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JEITA、2002年国内パソコン出荷実績を発表
~台数/金額ともに過去最高の下落率

1月23日発表



2002年の出荷実績

 社団法人電子情報技術産業協会(JEITA)は、2002年1~12月の国内パソコン出荷実績について明らかにした。

 国内の出荷台数は、前年比11%減の1,002万7,000台となり、下落率は過去最高となった。これまでの過去最高は'92年の10%減。また、金額は前年比11%減の1兆6,793億円となり、これも同様に'92年を超える過去最高の下落率となった。

 前年に続き2年連続での前年割れとなったのも、同協会が調査を開始して以来初めてのこと。

 しかも、10~12月分に関しては、日本ヒューレット・パッカードと合併したコンパックの出荷分がプラスされており、これを差し引くと、実際の下落幅は若干広がることになりそうだ。

●原因はやはり不況

 前年割れとなった要因として同協会・パーソナルコンピュータ事業委員会 篠崎雅継委員長は、「2001年7~9月からの世界的な景気の低迷に加えて、一昨年9月のニューヨークの悲劇の影響が、2002年になって日本の産業に影響してきた。国内の景気低迷によって、企業の情報化投資が低迷したこと、個人の可処分所得が減少し、個人消費が1年を通じて低迷したことが要因」とした。

ノートパソコンの比率が過去最高に

 形状別では、ノートパソコンが559万3,000台(前年比9%減)、デスクトップパソコンが443万4,000台となり、ノートパソコンの比率は56%と、過去最高になった。

 個人と企業の比率は、2002年暦年で41%対59%。法人が前年比12%減であるのに対して、個人は10%減にとどまったと分析している。

 2003年に関しては、1,005万台と微増の計画。1~3月は前年同期比1%減の306万台を見込んでいるが、「プラスに転じるのは、期待値をこめても、4月以降になるだろう」(篠崎委員長)とした。

 また、2002年度(2002年4月~2003年4月)の見通しは、1,000万台強としており、「これに関しては、大丈夫だろうという自信がある。2003年度は、年間1,007万台として、プラスを見込みたい」とした。

●IT減税とAV機能で需要拡大

需要拡大のキーワード

 今後の需要拡大のキーワードとして同協会が掲げたのが、IT投資促進税制の影響や、本格的なオーディオ・ビジュアル用途の利用拡大。

 IT投資促進減税では、「6,000億円の減税措置のうち、約2割が対象になると換算して、年間50~100万台程度の上乗せが期待できる。256MBのメモリの搭載機種が対象となるため、単価の上昇にも影響するだろう。JEITAとしても税制措置をわかりやすく解説したパンフレットを作成して、減税措置の利用を促したい」としている。

 また、大・中規模企業で'97~'98年にかけて導入されたWindows 95搭載パソコンのリプレースの需要拡大も期待できるとして、この分野で約300万台が対象となるほか、教育の情報化の進展によって、教育市場向けパソコンが前年に比べて2倍増となる約50万台の出荷が見込めること、シニア層を対象としたパソコンが、主要メーカーから今年中にも登場する見通しであることなどをあげた。

 本格的なオーディオ・ビジュアル用途としては、「今年は、AV用途を提案したパソコンが相当数出てくるだろう。テレビ、DVDと結合した製品が登場することで、パソコン単価の上昇にも影響し、ひいては出荷金額の増大に寄与するだろう」と予測している。

●デスクトップとノートで価格逆転も

平均単価の推移

 事実、平均単価の推移を見ても、そうした傾向が表れ始めている。2002年10~12月の平均単価は、ノートパソコンが16万7,000円、デスクトップが16万5,000円となり、その差はわずか2,000円となった。

 ノートパソコンは、下落傾向に転じ、2001年度の水準へと戻ってきたのに対して、デスクトップパソコンは、7~9月の水準から比較しても1万3,000円という急激な上昇となった。

 その背景には、7~9月には70%だった液晶モニター付属パソコンの比率が、10~12月には80%にまで拡大してきたこと、17型を中心に画面サイズの大きなものや、ワイド画面液晶搭載モデルが人気を博したこと。さらに、オーディオビジュアル機能を強化した製品に人気が集まったことになどが要因と分析している。

 「今後は、ますますオーディオ・ビジュアル機能を搭載したパソコンが注目を集めることになるだろう。将来的には、オーディオ・ビジュアル機能を付加する方向に拡大するデスクトップの価格の方が、低価格化が進むノートパソコンを上回るという逆転現象が起きる可能性もある」と篠崎委員長は指摘した。

 なお、10~12月の国内パソコン出荷実績は、台数が前年同期比6%減の238万1,000台、金額が前年同期比7%減の3,953億円となり、下落幅は少しずつ改善していることが示された。

□JEITAのホームページ
http://www.jeita.or.jp/
□ニュースリリース
http://it.jeita.or.jp/statistics/pc/h14_3q/index.html
□関連記事
【2002年10月29日】JEITA、上期の国内パソコン出荷は10%減に
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2002/1029/jeita.htm

(2003年1月23日)

[Reported by 大河原克行]


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