生まれ変わったMebius MURAMASAの魅力を探る
~コンボドライブを搭載して重さ2Kgを切ったハイパフォーマンスモバイル



MURAMASA PC-MV1-C1W

 シャープから2001年5月に発表されたMebius MURAMASA(PC-MT1-H1)は、当時の世界最薄である厚さ16.6mmを実現した超薄型ノートPCとして、大きな注目を集めた。

 MURAMASAは、その後何度かマイナーチェンジを繰り返してスペックが向上しているが、2002年3月に追加された新モデルMebius MURAMASA PC-MV1-C1W/PC-MV1-C1Hは、コンボドライブを内蔵し、筐体の設計も大幅に変更されている。今回は、筆者が久しぶりに自腹で購入したこのMebius MURAMASA PC-MV1-C1Wの魅力を紹介していくことにしたい。



●筆者がMebius MURAMASAを購入した理由

 Mebius MURAMASA PC-MV1-C1W(以下、MURAMASA PC-MV1-C1W)のレビューを行なう前に、筆者がこのマシンを購入した理由を簡単に説明したい。ライターの端くれである筆者は、基本的にほぼ全ての原稿をノートPCを使って書いている。

Let's note CF-M1VA

 もちろん、デスクトップ(というよりテスト用のバラックマシンという感じだが)も所有しているが、出版社などにでかけて仕事をすることも多いので、どこでも原稿を書けるノートPCをメインマシンとして使うほうが便利なのだ。筆者が普段使っているアプリケーションは、Webブラウザとエディタ、メーラー、Excelくらいのもので、大きな画像をレタッチしたりすることもあまりないので、CPUパフォーマンスをそれほど要求するわけではない。

 筆者が今まで購入して使ってきたノートPCは10台近くになるが、最近まで愛用していたのは、'99年10月に登場した松下電器産業のLet's note CF-M1VAである。CF-M1VAは、CPUとしてモバイルCeleron/333MHzを搭載したB5ファイルサイズノートで、着脱式のCD-ROMドライブを内蔵していた。

 ちなみに、その前に使っていたのもほぼ同じ筐体のLet's note CF-A44で、やはりCD-ROMドライブを内蔵していた。液晶サイズは11.3インチXGAで、重量は約1.6kgである。CF-M1VAは、2年半近くも酷使してきたので、キーボード手前の塗装は剥げ、キートップの印刷もいくつか消えてしまった。

 また、OSをWindows 2000にかえて使っていたのだが、やや非力さを感じるようになってきたので、昨年後半あたりから、そろそろ次のマシンに乗り換えようと物色していたのだが、なかなかこれといった製品が出てこない。筆者が、次に購入するノートPCに求めていた条件は、次の4点である。

 1. 2スピンドルノートPCであること
 2. 液晶が11.3インチまたは12.1インチ(解像度はXGA)
 3. 無線LAN内蔵
 4. 上記の条件を満たした上でできるだけ軽くて薄いこと

 まず、最初の条件だが、筆者は、毎日のようにノートPCをバックパックに入れて持ち歩いているが、確かにCD-ROMドライブなどの光学ドライブが毎日必要になるわけではない。しかし、最近では展示会などでも資料などがCD-ROMで配布されることもあり、いったん、2スピンドルノートPCに慣れてしまうと、やはり光学ドライブが外付けになっているのは面倒なのだ。

 液晶サイズについては、Let's note以前は10.4インチSVGA液晶の初代バイオ505(PCG-505)などを使っており、視力が落ちたこともあって、ドットピッチがより小さい10.4インチXGA液晶を長時間見続けるのは辛いと感じているからだ。個人的には、B5ファイルサイズノートPC用の液晶としては、11.3インチXGA液晶が大きさと視認性のバランスがとれているのではないかと思うのだが、最近は10.4インチXGA液晶か12.1インチXGA液晶が主流であり、11.3インチXGA液晶を採用した製品は少なくなっている。

 3つ目の条件だが、筆者の自宅でも、2年ほど前からIEEE 802.11bの無線LAN環境を構築しており、仕事先の出版社などでも無線LAN環境が整ってきたこともあって、無線LAN内蔵はやはりはずせないポイントである。そして、据え置いて使うわけではないので、最後のポイントももちろん重要である。

