GeForce 4の2倍を超える爆発的パフォーマンス「RADEON 9700PRO」登場



クリエイティブ
「3D BLASTER5 RX9700 PRO」

 7月中旬、サンフランシスコにおいてATI TechnologiesがDirectX 9にフル対応したグラフィックスチップとして発表したのがコードネーム“R300”こと、RADEON 9700 PROだ。

 RADEON 9700 PROは1億700万トランジスタという、Pentium 4の倍以上になる膨大な数のトランジスタにより、4つのバーテックスシェーダ、8つのピクセルパイプラインという非常に強力な仕様を実現しており、発表会でもNVIDIAのGeForce 4 Ti4600の倍以上のパフォーマンスを実現するとブチあげたため、これまで発売されるのを待ち望んでいたユーザーも少なくないだろう。

 そこで本レポートでは、先週末より秋葉原で流通が開始されたRADEON 9700 PROを搭載したビデオカードを取り上げていきたい。今回レビューに利用したのは、ビデオカードメーカーとして“帰ってきた”クリエイティブの3D BLASTER5 RX9700 PROだ。



●DirectX 9にフル対応となったRADEON 9700 PRO

RADEON 9700のコアクロックとメモリクロック

 RADEON 9700 PROに関しては、筆者の発表会レポート“ATIがDirectX 9に対応したVPU「RADEON 9700」をリリースや後藤弘茂氏の“ATI RADEON 9700(R300)の内部構造”などで解説している通りであるためここでは多くは語らないことにするが、冒頭でも述べたように4つのバーテックスシェーダ、8パイプ化されたピクセルパイプラインなど従来のグラフィックスチップに比べて大幅に強化されているのが特徴と言える。また、この秋にもリリースされる予定となっているDirectX 9でサポートされる予定となっているバーテックスシェーダ2.0とピクセルシェーダ2.0に完全対応となっており、初めてDirectX 9にフル対応となったグラフィックスチップと言ってよい。

 発表会の時点では公表されていなかった、コアクロックとメモリのクロックについては、すでにATIのリテール品の発表リリース内で、コア325MHz、メモリ620MHzと発表されていたが、今回入手したクリエイティブの製品で確認したところ、コアが325MHz、メモリは620MHzとなっていた。実際にATIから登場する純正品がどうなっているかは現時点では明らかではないが、現在秋葉原でOEMメーカーからリリースされているRADEON 9700 PROは、みなこの仕様となっているようだ。


●久々にハイエンド市場に参入したクリエイティブの3D BLASTER5 RX9700 PRO

 今回レビューに使用したのは、クリエイティブテクノロジー(日本ではクリエイティブメディアが販売)の3D BLASTER5 RX9700 PROだ。クリエイティブテクノロジーと言えば、サウンドカードが最も有名な製品だが、GeForce2世代まではいち早くNVIDIAの最新ハイエンドチップを搭載したビデオカードをリリースするベンダとして、このコーナーでも何度も取り上げたことがある。実際、バックナンバーをみてみると第83回の“GeForce2 GTSの高クロック版〜GeForce2 Ultra搭載ビデオカードの実力を探る”までさかのぼらなくてはならなかった。

 クリエイティブテクノロジーがNVIDIAのハイエンドチップを搭載したビデオカードを作らなくなった理由は、外部の人間である筆者が知るよしもないが、背景にはNVIDIAのOEMメーカーに対する戦略が変更されたためと言われている。その後、GeForce3 Ti200やGeForce 4 MXを搭載したローエンドのビデオカードはリリースされていたが、ハイエンド向けの製品はリリースされてこなかった。しかし、ついにRADEON 9700 PROでクリエイティブもこの市場に復活の名乗りをあげたわけだ。

 このことは、ATI対NVIDIAという観点で見るとおもしろい。実は、現在ATIのOEMメーカーとなっているところは、言ってみれば“NVIDIAを捨てた(あるいは捨てられた)”面々だ。

 たとえば、台湾のGigabyte Technologyは、以前はNVIDIAのチップを搭載していたビデオカードを作っていたが、現在はATIに乗り換えている(すでにNVIDIAのラインはほとんどない)。以前、Gigabyteの関係者に、どうして乗り換えたのかというのを聞いたところ、「よいサポートがもらえなかったからだ」という答えが返ってきた。つまり、GigabyteとしてはNVIDIAが自社をサポートしている条件と、ライバル(ASUSやMSIなどだろう)の条件を見比べたところ、ATIに乗り換えた方が得だと考えた、そういうことだ。

