IDF Spring 2003前日レポート

Centrino、Dothan、Newport、Prescottの情報に期待


会場となるSan Jose Convention Center
会場:San Jose Convention Center
会期:2月18日〜21日(現地時間)

 Intelがエンジニア向けに同社の戦略や、技術概要などを解説するIntel Developer Forum(以下IDF)が、18日(現地時間)より米国カリフォルニア州サンノゼのSan Jose Convention Centerにおいて開催される。

 毎回、Intelの戦略や新製品に関して盛りだくさんの内容で行われるIDFだが、今回はIntelが3月に発表を予定しているCentrinoモバイルテクノロジの詳細や、その後継となるDothanやNewportの詳細、4月に投入を予定している800MHzのシステムバスとDDR400デュアルチャネルをサポートしたIntel875Pチップセット(コードネーム Canterwood)、第4四半期に投入を予定している次世代Pentium 4コア「Prescott」に関する詳細など、2003年〜2004年にかけてのIntelの戦略が公開される見込みだ。

●Centrino、Centrino、Centrinoと連呼するIntel

 今回、Intelが力を入れてアピールするのが、3月にリリースされる予定のCentrinoモバイルテクノロジ(以下Centrino)だ。

 Centrinoは、Baniasのコードネームで知られるPentium Mプロセッサ、Intel855PM/GMチップセット、無線LANのIntel PRO/Wireless 2100シリーズから構成されるノートPC向けのプラットフォームで、PCベンダはCentrinoを利用することで、より軽量で、バッテリー駆動時間をのばすことが可能なノートPCを製造できるようになる。Intelは、Centrinoのプロモーションに多額の資金を投入しており、今回のIDFでもメディア関係者やエンジニアなどに大して、Centrinoのアピールを行なう予定だ。

 IntelがCentrinoのメリットを強調しなければならない理由としては、苦しい裏事情が影響している。1つは、CentrinoのCPUであるPentium Mプロセッサは、現在2.40GHzがリリースされているモバイルPentium 4-Mに比べて劣る1.60GHz〜1.30GHzのクロックでリリースされること。

 つまり、エンドユーザーにとして、なぜPentium Mのクロックが低いのかを説明しなければならない。だからこそ、Centrinoブランドの普及に多大な投資を行ない、ユーザーに対してクロックではなく、消費電力あたりの処理能力が高いPentium Mにより、バッテリ駆動時間や優れたフォームファクタなどが実現できることを訴えなければならない。Centrinoがいかに優れたモバイルPCプラットフォームであるかをアピールする必要があるのだ。

●11a/bデュアルバンドのIntel PRO/Wireless 2100Aが遅れた影響

 もう1つの課題は、Platform Conferenceのレポートでもふれたように、IEEE802.11g(2.4GHz、54Mbps)の急速な普及という新しい要素だ。

 Centrinoを構成する無線LANモジュールのIntel PRO/Wireless 2100シリーズには、2つの製品ラインナップが用意されている。IEEE 802.11b(2.4GHz、11Mbps)をサポートするIntel PRO/Wireless 2100と、IEEE 802.11a(5GHz、54Mbps)と11bの両帯域をサポートするデュアルバンド版のIntel PRO/Wireless 2100Aがそれだ。ところが、デュアルバンド版のIntel PRO/Wireless 2100Aは、Centrinoと同時にリリースされる予定だったものが、開発の遅れから第2四半期に延期されてしまった。

 そこへ、米国や日本市場などで、周辺機器ベンダが積極的に11gを投入するという新しい状況の変化が追い打ちをかけた。現在、米国の小売店における11a/11bデュアルバンドのアクセスポイントの価格は300ドル前後だが、11gの方は150ドル前後と約半額となっており、同じ54Mbpsを実現する製品としては大きな価格差となってしまっている。

