強力なゲーム/マルチメディアPCを
安価に構築可能なnForce2-GT
〜Leadtek WinFast K7NCR18G-Proを試す



Leadtek
WinFast K7NCR18G-Pro

 NVIDIAのnForce2はサウスブリッジに2つのEthernetコントローラ、デジタルオーディオ出力、IEEE 1394など多くの機能を統合し、かつノースブリッジはデュアルチャネルメモリコントローラを搭載するなどハイスペックなチップセットとして知られている。

 すでに昨年、グラフィックスコアを統合しないnForce2-STバージョンは登場していたが、GeForce4 MX相当のコアを統合したnForce2-GTが、今年になってやっと登場した。今回はnForce2-GTを搭載したLeadtekのWinFast K7NCR18G-Proを取り上げ、nForce2-GTマザーボードの魅力に迫っていきたい。



●GeForce4 MX相当のコアを搭載し、統合型チップセットの中で最高の描画性能

 Leadtek WinFast K7NCR18G-Pro(以下本製品)が採用しているチップセットは、NVIDIAのnForce2-GTだ。nForce2-GTは、GeForce4 MX相当のコアを内蔵しているIGP(Integrated Graphics Processor)と、サウスブリッジのMCP-T(Media Communication Processor-T)から構成されている。

 nForce2-GTの最も大きな特徴は、統合されているコアが初代nForce2のGeForce2 MX(NV11)相当から、GeForce4 MX(NV17)相当へと変更されていることだ。

 GeForce2 MXとGeForce4 MXは、いずれもDirectX 7世代のグラフィックスチップで、ハードウェアT&L内蔵、レンダリングエンジンは2パイプライン×2テクスチャユニットと同等でありながら、GeForce4 Tiシリーズに登載されているアンチエイリアシングエンジンのAccuview Antialiasingエンジンを搭載するなど強化されており、グラフィックスエンジンのコアクロックもあがっているため、3D描画性能や表示品質が向上しているのが大きな特徴となっている。

 nForceファミリーでは、内蔵グラフィックスのビデオメモリとして、メインメモリの一部を共用するUMA(Unified Memory Architecture)ないしはSMA(Shared Memory Architecture)という仕組みを採用している。

 現代のグラフィックスの3D描画性能の多くは、ビデオメモリの帯域幅に影響を受けるため、統合型チップセットの場合にはメインメモリの帯域幅が3D描画性能に大きな影響を与える。ところが、nForce2搭載マザーボードでは、メモリモジュールとしてPC3200(DDR400、3.2GB/sec)とPC2700(DDR333、2.7GB/sec)がサポートされており、しかもメモリコントローラがメモリモジュールに対して2枚一組でアクセスするデュアルチャネル化されており、実際の帯域幅は倍になる。

 現在Athlon XP 2600+以上では、システムバスは333MHzとなっており、システムバスの帯域幅は2.7GB/secとなっている。したがって、PC2700のデュアルチャネル(5.4GB/sec)を利用した場合には、CPUがシステムバスの帯域幅をほぼ使い切っても、5.4GB/sec−2.7GB/sec=2.7GB/secとなり、2.7GB/secは内蔵グラフィックスに回せる計算になり、これまでの統合型チップセットに比べるとかなり余裕があることがわかる。

 nForce2のデュアルチャネルメモリコントローラは、AGPスロットにAGPビデオカードを挿したときには、システムバスがボトルネックとなってしまうのであまり大きなメリットはないが、nForce2-GTのように内蔵グラフィックスを利用する場合にはかなり大きなメリットが期待できるのだ。

 本製品ではデュアルチャネルで利用する場合には、DIMM1とDIMM3または、DIMM2とDIMM3という組み合わせで同じ種類・容量のモジュールを利用して装着する必要がある。スペック上はPC3200もサポートしているはずなのだが、筆者手持ちのPC3200(Samsung製)を挿してみても、3DMark2001 Second EditionやQuake IIIなどでエラーが発生してしまい利用できなかった。他のメモリモジュールでは状況は異なる可能性があるが、PC3200を利用しようと考えている場合には、注意が必要だ。

nForce2-GTのノースブリッジであるIGP メモリスロット。DIMM1とDIMM3ないしはDIMM2とDIMM3に挿すことでデュアルチャネルとして利用できる


