CeBIT asia 2002レポート:モバイル編
PDAや携帯電話との複合機が多数出品される
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会期:9月2日~5日
会場:上海新国際博覧中心
(SHANGHAI NEW INTERNATIONAL EXPO CENTER)
CeBIT asia(アジア国際事務・情報・通信技術見本市)会場で、最も活気があるのは携帯電話関連の展示だ。中国全土の携帯電話ユーザー数は2002年1月~6月の間に3,000万人ほど増加して約1億7,000万人になっており、急速に伸びている。実際、上海市内の随所に携帯電話の販売店があり、多くの人でにぎわっている。
上海都市部だけを見れば、携帯電話の普及率は50%を超えているとも言われているが、中国全土では14%弱。まだまだ成長が期待されるだけに、地元中国はもとより、世界各国のメーカーがこの市場を狙っている。
ここではモバイル関連製品を中心に、会場における携帯電話事情をレポートする。
■PDAと携帯電話のハイブリッド端末の普及は日本よりも早い?
中国の携帯電話方式はGSMから、3GのGPRSとCDMAに移行しているところ。世界の主流の方式をとっているので、欧米などの端末メーカーが参入しやすい。
そのため、携帯電話にPocket PC Phone EditionやPalm OSなどさまざまなOSを搭載し、タッチパネルを装備した、いわばPDAと携帯電話の複合端末も作りやすく、さまざまなブースで出品されている。PDAが富裕層に人気を博している背景もあり、複合端末の普及は日本より早いかもしれない。
■用途を絞った実用端末が人気
高度成長を続ける中国らしく、株価情報をリアルタイムで受信できるワイヤレス端末が注目を浴びている。また、英語学習も盛んで、上海市内では英語学習ソフトなどをよく見かけるのだが、英語学習機能を搭載したPDAなども展示されている。
台湾TelePaqの株価情報端末。グラフィカルに株価情報が表示される | 台湾ETENの株価情報端末 |
China Mobile(中国移動通信)の株価情報端末。電話機能も備える | 台湾CMCのPDA「EZ-880」。PenbexOSを採用しており、CPUは33MHzのDragon BallながらMP3再生機能を備えており、語学学習ソフトも用意されている |
■中国版写メール端末とCmodeが大人気
China Mobileのブース |
会場に入ってすぐの場所に大規模なブースを構えるのがChina Mobile(中国移動通信)。中国で70%以上のシェアを占めるメガキャリアだ。携帯電話キャリアのブースが真っ先に目に入るということが、今回のCeBIT asiaの傾向を象徴している。
カラー液晶や簡易ブラウザ、Javaインタープリタ、デジタルカメラがあたりまえのように搭載されている日本の携帯電話事情と違い、中国の携帯電話は通話機能以外にはショートメッセージサービスが備えられているのがせいぜいで、液晶もほとんどがモノクロだ。そんな中、China Mobileのブースではまだ実用化されていないデジタルカメラ付き携帯電話や、携帯電話によるキャッシュレスショッピングのデモをメインに据えている。
デジタルカメラ付き携帯電話はソニー・エリクソン製と、Nokia製の端末でデモを行なっている。Nokia製の端末は動画の再生機能も装備されている。サポートするコーデックは「Nancy」。
なお、Samsungのブースでも同社製デジタルカメラ付き携帯電話が参考出品されている。こちらはまだメニューも韓国語のままだった。
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【2月26日】ケータイ用語の基礎知識 Nancyコーデック とは(ケータイ)
http://k-tai.impress.co.jp/cda/article/keyword/0,,8416,00.html
携帯電話によるキャッシュレスショッピングのデモは、自動販売機の缶ジュースを携帯電話で購入できるというもの。代金は電話料金とともに徴収される。NTTドコモも「Cmode」という同様のサービスを実験しているが、NTTドコモのサービスではiモードブラウザで表示したバーコードを自動販売機に読み取らせる仕組みになっている。
一方China Mobileのデモでは、自動販売機のテンキーで自分の携帯電話の番号を入力する。携帯電話にショートメッセージサービスで送信されてきたパスワードを再度自動販売機に入力すると、缶ジュースを購入できる。
ショートメッセージサービスさえ使えればすぐに実用化できそうな仕組みのサービスで、実際に会場では来場者が自分の携帯電話を使って缶ジュースを購入していた。多くの来場者の関心をひいており、自動販売機の前には常に黒山の人だかりができていた。
China Mobileの携帯電話ショッピングのデモ。右の来場者は、自前の携帯電話にパスワードが届くのを待っている | 操作のしかた。「手机」は携帯電話のこと | 閉場1時間前には自販機がからっぽになるほど大人気 |
■中国の携帯電話は小さい
携帯電話端末メーカーとしては地元中国のCAPITELグループやHaier(ハイアール)、KEJIANのほか、日本の京セラ、松下電器、韓国のSamsung、独SIEMENSなど多数が出展。さまざまな端末を展示しているが、2.5G端末のような装備や特徴を持たない中国の携帯電話は、少し前の日本の端末のように小型化を競っており、総じて小さい。
独SIEMENSが参考出品した6688i。JavaインタープリタとMP3再生機能を備え、メモリカードスロットを搭載する多機能携帯電話。電話帳はOutlookとの同期が可能 | 松下電器は派手なペイントを施した携帯電話を参考展示 | Samsungの女性向け携帯電話 |
中国の携帯電話はみな小さい。大型液晶を備えた日本の携帯電話を見慣れた目には新鮮。写真左からKEJIAN、Haier、松下 |
□CeBIT asiaのホームページ(英文)
http://www.cebit-asia.com/
□ドイツ産業見本市日本代表部のCeBIT asia紹介ページ
http://www.hannovermesse.co.jp/CeB-A.htm
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【9月2日】CeBIT asia 2002レポート:前日編
広大な会場に日中台欧の多数の企業がブースを設営
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2002/0902/cebita01.htm
(2002年9月3日)
[Reported by tanak-sh@impress.co.jp]