 上記の条件を満たすノートPCの候補として挙げていたのが、今回購入したMURAMASA PC-MV1-C1Wと、東芝のDynaBook SS S4/275PNHWである。前者は、1~3までの条件は十分クリアするのだが、重量がやや重い(約1.97kg)ことがネックで、後者は、2~4までの条件はクリアするのだが、2スピンドルノートPCではないので、その点をどう判断するか迷っていた(もちろん、DynaBook SS S4/275PNHWは約1.19kgと圧倒的に軽いので、外付けポータブルCD-RWドライブと一緒に持ち歩いても、総重量はMURAMASA PC-MV1-C1Wより軽くなる)。

 しかし、いつまでも迷っていても仕方がないので、連休前には決めてしまおうと思っていた矢先、予想外の事故が起こってしまった。不注意から、今まで使っていたLet's note CF-M1VAを壊してしまったのである。

 前述したように、筆者は自宅や仕事先で無線LANを利用しているので、CF-M1VAのPCカードスロットには常に無線LANカード(エレコムのLD-WL11/PCC)を装着していた。無線LANカードは、アンテナ部分がカードスロットから飛び出すので、そのまま持ち運ぶのは危険だということは承知していたつもりだが、やはり毎回付けたり外したりするのは面倒なので、バックパックに入れて持ち運んでいた(無線LANカードを上にして入れていた)。

 あるとき、某編集部から帰ろうとして、CF-M1VAをソフトケース(厚さ数mmの軟質ウレタン入り)に収納し、そのままバックパックに入れて、回転式のオフィス用椅子の上においたのだが、バランスが悪かったのか、ふとしたことで椅子から下の床に落ちてしまった。

無惨にもPCカードスロットのコネクタが基板上からもげてしまったLet's note CF-M1VA

 床はパネル式絨毯が敷いてあるオフィスフロアで、椅子の高さもせいぜい40cm程度であり、そのときはあまり気にせず帰宅したのだが、帰宅して電源を入れようとしても全く電源が入らない。よく見ると、無線LANカードのアンテナ部分の飛び出しが通常よりもかなり短い。つまり、PCカードが本体にめり込んでしまったのだ。

 あわてて中を分解してみたところ、基板上に実装されていたはずのPCカードスロットのコネクタが無惨にももげてしまい、その奥にあったいくつかのパーツ(チップ抵抗やチップコンデンサなど)もコネクタと一緒に剥がれてしまっていた。おそらく、椅子から落下したときに、もろに無線LANカードのアンテナから床にぶつかってしまい、落下時の衝撃がPCカードスロットのコネクタ部分に集中してしまったのであろう。

 HDDを取り出して他のPCにつないでチェックしてみたが、特に不良セクタなどは見つからなかったことからも考えても、無線LANカードを装着していなければ、ノートPCが壊れなかった可能性は高い。やはり、アンテナ部分が大きくはみ出す無線LANカードを装着したまま持ち歩いていたのが、こうした事故を引き起こしたのであろう。

 しかし、壊してしまったものはどうしようもないので、次の日、後継マシンを購入しに行くことにした。DynaBook SS S4/275PNHWは、以前この連載でもレビューしたことがあったので、どのようなマシンかはよく知っていたが、MURAMASA PC-MV1-C1Wについては、気にはなっていたものの、実機をしっかり触ったことはなかったのだ。

 15%ポイント還元セール中(全てのPCが対象になっているわけではない)のヨドバシカメラに行って、展示されている実機を見たのだが、不満に感じたのは、その展示方法である。本体にACアダプタが接続されて電源は入っており、自由に触ることはできるのだが、コンボドライブとバッテリーが外されているため、実際の重量を体感することができないのだ。

販促用と思われる専用ソフトケース。サイズはもちろんぴったりだ

 もちろん、着脱可能なドライブやバッテリーが盗まれるのを防止するための措置だということは理解できるが、やはり携帯性を重視したモバイルノートPCなのだから、実際に持ってみて、その重さを実感してから購入したいというのは客にとって当然の要求であろう。他の大手カメラ店や家電店でも、こうした展示方法を採用しているところが増えているようだが、再考していただきたいものだ。

 DynaBook SS S4/275PNHWの薄さと軽さも確かに魅力的であったが、CPUクロックやHDD容量などのハードウェアスペックを比べると、やはりMURAMASA PC-MV1-C1Wのほうが有利である。DVD-ROM/CD-RWコンボドライブとOffice XP Personalがついていて、実売価格は3万円しか違わないことを考えると、コストパフォーマンス的にも、MURAMASA PC-MV1-C1Wは悪くない。そこで、重さに若干の不安はあったものの、MURAMASA PC-MV1-C1Wを購入することにした。なお、特に店頭POPなどには記載されていなったが、販促用と思われる専用ソフトケースもおまけとしてついてきた。