●便利なnView機能、マザーボードだけでデュアルディスプレイを実現

 NVIDIAのGPUには、nViewと呼ばれるマルチディスプレイ機能が用意されている。GeForce FX、GeForce4 Tiファミリー、GeForce4 MXなどはいずれも2つのRAMDACを内蔵しており、2つのディスプレイにWindowsのデスクトップを表示可能となっている。

nViewを利用すると標準でマルチディスプレイが実現可能。統合型チップセットとしては初の機能

 nForce2-GTもRAMDACを2つ内蔵しており、特に追加投資なく2つのディスプレイに表示可能だ。本製品は、マザーボード上には1つしかRGB出力は用意されていないのだが、別途ブラケットの形でRGB出力がもう1つ用意されている。これを利用すればそのままで2つめのディスプレイ出力が可能となっている。

 nForce2-GTのnView機能では、セカンダリディスプレイ側でもきちんとオーバーレイ表示が可能になっている。最近ではマルチディスプレイ機能を持つGPUは珍しく無くなったが、その出来には大きな差がある。

 例えば、セカンダリディスプレイではオーバーレイ表示ができないなどの制限があるものも少なくない。だが、nViewではそうした制限もなく再生することができた。

 マルチディスプレイの機能は一度慣れてしまうとなかなか手放せない便利な機能だが、本製品ではそれが何の追加投資もなくできてしまう。そういう意味ではマルチディスプレイ環境の構築を安価に行ないたいというユーザーに、新しい選択肢が増えたということができるのではないだろうか。



●サウスブリッジに多数の機能を搭載、USB 2.0、IEEE 1394、デジタルオーディオ出力

 nForce2の魅力は、強力なノースブリッジだけではない。サウスブリッジとなるMCP-Tもかなり強力な仕様となっている。具体的な機能を挙げていくと、内蔵されている2つのEthernetコントローラ(NVIDIAと3Com)、IEEE 1394コントローラ、APU(Audio Processing Unit、ドルビーデジタルエンコーダ)、USB 2.0など、他のチップセットであれば別途オンボードチップで実現されるような機能がサウスブリッジに内蔵されている。

付属するブラケット。セカンダリのVGA出力と、ドルビーデジタル出力、Sビデオ出力の3つが用意されている。セカンダリのVGAとSビデオ出力は排他利用で、ジャンパで設定したどちらかだけを利用できる

 本製品にもこれらの機能が採用されており、標準で利用できるようになっている。IEEE 1394はACRカードで増設するようになっており、標準で3ポート利用できる。USBは背面のパネルに2ポート用意されており、さらに前面用のコネクタがマザーボード上に2つ(各コネクタ2ポート)用意されており、合計で6ポート利用できる(ただし、ブラケットなどは添付されていないので別途用意する必要がある)。

 APUはドルビーデジタルエンコーダのことで、ドルビーデジタルに対応したアンプなどに接続することで、例えばUnreal TOURNAMENT 2003のようなゲームやDVDビデオなどで、多チャンネルのデジタル出力を楽しむことができる。

 通常のシステムであれば、デジタル出力端子を備えたサウンドカードなどが必要となるが、本製品は必要が無い。面倒な設定などもなく、マザーボードを買ってきてCPU、メモリ、HDDを組み込むだけで簡単に利用できるのだ。

 なお、余談になるが、NVIDIAは同社のグラフィックスチップに最適化したDVDプレイヤーのNVDVD 2.0をリリースしており、14日間の体験版が同社のWebサイトからダウンロードして試用できる。

 体験版は英語版のみだが、製品版は日本語表示にも対応している。なお、製品版は体験版をインストールしたあとに表示される「Unlock」ボタンを押すことで購入ページに進むことができる。興味があるユーザーは試してみるといいだろう。nView拡張機能を利用するオプションが用意されているなど、nForce2ユーザーであれば使ってみる価値はあるだろう。

 ただ、せっかくEthernetコントローラを2つ内蔵しているのに、Ethernetポートは1つしかないのは頂けない。MCP-Tは、NVIDIA、3Comという2つのEthernetコントローラが搭載されているのだが、本製品ではNVIDIAのもののみが利用できる。Ethernetポートが2つあれば、標準でnForce2マシンをルーターにすることも簡単にできるのに、ややもったいない気がする。

 BIOSセットアッププログラムを見る限り、3ComのEthernetコントローラのオン、オフは可能なようなので、ポートが搭載されていないだけで利用することは不可能ではないようだ。ACRカードを利用すれば増設は不可能ではないと思われる。

 しかし、Leadtekのページにはそのようなオプションは特に記載されていないため、実際に利用するには自分でACRのEthernetカードを探してくる必要があり、残念ながらこれまでお目にかかったことがないので、まず難しいといえるだろう。

NVDVDの画面。日本語版ではきちんと日本語表示が行なわれている。nViewのVMR機能を利用するオプションが用意されているなどNVIDIAチップに最適化された機能も用意されている。このほか、オーディオの設定でスピーカーの設定がグラフィカルに行なえるなど細かな設定ができる


