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東芝、岡村社長がノートPC首位奪還宣言
~「攻め」の中期経営計画を策定

3月7日発表

岡村正社長
 東芝は7日、中期経営計画を発表し、4月以降、社内カンパニーの再編や分社化を含む機構改革をすすめていく考えを示した。同社・岡村正社長が、「守りから攻めに転じるための中期計画」と位置づけるように、これまでの経営体質強化の取り組みから、事業の成長戦略を核としたものへと移行した内容となっている。

 また、パソコン事業に関しては、岡村社長自らが「ノートパソコン分野において、世界ナンバーワンシェアを奪回する」というトップシェア宣言も飛び出した。

 中期計画の骨子は、成長領域としてデジタルプロダクツ事業および電子デバイス事業、安定領域として、社会インフラ事業を掲げ、これらの3事業を、今後の東芝グループの主力事業ドメインとするもの。

 「振幅が激しいが成長が著しい分野と、大幅な成長がなくても安定した成長が見込める分野の、双方の分野を東芝グループ全体で取り組んでいく」(岡村社長)という。

 また、高い収益性を安定的に確保する体質への転換を目指し、2005年度には、売上高6兆6,000億円を目標にするとともに、「たとえ、厳しい環境であっても、連結営業利益で2,700億円以上を確保することを目指す」(岡村正社長)としている。

中期経営計画の目標 組織と構造改革 分社化・その他

 同社では2003年度を最終年度とした中期経営計画「01アクションプラン」を実行しており、汎用DRAM事業からの撤退、液晶およびブラウン管事業に関する松下電器との事業再編、系統・変電事業における三菱電機との合弁会社の設立などのリストラを実施、さらに、この2年間で調達コスト6,800億円の削減、グループ全体で約10%の人員削減などを達成しており、これをベースにした成長戦略を策定する。

 事業再編については、モバイル・コミュケーション社、デジタルメディアネットワーク社、セミコンダクター社、電力・社会システム社、社会ネットワークインフラ社の5社と、ディスプレイ部品材料統括の1つの独立組織を設置。5社には、それぞれに事業グループ分担役員を配置し、経営スピードの迅速化とともに、自主責任経営を明確化する。さらに、10月1日付けで、東芝100%出資のマーケティング新会社を発足、そこに家電の製造新会社や電池、電球など家電関連製品事業の子会社を含める。また、eソリューション事業の新会社を設立し、ネットワークソリューション事業に力を注ぐ考えである。

 なお、デジタルメディアネットワーク社の事業グループ分担役員には、西田厚聰上席常務が就任、デジタルメディアネットワーク社の社長には、新田義廣常務が就任する。いずれも4月1日付け。

デジタルプロダクツ事業 電子デバイス事業 社会インフラ事業


●企業向けパソコンはデル対抗強める

 パソコン事業などを含むデジタルプロダクツ事業に関しては、モバイル、ワイヤレスソリューション戦略を中核に、ユビキタス社会に対応した商品の積極的な投入を図るという。

 パソコン分野では、ワイヤレス、AVメディア、燃料電池などの新技術を投入し、「ノートパソコンにおいて、世界ナンバーワンシェアを奪回する」と宣言した。

 今年春に、中国における製造拠点の稼働によって、フィリピンとあわせて、低コストでの量産体制が確立。また、ドイツの生産拠点を、北米と同様にコンフィグレーションサービス拠点へと移行、青梅工場は、マスター工場として量産立ち上げの役割を担う形に分担する。

 さらに、パソコン事業に関しては、企業向け分野に関して、直販事業に力を注ぐ姿勢を明確にした。

 「企業向けパソコン分野に関しては、直販体制をもつデルコンピュータとの販売コストの差が大きく、とくに、その差が日本では歴然となっている。企業向けの直販を強化することで、販売ルートを短縮し、この差を縮めたい。一方で、個人向けのパソコン事業に関しては、既存ルートで展開し、広告宣伝などにも力を注ぎたい」とした。

 携帯電話事業では、「当社が得意とする動画機能を生かして、付加価値の高い最先端商品を投入し、収益力の向上を図る」としたほか、DVD事業に関しては、「この分野のリーダー企業として、DVD録再機でトップシェアを狙いたい」とした。

 一方、電子デバイス事業では、半導体での世界トップ3を維持、ディスクリート、アナログIC、NAND型フラッシュメモリの3本柱を事業のベースとして、中国、アジアなどの伸張が見込まれる地域に力を注ぐ。

 デジタルプロダクツ事業、電子デバイスによる成長分野においては、2005年には連結売上高で4兆3,200億円、営業利益で1,800億円を目指す。

 なお、2003年3月期決算については、「デフレの進行、景気の低迷が期首よりも厳しかったが、01アクションプランによる効果もあって、最終黒字の見通しがついた」としたものの、「利益の絶対額は決して満足できるものではなく、経済環境の好転が期待できないこと、イラク情勢の影響など、依然として先行きの不透明感を脱していない」として、成長戦略を打ち出すなかでも、引き続き手綱を引き締めていく姿勢を強調した。

□東芝のホームページ
http://www.toshiba.co.jp/
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http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2003/0122/toshiba1.htm
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http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2003/0122/toshiba2.htm

(2003年3月7日)

[Reported by 大河原克行]


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