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ClawHammerは2003年第1四半期に3500前後のモデルナンバーで登場
〜AMD Analyst Meeting




●ClawHammerのスケジュールを再確認

 AMDは先週金曜日に開催した「Analyst Meeting」で、CPUロードマップや製造計画のアップデイトを行なった。その結果、次世代CPU「Hammer(ハマー)」ファミリなど、今後の同社の製品計画が明瞭になった。さらに、Analyst Meetingと前後して行なわれたAMDのWebサイトでのCPUロードマップ更新で、新たに、「Athens(アテネ)」「San Diego(サンディエゴ)」「Odessa(オデッサ)」というコードネームの3種の次々世代Hammerの存在も明らかにされた(このロードマップは現在アクセス不能になっている)。

AMD簡易ロードマップ
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 まずデスクトップロードマップから。

 AMDのDirk Meyer(ダーク・メイヤー)上級副社長(Senior Vice President、Computation Products Group)は、「0.13μm版Athlon XP(Thoroughbred:サラブレッド)」のL2キャッシュ増量版(256KB→512KB)である「Barton(バートン)」が、来年第1四半期に登場すると説明した。Meyer氏によると「この製品は、(モデルナンバーが)3000レベルのパフォーマンスになる」という。ちなみに、AMDはBartonではL2キャッシュを増やした分の性能向上を、モデルナンバーに反映させるつもりでいる。

 また、Meyer氏は、次世代Athlonとなるデスクトップ版「ClawHammer(クローハマー)」の出荷が、2003年第1四半期であることも再確認した。これは、じつはかなり重要だ。というのは、10月の「Financial Earnings for 3rd Quarter 2002」のカンファレンスコールで、AMD幹部がサーバー向けの「SledgeHammer(スレッジハマー)」の方が先になると発言したため、ClawHammerの出荷時期に疑問符がついていたからだ。今回のカンファレンスで、ClawHammerの出荷は確約された格好だ。

 Meyer氏によると「Hammerテクノロジのデスクトップ版Athlonは、3000台中盤の性能で登場、年末までに4000レベルにまで上がる」という。昨年の発表でも、0.13μm版ClawHammerの性能は、3400〜4000となっていたので、変化はない。

 さらに、Meyer氏は「2004年の早い時期に90nmプロセスの製品も登場する」と説明する。90nmプロセスは、このカンファレンスの前までは2003年後半の立ち上げと発表されていたが、2004年前半へと後退した。

●San Diegoは幻のコードネーム?

 冒頭で説明したように、AMD Webサイトのロードマップでは、この90nm版デスクトップHammerのコードネームはSan Diegoとなっていた。これまで、90nm版はClawHammer-Sと呼ばれており、コードネームが明らかになったのは今回が初めてだ。しかし、このロードマップはすぐにアクセス不能となってしまったため、このコードネームがAMDの正式に発表したものと言えるかどうかはグレーだ。先月の、Intelの「Nehalem(ネハレム)」と同様、メーカー側のミスで露出してしまった可能性も高い。

 例えば、Analyst Meetingの直前まではSan Diegoというコードネームをつけることが決まっていたが、土壇場でそれは取りやめになった。ところが、ミーティングと同期してアップするロードマップの方には、コードネームがそのまま残っており、慌てて取り下げられた、といったストーリが考えられる。いずれにせよ、この手のコードネームは戦略的に決められるので、San Diegoが決定稿になるかどうかはわからない。実際、これまでにもコードネームが途中で変わったことがあった。例えば、0.18μm版Athlon XPである「Palomino(パロミノ)」は、以前は「Corvette(コルベット)」というコードネームで呼ばれていた。場合によっては、San Diegoは幻のコードネームになってしまうかもしれない。

 モバイルではMeyer氏は、Thin & Light(薄型軽量)ノート向けの16Wと25W TDP(Thermal Design Power:熱設計消費電力)のAthlon XPを、今四半期(2002年第4四半期)に出荷することを明らかにした。Thin & Light向けAthlon XPは、もともと今年前半に出荷されるはずだったが、主に市場側の理由から遅れていた。

 モバイルでも、Bartonは2003年第1四半期に登場する。また、モバイル版ClawHammerも、来年中盤に、フルサイズノートPC向けに登場する。ClawHammerとThin & Light向けAthlon XPは、2004年頭には90nm版Hammerと入れ替わる。AMDサイトでは、この90nm版は「Odessa(オデッサ)」というコードネームになっていた。もっとも、AMDが異なるダイ(半導体本体)を作るとは思えないので、Odessaは実質的にSan Diegoと同じダイになると思われる。

 サーバー&ワークステーションのロードマップでは、現行のAthlon MPが来年第1四半期にBartonにリフレッシュされ、その後、SledgeHammerベースの「Opteron」が来年前半に投入される。このカンファレンス前までは、ClawHammerベースのOpteronがローエンドサーバー向けに存在したが、これは削除された。Opteronは、全て大容量L2キャッシュを搭載したSledgeHammerとなる。

 ちなみに、今回、SledgeHammerのトランジスタ数がAthlon XPの2.5倍程度になることも明かされた。しかし、Bill Siegle上級副社長兼チーフサイエンティスト(Senior Vice President、Technology Operations and Chief Scientist)によると、リーク電力削減に効果のあるSOIテクノロジのおかげで、SledgeHammerの消費電力はAthlon XPと同程度になるという。