●CPUパフォーマンスは十分だが、発熱も気になる

 前置きがずいぶん長くなってしまったが、ようやく本題であるMURAMASAのレビューに移ろう。ちなみに、2スピンドルノートとして生まれ変わったMURAMASAシリーズには、PC-M1V-C1WとPC-MV1-C1Hの2モデルがあり、前者が無線LANを内蔵しているのに対し、後者は無線LANが省略されている。もちろん、筆者が購入したのは前者の無線LAN内蔵モデルだ。

 MURAMASA PC-M1V-C1Wは、CPUとしてモバイルPentium III 1GHz-Mが搭載されており、B5ファイルサイズノートとしては、高いパフォーマンスを誇る。筆者は、それほどCPUパフォーマンスを重視していないが、もちろんパフォーマンスが高いにこしたことはない。

 本サイトの読者ならご存じだろうが、IntelのモバイルPentium IIIには、通常版の他に、駆動電圧と消費電力を下げた、低電圧版と超低電圧版という3つのラインアップが存在する。厚さ16.6mmを実現した初代MURAMASAの筐体を引き続き採用しているマシンでは、一番消費電力が小さく、発熱も小さい超低電圧版モバイルPentium III-M(最新モデルでは750MHz)を搭載している。

 そこで、MURAMASA PC-M1V-C1Wでは、てっきりその上のクラスである低電圧版モバイルPentium III-Mが採用されているものだと思っていたのだが、MURAMASA PC-M1V-C1W発表時の低電圧版モバイルPentium III-Mの最高クロックは866MHz止まりで(2002年4月18日付けで低電圧版モバイルPentium III 933MHz-Mが追加された)、1GHz動作のモバイルPentium III-Mは、通常版しか存在しないのである。

 そのため、長時間利用していると、キーボードの左手前側と左奥側がかなり熱くなることに気になった。モバイルPentium III-Mは、拡張版SpeedStepと呼ばれる省電力機能を搭載しており、最高性能モード(この場合は1GHz動作)とバッテリー駆動モード(この場合は733MHz動作)を、負荷によって自動的に切り替えることができる。

 コントロールパネルの電源オプションの電源設定を見てみたところ、「自宅または会社のデスク」スキームに設定されていた。この状態だと、ACアダプタ接続時には、常に1GHzの最高性能モードで動作することになるので(バッテリー駆動時は最高性能モードとバッテリー駆動モードの自動切り替え)、発熱も大きくなる。そこで、電源設定を「ポータブル/ラップトップ」に変更したところ、ACアダプタ接続時でも、負荷によって最高性能モードとバッテリー駆動モードが自動的に切り替わるようになり(バッテリー駆動時も同様に動作)、発熱も低下した。

 CPU以外の基本スペックにも不満はない。チップセットとしてはグラフィックスコア統合型のIntel 830MGを採用し、メモリは標準で256MB実装している。厚さ16.6mmの超薄型MURAMASA(1スピンドルモデル)では、チップセットの制限上最大256MBまでしかメモリを増設することができないという欠点があったが、MURAMASA PC-M1V-C1Wでは、512MBのSO-DIMMを装着することで、最大768MBまで増設できる。

 とりあえず初期状態の256MBのまま使っているが、特にストレスなく利用できる。大きな画像のレタッチ作業などを頻繁に行なうのなら、512MB以上に増設すればよいだろう。HDD容量は30GBで、こちらも容量的には十分である。

 ボディのデザインやカラーは、1スピンドルモデルのMURAMASAと似ており、筐体外側と液晶ディスプレイ部分がブラックで、キーボード部分がシルバーのツートーンカラーを採用している。ボディ材質には、マグネシウム合金やアルミ合金が採用されており、25.4mmという薄さながら、十分な強度と剛性を確保している。



●無線LAN内蔵は便利だが、出荷時の状態では無効になっている

 MURAMASA PC-M1V-C1Wでは、無線LANを内蔵していることもウリの一つだ。無線LANのアンテナは液晶パネルの左右に内蔵されており、デザイン的にもすっきりしている。購入してきて、すぐに自宅の無線LAN環境に接続しようと思ったのだが、どうも様子がおかしい。内蔵しているはずの無線LAN機能がデバイスマネージャ上で見つからないのだ。当然、無線LANで接続することもできない。

