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産総研、人型ロボット「HRP-1S」による産業車両の代行運転をデモ12月19日公開 独立法人産業技術総合研究所(産総研)は、川崎重工株式会社、東急建設株式会社らと共同で、人間型ロボットによる産業車両の代行運転を公開した。ロボットによる屋外での産業車両代行運転の公開は世界初。 経済産業省が'98年からの5カ年計画で実施している「人間協調・共存型ロボットシステム研究開発」(HRP:Humanoid Robotics Project)プロジェクトによる、働く人間型ロボット研究の一環で、通常は人間が操作する機械を、そのまま人型ロボットに運転させようというもの。 従来も雲仙普賢岳などの災害現場では、遠隔操作が可能な土木作業用車両が導入されていたが、あくまで専用の車両が必要だった。人型ロボットを導入することで、通常は人間が搭乗して操作する産業車両にロボットを搭乗させ、遠隔操作により運転させることが可能になる。 人型ロボットに代行運転させることで、専用の車両が必要なく、すべての産業車両を即座にロボット化でき、災害現場などの危険地帯でも人間と同等の作業ができるようになるという。また、ロボットを降車させて現場の確認をさせたり、簡単な修理を実施するなど、無人車両では難しい作業も実行できようになるという。 また、人型ロボットは、車両の運転だけに特化されているわけではなく、施設の点検作業や警備用など、汎用的に使われる可能性が高い。そのため、将来的にはある程度の生産数が見込め、量産効果により、ロボット単体のコストも充分に安価になるという 会場で行なわれたデモは、HRP-1Sを使って、市販のショベルカー(バックホウ)を遠隔操作するというもの。今回のデモは、5日に東急建設から発表された人型ロボット用「作業用保護ウェア」を着用して実施された。 ●バックホウを操縦するHRP-1S
【動画1】着座して右手で体を支えながら足の位置を調整(1分15秒)
作業用保護ウェアは、屋外作業現場での雨や埃からロボットを保護するために作られたもの。ロボットのサーボなどが発生する熱を排出するため、手足の部分が蛇腹構造とされ、背面のバックパックには、排気口なども設けられている。 これまで人型ロボットは粉塵や天候の影響を受けない屋内で作業することが多かったが、保護ウェアを装着することで、環境変化の激しい屋外での作業も可能となる。 デモで使用された産業車両は、日立建機製のバックホウ「EX25」。現状では車両へ自力で搭乗することはできないため、車両上部にはロボット牽引用のクレーンが設置されている。また、運転席にも専用のシートが装備され、作業中の振動からロボットを保護するようになっている。 デモは、HRP-1Sがあらかじめ運転席に直立状態で載せられた状態から実施された。デモが開始されると、直立状態で運転席に載せられたHRP-1Sは、ゆっくりと着座すると、右手を専用の手摺りに固定しながら、足を若干前に出す動作をし、体を安定させる。 その後は人間の遠隔操作を受けながらHRP1-Sがバックホウの操作レバーを操作し、会場中央に盛られた砂山を掘り返す作業を見せた。 HRP-1Sの遠隔操作手法には、「オート制御」、「マニュアル制御」、「セミオート制御」の3方式が用意されている。オート制御は、あらかじめ用意された動作を自動的に行なうもので、デモ中では着座の動作などがこれに相当する。 マニュアル制御は、マスタースレーブ方式で人間が直接ロボットの腕や脚を操作するもので、バックホウのレバーを操作して作業する動作がこれに相当する。 セミオート制御については、今回はデモが実施されなかったが、視覚補助機能などからの情報をもとに自律機能を用いるというもので、ロボットが確認している位置に、自律的に腕を移動させる動作などが可能になる。 今回の成果について産総研では、「人間型ロボットが人と同様に働ける可能性を示す大きな成果で、働く人間型ロボットの実用化に大きく貢献するもの」としている。今後は2003年2月のプロジェクト終了に向けて、今後は遠隔操作の無線化や乗り込み動作の実現、実際の工事に準じた試験による作業性、生産性の評価などを実施していくという。
●遠隔操作の様子
【動画3】操縦の様子1(20秒) □産業技術総合研究所のホームページ (2002年12月19日) [Reported by kiyomiya@impress.co.jp / aoyama@impress.co.jp]
【PC Watchホームページ】
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