 各周辺機器ベンダは、今年の後半には11a/b/gの3つの規格をサポートするデュアルバンドアクセスポイントを出荷する予定だが、無線LANのチップを出荷する半導体ベンダ側の遅れで、すぐには出せそうにないのと、周辺機器ベンダ側でも11gのみにくらべて11a/b/gのアクセスポイントはチップ数の多さなどから、価格差はすぐには埋まらないと見ている。したがって、11aの立ち上がりは、Intelが考えていたよりも後ろにずれ込む可能性が高まってきた。IntelがCentrinoにおいて11aのメリットをエンドユーザーに訴求することができるのか、疑問の声が挙がりつつある状況なのだ。

 こうした苦しい事情があるだけに、IntelとしてはさらにCentrinoのアピールをしなければならない。業界筋によれば、IntelはIDFにおいてCentrinoを搭載したノートPCのデモをOEMベンダに許可しているという。とにかくCentrinoのアピールをしたいというIntelの強い意志の現れと言っていいだろう。

 なお、Intelは2日目に行なわれるアナンド・チャンドラシーカ副社長の基調講演で、Pentium Mの90nmプロセス版となるDothanとNewportに関してのアップデートも行なう予定だ。

●Athlon 64の延期で危機は去ったが、デスクトッププラットフォームの拡張は続くIntel

 Intelは、昨年の11月にロードマップを変更し、今年の第2四半期にHTテクノロジを3GHz以下のプロセッサにも投入し、さらにシステムバスの800MHzへの引き上げ、デュアルチャネルのDDR400をサポートしたチップセットであるIntel 875P(Canterwood)、Intel 865ファミリー(Springdale)を投入することをOEMベンダに対して説明した。

 こうしたロードマップの急激な強化は、同時期にAMDがAthlon 64をリリースすることへの対抗策であるという見方が業界の一致した見方だった。ところが、AMDが1月末に、Athlon 64の発表を9月に延期することを発表したため、Pentium 4に対するチャレンジという意味では、Intelの“危機”はかなり遠のいたと言ってよい状況になってしまった。しかし、製品のリリースは予定通り行なわれ、むしろ予定は早められることになる。

 OEMベンダ筋の情報によれば、4月の第3週あたりには、HTテクノロジと800MHzシステムバスに対応したPentium 4 3GHzとIntel875Pがリリースされる予定となっており、今回のIDFではこのあたりの詳細も語られる見込みだ。AMDがもたついている間に、これらをアピールすることでIntelがリードを広げられるかどうか、そのあたりにも注目が集まっている。

 さらに、Intelはその先の説明も行なう予定だ。第4四半期にリリースが予定されている次期Pentium 4プロセッサとなるPrescott(開発コードネーム)のファーストシリコンが、2日目のルイス・バーンズ副社長の基調講演でデモされる。そして、それに続く技術トラックでPrescottの詳細が解説される予定だ。

 Prescottは、90nmの製造プロセスルールで製造され、L2キャッシュが1MBに増量されるため、高い処理能力が期待されている。さらに、Intelは2004年についても若干のアップデートを行なう可能性がある。メモリに関するセッションでは、DDR2メモリに対するIntelのポジションについてアップデートが行なわれることになる。さらに、PCI Expressに関しても具体的な製品が展示される可能性があるほか、PCI ExpressのGPUの専用バスとしての用途などに関しても説明される予定だ。

●明日昼のバレットCEO基調講演からスタート

 開幕前日は、米国では祭日に当たるため、会場周辺は静かだったが、着々と準備が進められている。本日は展示会に参加するメーカーによる準備や、参加者の登録などが行なわれた。

 IDFのイベント自体は、明日の昼に行われるクレイグ・バレットCEOの基調講演より、スタートすることになる。バレット氏はIntelの総合的な戦略について語る予定であるほか、90nmプロセス技術に関するアップデートなどを語る予定だ。

 PC Watchでは、連日IDFのレポートを掲載する予定だ。

□IDFのWebサイト(英文)
http://developer.intel.com/idf/index.htm
□IDF Spring 2003のWebサイト(英文)
http://www.intel.com/idf/us/spr2003/index.htm

(2003年2月19日)

[Reported by 笠原一輝@ユービック・コンピューティング]


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