元麻布春男の週刊PCホットライン

プレゼンテーション機能を搭載したBluetoothマウス


●魅力的な質感のワイヤレスマウス

Cordless Presenter本体とUSBミニレシーバ。写真では分かりづらいが、質感はかなり高い

 ロジクール(米Logitech)は、世界でも最大規模のマウスベンダで、同時に新しい技術を積極的に取り入れるベンダとしても知られている。今ではすっかりお馴染みとなったワイヤレスマウス(ロジクール風にいえばコードレスマウス)にはかなり早い時期から取り組んできたし、3Dマウスの実用化にも何度となくチャレンジしてきた(残念ながら、こちらはまだ商業的な成功には到達していないが)。そのロジクールが、また新しい技術をマウスに取り入れた。今度はBluetoothだ。

 その新製品は「Cordless Presenter」。名前からも推察できるように、プレゼンテーション用にレーザーポインタ機能を取り込んだ光学式マウスである。本製品は、握った状態でプレゼンテーションを行なうことを意識して、通常のマウスに比べて細長い形状になっている。

 Cordless Presenterのパッケージは、以下の5つで構成されている。

・Cordless Presenter本体
・USBポート接続用ミニレシーバ
・USB延長ケーブル
・ウエットスーツ地のソフトケース
・MouseWare CD-ROM

 写真では分かりづらいかもしれないが、Cordless Presenterの特徴の1つは、質感の高さだ。握った時の適度な重さや、手になじむ感触はなかなかのもの。標準添付されるウエットスーツ地のソフトケースも、内部にミニレシーバー用の小さなポケットが用意されるなど、かなり凝った作りになっており、“モノ”としての魅力度は高い。

 一方、その高級さは価格にも反映しており、オープンプライスとなっているものの、実売価格は3万円近くになるようだ(8月1日からWebでの先行予約が始まる予定)。この種のデバイスとしては極めて高価で、プレゼンテーションをする機会の多いエグゼクティブのためのガジェット、という感じである。

製品にはマウス本体と同形状のソフトケースが付属。ケース内にはUSBレシーバ用のポケットもある


●プレゼンテーションツールとしての機能性は良好だが……

 さて、本製品は、本体に描かれたBluetoothの文字とロゴを除けば、実際にユーザーがそれを意識する部分はほとんどない。Cordless Presenterはホストからは単なるUSBマウスとして認識されており、このデバイスがBluetoothであるかどうかは判断できないからだ(画面1)。

 しかし、ロジクールによると、従来のコードレスマウスが使用する27MHz帯の無線技術では1m前後であった信号の到達距離が、Bluetoothの採用により10m前後まで延長できたという。到達距離が短いと、演者の行動範囲が著しく制約されるため、本製品の性格上このメリットは大きい。

 Cordless Presenterには、全部で5つのボタンがあり、動作モードによりその動作が変わる。動作モードは、普通のマウスとして使うためのマウスモードと、プレゼンテーションツールとして用いるプレゼンテーションモードの2つがあり、本体底面のスイッチで切り替えられる。

 また、同じスイッチで電源を切ることもできる。電源オフモードが用意されているのは、輸送中にボタンが押されるなどして電池が消耗してしまうのを防ぐためだろう。

 画面2はMouseWareの設定画面で、マウスクリック用ボタンに、どんな機能を割り当てるかを定義できる。マウスボタンの間にある残り小さな2つのボタンは「デジタルスクロールボタン」と呼ばれ、スクロール専用となっている。

 マウスモードでの操作性は一般的なスクロールホイール付の2ボタンマウスと同じだが、プレゼンテーションモードに切り替えると、デジタルスクロールボタンでパワーポイントのスライドを前後に操作可能になる。底面に用意された5番目のボタンは、レーザーポインタ照射用となっている。

【画面1】Windows上では単なるUSBマウスとして認識される 【画面2】ボタンの設定などを行なうMouseWare
マウスクリックボタンの間にはスクロール用の小さなボタンがある。プレゼンテーションモードではスライドの移動ボタンとして機能する 底面にはマウスの動作モードと電源OFF切り替え用スイッチと、レーザーポインタ用ボタンを装備する

 実際に使ってみての感想だが、プレゼンテーションモードでの使用感は、おおむね良好だ。電源に単3電池が2本必要だが、さほど重くはない。手元にあるボール式のワイヤレスマウス(単4電池2本利用)と持ち比べてみたが、Cordless Presenterの方が重いという感じはなかった。むしろ、上述したように、適度な重量感ではないかと思う。

 一方、マウスモードでの使用感はあまり良好なものではなかった。Cordless Presenterは、底面に光学読み取り用の赤色LEDがある。他の光学式マウス同様、このLEDは普段は低輝度だが、マウスを動かすと自動的に高輝度に切り替わる。

 しかし、試用した製品はこの切り替わりがスムーズではなく、マウスを動かしてもカーソルが追随しないケースが多々見られた。筆者宅は、場所によってはワイヤレスマウスがうまく動かなくなる“電波地獄(?)”のような環境なのだが、本製品のボタンクリックにはこのような問題はないので、無線系の問題ではないはずだ。

 3万円もするデバイスにしては、まだファームウェア等の熟成度が足りない印象を受けたが、出荷開始(8月下旬)まで1カ月近くある。技術や質感が高く、“モノ”としての魅力がある製品だけに、出荷時には修正されていることを望みたい。

□ロジクールのホームページ
http://www.logicool.co.jp/
□製品情報
http://www.logicool.co.jp/cf/products/productoverview.html/cdr8.html
□関連記事
【7月2日】ロジクール、Bluetooth採用のプレゼンテーション用デバイス
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2002/0702/logicool.htm

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(2002年7月31日)

[Text by 元麻布春男]


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