1月8日実施 新型PowerBookの発表に際し、米Apple本社から来日したSandy Green氏、Joe Hayashi氏の両マーケティング・ディレクターにインタビューできた。インタビューは個別に行なわれ、Green氏にはPowerBookの詳細と今後の技術動向について、Hayashi氏には新ブラウザ「Safari」について伺った。 ◎PowerBook担当ディレクター Sandy Green氏 ●バックライトキーボードは光ファイバーで照明
[編集部(以下編)] まず、17型PowerBookのキーボードの照明について伺いたいのですが。 [Green氏(以下G)] 17型PowerBookの“バックライトキーボード”は、270の光ファイバーを使って、均等に照明されています。暗い場所での使い勝手の良さは画期的です。また、キーボードを上から照らすのではなく、内部から照明しているため、まぶしかったり、手の影がじゃまになったりしません。 [編] 光ファイバーは各キーごとにケーブルのように配線されているのですが、それとも板状になっているのですか。 [G] 板状になっていて、キーごとにレーザーエッジの部分から照明しています。 [編] 周囲の明るさに対応するということですが、センサーはどこにあるのでしょう。
[G] センサーはスピーカーの部分にあります。周りの状況を判断し、キーボード照明だけではなく、液晶画面の明るさも調整します。ちょっと、試してみましょう。(部屋の明かりを落とすと、キーボード部分が浮かび上がる)。 [編] いやー、カッコイイですね。これ、つけっぱなしにできないんですか。 [G] キーボードの照明のオンオフは、キーボードのショートカットでできます(やってみせる)。照明の自動調整についてもオンオフの設定ができます。 ●IEEE 802.11a/USB 2.0は採用しない [編] 今回おどろいたのはIEEE 802.11gの採用ですが、11gの規格はまだ正式に承認されてないですよね。 [G] ええ。でも、現状でほぼ固まっています。また、承認に向けてなんらかの変更があった場合でも、対応できます。 [編] IEEE 802.11aには対応しないんですね。 [G] ええ、対応の予定はありません。 [編] a/b/gという3規格の対応もないんですか。 [G] ええ、bとそれに互換性のあるgだけで、aには対応の予定はありません。状況としてはaとgが争っている形ですが、bが標準になったときのように、我々の選択が他のベンダーにも支持されると思います。 [編] あと、リリースなどではUSB端子について、規格がはっきり書いてなかったんですが、これは1.1ですか、2.0ですか。 [G] 1.1です。2.0は採用する予定はありません。 [編] それは、今回搭載されたIEEE 1394bなどで補完できるからですか。 [G] そうです。FireWireは、ストレージをはじめ、実績のあるソリューションで、市場でも受け入れられています。 ● 12インチ液晶でもミニマム
[編] 今回、Greenさんが来日されたことでも表れているように、今回のPowerBookは日本市場も重視しているようにみえますが、全体の何%ぐらいを日本で販売される予定ですか。 [G] すみません、社内では、そういう数字は持っていますが、それは公開していません。でも、日本での販売には大変期待しています。 [編] ただ、日本で販売されている2スピンドルの12型液晶ノートは、ほとんど2kgを切っています。それに比べると、今回の12型PowerBookはちょっと重すぎませんか。 [G] 私達はPowerBookについて、ビジネスのツールとして妥協できない部分を持っています。それは長時間のバッテリー駆動時間であり、コンボドライブやスーパードライブの搭載などです。それを考えると今の重量というのは、満足できる数字だと思います。 [編] 日本では通勤手段の大半が電車ですし、大変混み合っていてノートを使うのは難しいです。どちらかといえばモバイルというよりはトランスポータブルな使い方が多いと思います。バッテリ駆動時間を半分にして、何百gか軽くなるとうれしいんですが。 [G] 貴重なご意見として伺っておきます。ただ、バッテリ駆動時間については、重要だと思っていますので、対応する可能性は低いでしょう。 [編] 同様に、液晶のサイズを12型ではなく、10.5型にして、全体をもっと軽くすることはできませんか。 [G] 液晶については12型でもミニマムだと思っています。キーボードの大きさなどを考えても、これ以下の大きさの製品はちょっと考えにくいでしょう。 ● PowerPCで満足 [編] CPUについてですが、Macintoshシリーズは現在、PowerPCを採用していますが、クロックの向上などでやや行き詰まっている感じがあります。一方、IntelとAMDの競争によって、x86はクロックや低消費電力化などの面で進歩しています。将来的にずっとPowerPCで大丈夫なんでしょうか、x86に乗り換えるという方向はありますか。 [G] いつも、ジョブズCEOがデモしているように、PhotoShopなどのアプリケーションでは、Pentium 4よりもPowerPCの方がすぐれた結果を出しています。パフォーマンス、消費電力ともPowerPCには満足しており、x86に乗り換えるようなことは考えていません。 [編] ありがとうございました。 ◎Application担当ディレクター Joe Hayashi氏 ●新しいブラウザー「Safari」
[編] 今回は製品がたくさんありますが、インタビューの時間も限られていますので、さしつかえなければ「Safari」に絞ってお話を伺いたいのですが、よろしいでしょうか。 [Hayashi氏(以下H)] ええ、けっこうですよ。 [編] どうしてこの時期にブラウザを新たに作ったのでしょう。 [H] やはり、従来のブラウザについて、速度をはじめとする性能の面でも、使い勝手の面でも、満足できなかったからです。 [編] つまり、「せっかく俺たちがクールなハードを作ってるのに、ろくなブラウザがないから、俺たちがクールなやつを作ってやる」ってことですか。 [H] (笑)。そうはいいませんが、やはりAppleの利点として、自分たちでハードとソフトの両方を提供しているということがあります。自分たちで、使い勝手などを生かしたブラウザを持っていることは重要でしょう。 [編] SafariについてはKDEのkonquerorプロジェクトのKHTMLにアップル側で大幅な改良を加えたとありますが、具体的にどのあたりに手を加えられたのでしょう。 [H] 私は技術ではなく、マーケティングの人間なので、それには答えられません。しかし、safariが高速なことは事実です(IEと同じページを表示してスピードを比べてみせる)。 [編] ブックマークの管理などiアプリケーションと共通の使いやすさですが、なぜ「iBrowser」や「iWeb」ではなく、「Safari」という名前なんですか。 [H] iアプリケーションについてはデジタルメディアを扱うというイメージがあるので、ブラウザは別の名前になってます。印象的な名前でしょう。 [編] ちなみに、Windows版やLinux版は計画していますか。 [H] 私達は計画していませんが、Safariの開発成果はオープンソースとして公開されているので、興味を持つ方が開発される可能性はあるでしょう。 [編] ありがとうございました。 □関連記事 (2003年1月9日) [Reported by date@impress.co.jp]
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