●統合型チップセットとしてはかなり高いパフォーマンスを発揮

 今回は、nForce2-GTの内蔵グラフィックスのパフォーマンスがどの程度であるのかを確認するために、VIA TechnologiesのApollo KT333+GeForce4 MX 460(64MB)という組み合わせと比較してみることにした。

 nForce2-GTは、BIOSセットアッププログラムでビデオメモリの容量を設定できるが、今回は最大容量の128MBに設定しておいた。CPUは、Athlon XP 2600+(システムバス333MHz)で、HDD、メモリは全く同一のものを利用した。

【テスト環境】
チップセットnForce2-GTApollo KT333
CPUAthlon XP 2600+@333MHz
マザーボードLeadtek WinFast K7NCR18G-ProEpoX EP-8KHA+
BIOSバージョン12/30/200211/01/2002
チップセットドライバNVIDIA 1.15+VIAHyperion4in1v4.45
メモリDDR333
メモリモジュールPC2700(2.5-3-3)
容量512MB
ビデオチップ内蔵GeForce4 MX 460
ビデオメモリ128MB64MB
AGP Apature Size256MB
ビデオドライバNVIDIA v31.50NVIDIA V41.09
標準解像度1024x768ドット/32bitカラー/85Hz
サウンドYMF-754R
EthernetIntel PRO/1000 MT Desktop Adapter
ハードディスクIBM IC35L040AVVN07-0(40GB)
フォーマットNTFS
OSWindows XP Professional

■ベンチマーク結果

【グラフ1】SYSmark2002 【グラフ2】3DMark2001 Second Edition


【グラフ3】Quake III Arena 【グラフ4】TMPGEnc フレームレート


 結果は、グラフ1〜グラフ4の通りだ。3D以外の用途、オフィスアプリケーション利用時のパフォーマンス(グラフ1、Office Productivity)、コンテンツ作成ソフト(グラフ1、Internet Contents Creation)、ビデオエンコード(グラフ4)に関しては、いずれもnForce2-GTが大きく上回った。

 これまで、統合型チップセットでは、そうでないチップセットに比べてパフォーマンスが低下するというのが定説だったわけだが、メモリの帯域幅が十分確保されているnForce2-GTでは当てはまらないことがよくわかる。

 3D描画性能を示す3DMark2001 Second Edition(グラフ3)およびQuake III Arena(グラフ4)では、GeForce4 MX 460に比べて遅れをとっているのがわかる。これは、GeForce4 MX 460のメモリ帯域幅がビデオ専用で8GB/secであるのに対して、nForce2-GTの方はCPUと共有で5.4GB/secとなっており、こうした点がボトルネックとなり、差が現れていると考えることができる。

 だが、従来の統合型チップセットでは、3DMark2001が実行できないようなレベルだったのに対して、十分実際にゲームができる程度のパフォーマンスは発揮でき、一般的な3Dゲームをやるには十分な性能と言っていいだろう。


●安価に強力なゲーム、そしてマルチメディアプラットフォームが構築できるnForce2-GT

 以上のように、本製品に搭載されているnForce2-GTは、デュアルチャネルメモリコントローラにより統合型チップセットとしてはこれまでにない高い3D描画性能、MCP-Tによる様々な機能などにより、非常に魅力的な製品に仕上がっている。

 nForce2-GTを搭載した本製品では、他に必要となる拡張カードはTVチューナーカードぐらいしかない。それも必要なければ本製品のみで、ゲーム、マルチメディア再生などのプラットフォームとして利用できる。

 しかも、これだけのスペックでありながら、執筆時点での店頭価格は1万円台の後半と、かなり安いと言ってよい。例えば、KT400マザーボード+GeForce4 MX 440+S/PDIF端子付きのサウンドカードを購入すると、軽く2万円台の後半に達してしまう。それを考えると、本製品のコストパフォーマンスは高いだろう。

 Athlon XPでPCを自作することを考えていて、ゲーム、メディア再生などが主な用途であるのであれば、ぜひ本製品のようにnForce2-GTを搭載したマザーボードの検討をおすすめしたい。

□関連記事
【1月11日】【AKIBA】VGA内蔵のnForce2-GTチップセット搭載マザーがLeadtekから
http://www.watch.impress.co.jp/akiba/hotline/20030111/etc_nforce2gt.html
【2002年7月18日】NVIDIA、Athlon/Duron用新チップセット「nForce2」を国内でも発表
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2002/0718/nvidia.htm

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(2003年1月22日)

[Reported by 笠原一輝@ユービック・コンピューティング]


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