 サーバー&ワークステーションも2004年前半に90nm版へと移行する。これは、Webサイトでは「Athens(アテネ)」というコードネームになっていた。

●90nmプロセスは開発が順調に進展

 Analyst Meetingでは、Bill Siegle上級副社長兼チーフサイエンティスト(Senior Vice President、Technology Operations and Chief Scientist)による、プロセステクノロジの説明も行なわれた。まず、CPUの製造を担当する独ドレスデンのFab30では、ウェハ投入ベースでは0.13μmプロセスへの移行が第3四半期に完了したことが報告された。

 次世代の90nmプロセス「HiP8」については、2000年からテキサス州オースティンで始めていたMotorolaとの初期開発が終わり、今年第2四半期にテクノロジ開発はFab30に移行されたという。現在は、テクノロジ開発のために4MbitのSRAMチップの試作を行っているという。また、90nmで試作するSledgeHammerの設計も完了し、来年後半にはこのコアでプロセスのクオリファイを進める予定だという。

 こうして見ると、AMDは90nmでは0.13μmの時よりも、プロセス開発が若干速いフェイズで進んでいることがわかる。90nmでは、先行するIntelとの距離をある程度詰めることができるかもしれない。ちなみに、Intelは来年中盤から90nmで次世代CPU「Prescott(プレスコット)」の製造を始める予定でいる。

●AMDのウェハ投入計画から製品移行を予測

 今回、AMDの生産計画も明瞭になった。下の図が、AMDのanalyst meetingでのプレゼンテーション「Fab30 Wafer Start Migration 2000-04」を元に制作したFab30の製造計画だ。

Fab30のプロセス技術計画
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 左軸は週毎のウェハ投入量、下軸が時間経過となる。このデータが、なかなか面白い。というのは、各プロセス技術のウェハ投入量は、ほぼイコール製品の製造計画に重なるからだ。つまり、0.13μmはイコール現行Athlon XPの「Thoroughbred(サラブレッド)」と「Barton(バートン)」、0.18μmは0.18μm版Athlon XPの「Palomino(パロミノ)」、0.13μm SOIはClawHammer/SledgeHammer、90nm SOIはAthens/San Diego/Odessaの生産に置き換えられる。そこで、これをベースに、各CPUの出荷量の予測をしてみた。

 まず、ウェハ投入から、実際にCPUが前工程と後工程の両方を終えて製品として出荷されるまでタイムラグがある。これを1四半期と見積もって、全体を1四半期ずらしてみる。

 それから、新プロセスの立ち上がり時期は歩留まりが悪くなる。それを見積もって、各プロセスの立ち上がり期の量を減らしてみる。それから、ダイサイズ(半導体本体の面積)が小さい方が、同じウェハ投入量でも生産されるCPU個数が増えるので、それも調整する。そうして推定したのが下の図だ。

AMDの出荷計画(推定)
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 もちろん、これは推測に過ぎないが、およその流れは見えてくる。

 まず、Hammerの出荷計画のおおまかなプロセスがわかる。こうして見ると、来年第1四半期のHammerの出荷量は極めて少ないことが予想される。よくても、AMDの全生産量のうち数%に過ぎないだろう。これはOEMからの情報と一致する。第2四半期になると、出荷量はやや増えるが、全体から見れば、まだHammerの比率は少ないと推測される。ちなみに、ある業界関係者は第2四半期のHammerの比率は10%以下とAMDから聞いたと言う。この推測図からも、それが裏付けられる。

 これが急激に伸びてくるのは2003年後半。AMDのプロセス移行計画の通りなら、2003年末までにHammerの比率は一気に50%を超えるだろう。さらに、2004年の第1四半期までには、デスクトップPCの全てとノートPCの一部は、Hammerアーキテクチャに移行を終えると推測される。ちなみに、2004年に入っても残っている非SOIテクノロジの0.13μmの製造キャパシティは、ノートPCの一部などで、Hammerに簡単に移行できない分と思われる。

 このほか、この図ではAMD CPUの0.13μm化は、2002年第4四半期中に完了することがわかる。これは、第3四半期の中盤にウェハ投入が全て0.13μmに移行してしまっているからだ。つまり、今後は、AMDの後工程Fabから出てくる新規出荷分のAthlon XPは、全てがThoroughbredかBartonになる。

 次の90nmプロセスへの移行は、現在公表されている計画は非常にアグレッシブだ。ほぼ1四半期半で移行を終える計画になっている。そのため、2004年の前半は90nmプロセスのCPU群の生産量は限られるが、第3四半期に入ると一気に90nmに塗り変わってしまう。本当に、この計画通り行くかどうかはもちろんわからないが、現在の計画ではこうなっている。

 そこで、このデータをベースに、今度は、AMDのCPUコアの移行を推測してみた。それが下の図だ。

AMD_CPUコアの最新ロードマップ
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 この図の中のBartonとThoroughbredの比率はあて推量だ。というのは、この両CPUは同じ製造プロセスで作られるため、比率をどうするかはAMDの製品戦略次第で大きく変わるからだ。製造個数を増やそうを思えばThoroughbredの比率が高く残り、性能を重視すればBartonの比率が高くなる。来年第1四半期のBartonの比率を低く見積もっているのは、10月前半の段階の段階でまだBartonのサンプルを入手していないとOEMが言っていたからだ

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【11月8日】AMD、FSB 333MHz対応のAthlon XP 2600+を出荷開始
〜CPUロードマップも更新。90nm CPUのコードネームを公開
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2002/1108/amd.htm

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(2002年11月12日)

[Reported by 後藤 弘茂]


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