 そこで、入っていたマニュアル類をもう一度確認していたら、「ワイヤレスLAN取扱説明書」という40ページほどのモノクロ小冊子があることに気づいた。それによると、MURAMASA PC-M1V-C1Wの無線LAN機能は出荷時の状態ではBIOSレベルで無効になっており、利用するにはBIOS設定画面を呼び出して、無線LAN機能を有効(Enable)にしないといけないとのことだ。その記述の通りに行なうと、Windows XP上でも無線LAN機能が認識され、接続できるようになった。

 他の無線LAN内蔵ノートPCでは、出荷時の状態で無線LANが有効になっているものが多いので、戸惑ってしまった。BIOS上で無線LANを有効にしても、Windows XP上から無効にすることができるので(ネットワーク接続の設定以外に、Fnキー+F1キーのホットキーでもオンオフが可能)、当初から無線LAN機能を有効にしていてもよかったのではないだろうか。

 なお、無線LAN機能が有効になっているかどうかは、本体手前に設けられたインジケータ(3つあるうちの一番右が無線LANの動作インジケータ)によって確認できる。

BIOS設定画面を呼び出して、「Wireless LAN」の項目を「Enable」にする 出荷時の状態では、無線LANコントローラが認識されていない

BIOSで無線LAN機能を有効にすることで、無線LANコントローラが認識される 無線LAN機能が有効になっていると、一番右側のインジケータが緑色に点灯する



●明るくて見やすい低反射ブラックTFT液晶

 MURAMASA PC-MV1-C1Wでは、液晶パネルとして、シャープ独自の低反射ブラックTFT液晶(12.1インチXGA液晶)を採用している。以前使っていたCF-M1VAの11.3インチXGA液晶に比べて、対角線の長さが0.8インチ大きくなっただけだが、印象はずいぶん違う。文字も一回り大きく表示されるので、より見やすくなったと感じた。

 もちろん、発色や明るさについても満足できる。液晶のバックライトの輝度は8段階に調節できるが、一番明るくするとまぶしいほどだ。低反射ブラックTFT液晶は、液晶表面に特殊なコーティングを施すことで、外光の反射を抑えていることが特徴で、明るい場所での視認性も高い。

 拡張性も優秀である。USBポート×2のほか、IEEE 1394ポートや外部ディスプレイポート、パラレルポート(専用コネクタを採用しているので、利用には別売りの変換ケーブルが必要)も装備している。もちろん、無線LANだけでなく、有線LAN(100BASE-TX/10BASE-T対応)やモデム(56Kbps対応)も内蔵している。コンボドライブは着脱式で、同梱のウェイトセーバーに交換すれば、総重量は約1.67kgまで軽くなる。

本体後面。左から、ACアダプタ接続ポート、USBポート、外部ディスプレイポート、パラレルポート、USBポート、IEEE 1394ポート、S出力ポートの順に並んでいる 本体左側面。左から、LANポート、モデムポート、PCカードスロット、マイク、ヘッドホン/オーディオ/光デジタル出力ポートの順に並んでいる 本体右側面。左から、盗難防止ホール、コンボドライブの順に並んでいる



●公称通り、標準バッテリでDVD-Videoを2時間再生可能

 MURAMASA PC-MV1-C1Wは、脱着可能なDVD-ROM/CD-RWコンボドライブを装備していることが特徴である。CD-RとCD-RWの書込/書換速度はともに8倍速で、最新のデスクトップ用ドライブに比べればかなり遅いが、頻繁にCD-Rに書き込むのでなければ満足できる。

 DVD-Video再生ソフトとしては、InterVideoのWinDVDがプリインストールされているが、シャープオリジナルの「Movie Effector」という機能が追加されている。Movie Effectorは、DVD-Video再生時に、シーンに適した画質に自動調整する機能である。実際にMovie Effectorの有効/無効を切り替えながら、DVD-Videoを視聴してみたが、Movie Effectorを有効にすると、肌色がより明るくなり、全体的にメリハリのある画質になることが実感できた。

 また、ドルビーヘッドホン機能も装備しているので、ヘッドホン利用時にもサラウンド感を楽しめる。コンボドライブを内蔵していることで、飛行機での移動時など、MURAMASA PC-MV1-C1WをポータブルDVDプレイヤーとして利用したいと考えている人も多いことだろう。DVDドライブ内蔵ノートPCをポータブルDVDプレイヤーとして使う場合、一番問題になるのがバッテリ駆動時間である。