 Gigabyteに限らず、PowerColorやFICなどATIに乗り換えた面々は、こうしてRADEON 9700 PROを搭載した製品をリリースできているわけで、NVIDIA陣営の面々に対してアドバンテージとなっている(だが、仮に今後NVIDIAがNV30で盛り返せば、逆のことも起こりうるため、OEMメーカーにとって、どちらの陣営に入るかというのは、大きな賭なのだが)。

 少し話が脱線してしまったので、3D BLASTER5 RX9700 PROの話に戻ろう。3D BLASTER5 RX9700 PROは、クーラーこそクリエイティブのシールが貼られた金色のオリジナルのものとなっているが、基板自体は秋葉原で流通しているボードとほぼ同等のデザインとなっている。

 なお、これはRADEON 9700 PRO搭載カードに共通した話だが、FDDに利用される電源コネクタがボード上に用意されており、PC本体のケースから給電する形状となっている。ここに電源を接続せずに起動しようとすると、ビデオカードのBIOSがエラーメッセージを出して起動しないので、必ず接続するようにしたい。

 また、出力端子はミニD-Sub15ピンが1つ、Sビデオ端子が1つ、DVI-I出力が1つで、DVI-IからRGBへ変換するコネクタが付属しており、標準でデュアルディスプレイ構成が可能だ。

PC本体ケースからの電力供給は必須 出力端子はミニD-Sub15ピン、Sビデオ端子、DVI-Iの3系統


●高負荷の環境ではGeForce 4 Ti4600の倍以上のパフォーマンスを発揮

 それでは、実際にベンチマークプログラムを利用してRADEON 9700 PROのパフォーマンスを確認していこう。比較に用意したのはGeForce 4 Ti4600(128MB DDR SDRAM)を搭載したビデオカードと、前世代のチップとなるRADEON 8500(64MB、DDR SDRAM)を搭載した純正カードの2つだ。

 なお、GeForce 4 Ti4600は、ちょうど先週の金曜日に最新バージョンのDetonator 40(v40.41)がリリースされたばかりだったので、以前のドライバであるv30.82と両方のバージョンで計測し、その効果をあわせてみてみることにした。環境は以下の通りで、ビデオカード以外は全く同一の環境となっている。

【テスト環境】
 GeForce4 Ti4600(V30.82)GeForce4 Ti4600(V40.41)RADEON 9700 PRORADEON 8500
CPUPentium 4 2.40B GHz
チップセットIntel 845G
マザーボードIntel D845GBV
BIOSバージョンRG84510A.86A.0013.P06
チップセットドライバIntel 4.00.1013+Intel IAA V2.20
AGP Aputure Size256MB
メモリDDR SDRAM
メモリモジュールPC2100(2-2-2)
容量512MB
ビデオチップGeForce4 Ti4600GeForce4 Ti4600RADEON 9700 PRORADEON 8500
ビデオコアクロック300MHz300MHz325MHz275MHz
ビデオメモリ128MB DDR128MB DDRDDR SDRAM/128MB64MB DDR
メモリクロック650MHz650MHz620MHz550MHz
ビデオドライバDetonator XP V30.82Detonator 40 V40.41V6.13.10.6143V6.13.10.6118
サウンドチップYMF-754
イーサネットIntel PRO/100+マネージメントアダプタ
ハードディスクIBM IC35L040AVVN07-0(40GB)
フォーマットNTFS
OSWindows XP Professional

■ベンチマークテスト結果

【グラフ1】3DMark2001 Second Edition/32bitカラー(圧縮)/FSAAなし

 グラフ1、グラフ2はMadOnion.comの3DMark2001 Second Edition(Build330)の結果で、グラフ1がFSAAなし、グラフ2が4サンプルのFSAA有効の結果だ。

 この2つのグラフをみて言えることは、あまりビデオカードに負荷が掛からない低解像度でFSAAなしのモードでは、RADEON 9700 PROも、GeForce 4 Ti4600も差はわずかでしかないということだ。たとえば、1,024x768ドット/32bitカラー/FSAAなしではRADEON 9700 PROは、GeForce 4 Ti4600を8.7%上回っているにすぎない。


