(Personal Area Network)などが統合され、ユーザーが意識することなくシームレスに利用できるようになる。 だが、カーン氏は質疑応答で「将来、無線LANは有線LANに取って代わるか?」との質問に対し「物理的な特性の観点から、一般的に有線のほうが無線よりも有利。バックボーンでは光ファイバーなどが利用されているが、これが無線に置き換わることはないだろう」とコメント。モバイルシーンでは、無線の活用が進むが、有線とは明確な棲み分けがなされるとの見解を示した。 □インテルのホームページ (2003年6月9日) [Reported by wakasugi@impress.co.jp]
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