 MURAMASA PC-MV1-C1Wでは、標準バッテリで公称約3.1時間の駆動が可能とされているが、DVD-Videoを連続再生する場合は、公称駆動時間は約2時間となる。そこで、DVD-Videoタイトルを実際にバッテリで再生させてみて、2時間持つかどうか調べることにした。再生条件は、無線LAN機能はオフ、液晶バックライト輝度は8段階中上から3段階目(ほぼ平均となる明るさ)にし、音声はヘッドホンで聞くことにした。電源設定のスキームは「ポータブル/ラップトップ」である。

 上映時間110分のミッション・インポッシブルを最初から最後まで再生してみたところ、再生が終わった状態でのバッテリ残量は20%であった。これなら公称通り2時間の映画でも十分標準バッテリーで再生できるので、ポータブルDVDプレイヤーとして使う場合でも、一応合格点はつけられる。なお、オプションのアドオンバッテリー(重さ約370g)を併用すれば、駆動時間は2倍に延びる(通常利用時約6.2時間、DVD-Video再生時約4時間)。ちなみに、標準バッテリーの容量は11.1V、3600mAhである。

プロパティのビデオ設定で、シャープオリジナル機能である「Movie Effector」の有効/無効を切り替えることができる ドルビーヘッドホン機能も装備している。ドルビーヘッドホン機能を有効にすると、ヘッドホン特有の脳内定位が解消され、より自然なサラウンド感が楽しめる



●キーボードやポインティングデバイスの使い勝手も良好

キーピッチは約17.5mmで、配列にも変則的なところはなく使いやすい

 厚さ16.6mmを実現した1スピンドルモデルのMURAMASAでは、薄さとキーストロークを両立させるために、液晶を開くとその動きに連動してキートップが持ち上がるポップアップ式キーボードを採用していた。ポップアップ式キーボードは確かに画期的な機構であるが、通常のキーボードとはややキータッチが異なり、人によっては違和感を感じることがあった。

 MURAMASA PC-MV1-C1Wは、コンボドライブを内蔵しているため、本体の厚さは25.4~27.7mmと1スピンドルモデルのMURAMASAに比べて8~9mm程度増している。そのため、ポップアップ式キーボードではなく、通常のキーボードが採用されている。

 キータッチはやや軽めだが、キートップがぐらぐらするようなことはなく、ポップアップ式キーボードで感じられた底付き感もない。キー配列も標準的で、変則的なところはないので使いやすい。キーボードの使い勝手も満足できる。

 ポインティングデバイスとしては、一般的なパッド型デバイスが採用されているが、このタッチパッドユーティリティ(Synaptics製) が非常に秀逸である。パッドの四隅に操作を割り当てることや、パームチェック機能(手のひらでパッドを触ったときに誤動作を防ぐ機能)など、多くの機能を装備している。もちろん、パッドの右端や下端をホイール代わりに利用するスクロール機能も装備している。

パッドの四隅をタップすることで、指定した操作を行なわせることができる パームチェックの数値を大きく設定すると、パッドの表面を手のひらで触ってもポインタが誤動作することがない エッジモーション機能を有効にすると、パッドの端に指をおいたまま、スクロール操作などを続けることができる



●懸念していた重さもそれほどではなく、十分満足

 MURAMASA PC-MV1-C1Wを購入して約1週間が経過したが、その機能と使い勝手には十分満足している。なぜか、自宅の無線LAN環境では、しばらく利用していると無線LAN経由でデータがこなくなるという問題が生じてしまったのだが(アクセスポイントは認識されているし、IPアドレスもDHCPで割り当てられているのだが、パケットがこなくなってしまう)、原因は不明である。それ以外の無線LAN環境では、問題なく利用できているので、自宅で使っているエレコム製アクセスポイントとの相性問題なのかもしれない。

 動作もキビキビしているし、画面も見やすい。当初、今まで持ち歩いていたCF-M1VAに比べて400g近く重くなることを懸念していたが、画面サイズが一回り大きくなったせいか、手で持ってみてもそれほど重くなったとは感じられない。バックパックに入れて背負っても、それほど負担が増した感じはないので、今後も原稿書き用のメインマシンとして長く活躍してくれそうだ。

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(2002年4月25日)

[Reported by 石井英男@ユービック・コンピューティング]


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