【グラフ2】3DMark2001 Second Edition/32bitカラー(圧縮)/4X FSAA

 だが、これがひとたび高負荷環境になると話はかなり変わってくる。たとえば、最も負荷が高い環境と言える1,600x1,200ドット/32bitカラー/4サンプルFSAA有効では、RADEON 9700 PROは、GeForce 4 Ti4600に対して129.6%、つまり2.3倍にもなるパフォーマンスを発揮している。

 グラフ2をみれば一目瞭然のように、負荷が高くなればなるほどRADEON 9700 PROの性能が伸びていっている。


【グラフ3】GeForce4 Ti 4600を基準にしたRADEON 9700 PROの相対性能

 グラフ3は、グラフ2を元に、GeForce 4 Ti4600を基準にした場合の、RADEON 9700 PROの相対的な性能を示したグラフだ。解像度があがり、負荷があがればグラフが伸びていっていることがこのグラフでわかるだろう。


【グラフ4】Quake III Arena(demo1)/32bitカラー

 グラフ4はQuake III Arena(demo1)の結果だが、ここでも1,024x768ドット/32bitカラー/FSAAなしでは、差はわずかで、ほとんど同等と言ってよい結果だが、1,600x1,200ドット/32bitカラー/4サンプルFSAA有効では114.9%、つまり2.14倍のパフォーマンスを発揮している。この傾向はグラフ5のComanche 4でも同様の結果を確認することができる。


【グラフ5】Comanche 4/32bitカラー



 低解像度でRADEON 9700 PROとGeForce 4 Ti4600の差がでないのは、すでに両チップともにそれらの解像度で必要とされる処理能力を満たしており(つまりビデオカードはボトルネックとなっておらず)、差がほとんどでないのだと考えることができる。

 だが、高解像度でFSAA有効の環境では、まだまだ要求される処理能力をビデオチップが満たしておらず、差がでるわけだ。

 特にRADEON 9700 PROは8パイプ(GeForce 4 Ti4600は4パイプ)で、ボトルネックになりやすいメモリバスも256bit(同128bit)で、帯域幅は20GBを超えている。これらが理由となり、RADEON 9700 PROはGeForce 4 Ti4600の2倍超のパフォーマンスを発揮していると考えることができるだろう。


●大きく変わる今後のビデオカード市場勢力図

 以上のように、ベンチマークの結果からわかるように、負荷が高くなればなるほど、RADEON 9700 PROはその真価を発揮すると言える。

 これまで、高解像度では実用的な速度でプレイできなかったいわゆる“重たい”3Dゲームでも、RADEON 9700 PROを使えば、高解像度でしかもFSAAを有効にしてプレイすることができるようになるだろう。これが現時点でのRADEON 9700 PROの最大のメリットと言える。

 また、もう1つ忘れてならないのは、RADEON 9700 PROは次世代の標準であるDirectX 9にすでに対応しているという点だ。このため、DirectX 9時代に突入してもRADEON 9700 PROを搭載した製品を選択しておけばビデオカードを買い換える必要はない。これは大きなメリットと言え、将来を見据えてRADEON 9700 PROをチョイスするというのもありだろう。

 価格も4万円台後半と、ハイエンドのビデオチップを搭載したビデオカードが、これまでは5万円、場合によっては6万円を超えていたことを考えればコストパフォーマンスも高い。

 ATIはRADEON 9700 PROで、性能の観点から明らかにNVIDIAを凌駕した。つまり、NVIDIAがRIVA128〜RIVA TNTファミリーで確立したパフォーマンスリーダーという座を確実に奪い取ったということだ。このことは、前述のようなATIのOEMメーカーが、これまで見慣れたNVIDIAのOEMメーカーに変わり、ハイエンドのビデオカード市場に君臨するということを意味しており、ビデオカード市場のプレイヤーは今後大きく様変わりしていくことになるだろう。NVIDIAがどのように巻き返すのか、それはNV30をいつ出せるのか、それにかかっている。

□関連記事
【8月30日】クリエイティブ、RADEON 9700搭載ビデオカード
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2002/0830/creative.htm
【8月8日】ATI、RADEON 9700 PRO搭載カードを8月19日出荷
〜コアクロックは325MHz、メモリクロックは620MHz
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2002/0808/ati.htm

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(2002年9月6日)

[Reported by 笠原一輝@ユービック・コンピューティング]


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