第153回:お気に入りパソコン/デジカメバッグを作ろう
(不連続掲載1回目)



  どうやらオーディオ好きとPC好きは重なる部分があるらしい。先週は非常に多くのメールをいただいた。ひとつ断らせていただくと、僕はCDというフォーマットやデジタル技術が悪いとは全く思っていない。良いCDを、良いCDプレーヤを用い、良いオーディオシステムで鳴らすと、それまで聞こえて来なかった音が聞こえてくる。

 などと書いていたら、友人の奥さんから電話が入った。なんでも、ウィルス(正確にはワーム)に感染しているとか。そういえば、うちのカミさんにワームが届いていたな……と調べてみると、やはり流行のW32.Klez.H@mmだった。と、ここまでは良くある話なのだが、対策方法が分からずそのノートPCを購入したショップに駆け込んだら「これを直すにはバックアップしてインストールしなおしたりと色々面倒。根絶するには“もう1台”PCがないと無理」と言われ、途方に暮れて帰ってきたのだそうだ。

 PCに詳しくないユーザーの話だから、全く脚色無しとは言えないかもしれないが、ウィルス対策ソフトを勧めることもなく、もう1台あると直るといった話をするのはいかがなものだろうか?

 と、またあらぬ方向に行ってしまいそうなので、本題に進もう。


●再びバッグで悩む

筆者のLAGASHA「SITE 7037 Khaki」

 「お気に入りパソコンバッグを探そう」と題してパソコンバッグを新調したのは2000年秋のことだった。そのときには、ごくごく一般的なLAGASHAの「SITE 7037 Khaki」を購入し、現在までずっと日常的な取材で利用している。もっといいのがあるぞ! とか、もっと安いのでも十分!、あるいはふつうのバッグにインナーバッグの組み合わせの方がデザインを選べていい、といった意見も当然あるだろう。だが僕にとってのSITE 7037 Khakiは、PCの取り出しやすさ、収納力、機能性、軽さなど、あらゆる面で使いやすい存在だった。

 と過去形で書いてしまったが、このバッグを別のモノにリプレースする予定は全くない。しかし、日常的な取材では不満がないものの、デジタル一眼レフカメラの機材一式を詰め込んで、さらにPC関係の機材も機能的に詰め込めるバッグとなると、これがなか見つからないのだ。

 おかげで、少々不格好でもPCがはみ出したままの状態でカメラバッグを無理矢理使ったり、あるいはカメラバッグとPCバッグを両方肩からぶら下げて出張にでかけたりと、誰がどう見ても非効率的なカバンの使い方をしている。

 「お気に入りパソコンバッグを探そう」でも述べたが、僕の機材用バッグの好みはカメラバッグを基本としている。仕切などのカスタマイズが容易で収納力が高く、機材の出し入れが容易な上にセキュリティにも配慮が行き届いている。丈夫で型くずれがしにくいのも、良いカメラバッグの基本だ。

 僕が使っているのはDONKEというブランド(日本ではカメラショップの銀一( http://www.ginichi.com/ )が輸入している)のModel F2というタイプのバリスティックナイロン版(ノーマルはキャンバス製)だ。長年、同じデザインで販売されている定番モデルである。

 実は同じDONKEブランドにSatchelシリーズという製品があり、この中には一眼レフカメラとノートPCを機能的に収納するフレキシビリティを備えたモデルもある。しかし、このシリーズにはバリスティックナイロン製のモデルが用意されておらず、昔ながらのキャンバス地のモデルしかない。キャンバス地のDONKEは色落ちが激しくあまり好きではない(このあたりは前回も書いたところだ)。

 それではと、今度は、同じくカメラバッグの定番であるTENBAを見ると、P415というバッグがなかなか使いやすそうに見える。カメラ用品店に行くと同じバッグがあったのでこれもよくよく検討してみた。カメラとPCを同時に機能的に収納するという目的は達成できる上、バリスティックナイロン製という要求も満たしている。またファスナーを外すとマチが拡がるため、用途に合わせて収納力を調整することも可能だ。これだ! と思って即、購入しそうになったのだが、残念なことに77ミリフィルタ採用の大口径レンズがギリギリ入らず、縦位置グリップ付きのカメラは収まりが悪いのだ。

