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ソニー、エレクトロニクスとコンテンツの融合を強化する新施策を発表
~新プラットフォーム「PSX」や新クリエを世界初披露

一堂に会したソニー首脳陣

5月28日発表



 ソニーは28日、ソニーグループ2003年度経営方針説明会を開催。2003年度の重点施策や、今後3カ年における中期的施策について説明を行なった。

 説明会には、出井伸之会長兼グループCEOを始め、安藤国威社長兼グループCOO、徳中暉久副社長兼グループCSO、高篠静雄副社長、久夛良木健副社長など、同社主要首脳陣が勢揃い。また、未公開の新製品の発表が行なわれるなど、非常に力の入った説明会となった。


●営業利益率10%達成への体制構築

出井伸之会長兼グループCEO

 冒頭、出井会長は、大幅な赤字となった2002年度第4四半期決算について触れ、「今回の“ソニーショック”については、不安を与えることとなり、申し訳なく思っている。このことは我々にとってもショックなことだった。しかし、これがきっかけでグループの団結が一層増すこととなった。今後も、これを良い意味でのショックに変えることができるようにしていきたい」と述べ、今後同社が実施する第2次構造改革について説明を行なった。

 第2次構造改革とは、ソニーグループが2003~2005年度に実行する3カ年中期施策。'99~2002年度に実施された第1次構造改革では、不採算カテゴリーからの撤退、製造事業所の集約などを実施。安藤社長によれば、これによりこの3年間で、37%の在庫削減、19%の人員削減に成功したという。

安藤国威社長兼グループCOO

 第2次構造改革では“営業利益率10%達成への体制構築”の目標を掲げ、戦略事業への集中、固定費削減など、さらなるリストラを実行する。この改革に投じる費用は3年間累計で2,800億円(グループトータルでは3,000億円)。同社では改革効果として、年換算約1,700億円の固定費削減を見込んでいる。

 同社の2002年度の業績は、第4四半期こそ大幅な赤字となっているが、通期では大幅な増益を果たしており、第1次構造改革は一定の成果を出したと言える。

 そのような中、今回、新たに大規模な構造改革を打ち出した理由について出井会長は「産業を取り巻く環境の変化に順応するため」とした。

 「ソニーの生い立ちは、トランジスタベースのエレクトロニクスにあるが、近年ではプロセッサ化が進み、製品にコンテンツが加わるなど、商品の中で知的財産が占める比率が増加してており、モノの作り方が急激に変化している。その変化の速度は、第1次構造改革を追い越すほどのモノであり、今までの改革に加え、会社そのものの構造を変える必要がある」のだという。

●エレクトロニクスとコンテンツの融合

 しかし、同社が、営業利益率10%を達成する上で、最重要課題として中核に据えているのは、構造改革ではなく、ゲーム・エレクトロニクスを中心とした徹底的な商品力の強化。そして、その根底には「エレクトロニクスとコンテンツの融合」(出井会長)という思想がある。

PSXを披露する久夛良木健副社長

 今回の説明会は、そのほとんどが、今後のコンシューマ製品の展開戦略の説明に費やされたが、中でも今回最も注目され、かつ同社の今後の製品戦略を象徴するのが新ホームエンターテイメントプラットフォーム「PSX」。

 PSXは、一言で言うとプレイステーション 2とDVD+HDDレコーダを一体にしたもので、それ1台で、ゲーム、TVの視聴、HDDおよびDVDへのビデオ録画などができる。

 主な仕様としては、ゲーム部にプレイステーション 2のエンジンをそのまま搭載し、スロットローディング式DVD-RW/+RW/-Rドライブ、HDD 120GB、アナログ地上波/BSチューナ、Ethernet、USB 2.0などを装備する。

 筐体は縦置き・横置き両対応の“フローティングデザイン”となっており、デモで公開されたユーザーインターフェイスは、「簡便性や検索の高速性などに特に注力した」といい(久夛良木副社長)、これまでの家電にない斬新なものとなっている。国内での発売は年末を予定している。

 また、新型クリエも公開された。わずかな時間の紹介で、そのスペックは一切公開されなかったが、ワイヤレス機能を標準搭載し、“ITとAVを融合”させたものとなるという(高篠副社長)。

 バイオについては、商品面では、「バイオU/Z/W」などのように新スタイルの提案を今後も積極的に行なうほか、AVとITの融合、ネットワーク機能の強化を推し進める。また、中国でのビジネスの拡大といった、業務・マーケティング強化の施策も発表された。

【お詫びと訂正】記事初出時に、PSXのDVDドライブを“DVD±R/RW”としておりましたが、正しくは“DVD-RW/+RW/-R”となります。ご迷惑をおかけした皆様にお詫びするとともに、ここに訂正させていただきます。

PSX横置き時。スロットローディング式DVD±R/RWドライブを搭載(写真はモックアップ) PSX縦置き時。うっすらとPSXロゴが浮かんでいる(写真はモックアップ) 動画検索時のユーザーインターフェイス。サムネールを高速に回転させて、検索できる
新型クリエを紹介する高篠静雄副社長。筐体はクラムシェルタイプの横開きとなる模様 2003年度バイオビジネス再強化案 サイバーショットシリーズは、成長率80%を目論む

□ソニーのホームページ
http://www.sony.co.jp/
□ニュースリリース
http://www.sony.co.jp/SonyInfo/News/Press/200305/03-023/
□関連記事
【5月28日】ソニー、2003年度経営方針説明会で新プラットフォーム「PSX」を公開(AV)
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http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2003/0424/sony.htm
【4月24日】ソニー、「大変厳しい」第4四半期決算を発表。通期では収益改善(AV)
http://www.watch.impress.co.jp/av/docs/20030424/sony.htm

(2003年5月28日)

[Reported by wakasugi@impress.co.jp]


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