 ちなみにこのP415、ほぼ同じ機能を持つコピー商品(といって差し支えないほど似ている)もあるが、そちらも事情は同じ。無論、ブランドに拘らずに色々と探してみたが、思い通りのバッグは見つからなかった。もし、レンズ収納力がP415でも十分ならば、PCとデジタル一眼レフカメラを同時に持ち歩く人は購入を検討してみるといいだろう。


●無いならば作ってしまえ

 ニーズに合った製品が見つからないとき、ノートPCの場合は一点モノを注文するというわけにもいかないが、カバンならばそれができる。以前、あるバッグメーカーに取材したとき、担当者が「色々注文をつけて特注しても、バリスティックナイロン製なら数万円でできますよ」と話していたのを思い出した。長い間、修理しながら使い続ける革製バッグではなく、思い機材を入れて酷使する仕事用のバッグだけに、フルオーダーは全く考えていなかったのだが、出来合いでダメならば作るほかない。

 そんなわけで、以前からリリースを送ってもらっていた「Mobile-Bag.com( http://www.mobile-bag.com/ )」の担当者に(全く初対面にもかかわらず)「オーダーメイドで作る、かくかくしかじかのバッグ、いいカバン屋さんを紹介してもらえませんか?」と訊いてみた。そこで紹介してもらったのが、元々は登山用バッグ専門で現在はノートPC向けバッグでも知られるようになった札幌の「Alpine Pack Equipment(略称APE)( http://ape-canyon.com/ )」という小さなカバン屋さん。メッセンジャータイプのPCカバン「iBook Type1」は、Macユーザーならご存じの方も多いだろう。

 なんでもAPEは一人で営んでいる小さな工房らしく、仕様決めから完成までには多少の時間がかかるかもしれない。しかし“小さい工房”というところに妙に惹かれてしまった私は、値段を訊く前に「お願いします!」と返事をしてしまった(もちろん、APEの製品は以前に見たことがあったので、その品質は十分に把握していた)。なお、APEのWebサイトには詳細が書かれていないが、オーダーメイドのバッグは普段から受け付けているようだ。

 ということで、早速、僕から出した基本的な条件は

 ・一眼レフカメラにレンズを付けたままスッポリ入るスペース
 ・77ミリフィルタの大口径レンズも収まるレンズスペース
 ・それらの仕切りをベルクロで自在に変化させることが可能
 ・A4までノートPC用のスペースがある(ただし厚さは35ミリ程度までで良い)
 ・小型ノートPCを利用することを考慮して、ノートPC用スペースもベルクロ付き仕切で分割可能
 ・A4ファイル程度の資料も入るスペースがあり、歩きながら出し入れしやすいこと
 ・肩掛けと手提げ2WAYタイプで、肩ひもは滑り止めゴムを織り込んだ幅広の木綿ベルト。肩パッドではなく幅の広いベルトで受ける
 ・肩ひもの金具も大きく幅広にし、歩きながらカバンが安定すること
 ・鞄の周囲にベルトを縫いつけて金具につなぎ、重い機材を底全体で支えるような構造であること
 ・各種ポケットの仕様を細かく指定するが、小さいベルクロでストロボ、ACアダプタなどの補機類を留められる
 ・マチ幅はファスナーなどで可変であること
 ・機材を取り出しやすい開口部と留め具の構造
 ・ピギーバッグと合体構造になればなお良いが……

といったもの。最初はベースとなるカバンを指定して、それをカスタマイズする形にしたいなぁと思ったのだが、どうせ注文するならと挙げていると、どんどん贅沢な要求を思いついてしまう。

 さて、この自前バッグの制作。この先、オーダーから細かな仕様の注文方法、カバン屋さんとのやりとり、そして必要なコストなどを機会を見つけて報告したい。また、果たしてこんなに特殊なバッグを欲しがる人がいるのかは分からないが、出来上がりの仕様がよくまとまったものなら、少数をMobile-Bag.comで扱ってもいいとのことだ(ただし、基本的には一点モノとして注文するので、ここで作ったバッグが標準モデルになることはない)。

 大きな進捗があった時点でオーダーメイド時の注文する側のノウハウも含めて、不定期にオリジナルバッグ完成までを紹介することにしよう(と、ここまで書いている時点で、実はおおよその価格の目安も出してもらっていないのでちょっと怖い)。


□関連記事
【2000年9月5日】【本田】お気に入りパソコンバッグを探そう
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/20000905/mobile66.htm

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(2002年5月14日)

[Text by 本田雅一]


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