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会期:2月20日
会場:台北国際会議中心
台湾のチップセットベンダ VIA Technologiesは、台北市内においてDDR333(333MHz動作のDDR SDRAM)の普及を推進するためのイベントである“DDR333 Summit”を開催した。会場では同社の最新チップセット「Apollo KT333(以下KT333)」が発表されたほか、各マザーボードベンダがKT333を搭載したマザーボードを多数展示した。
●「KT333はAthlon XPに一段上のパフォーマンスをもたらす」とVIAのリー副社長
VIA Technologies マーケティング部門担当副社長 テッド・リー氏 |
通常、VIA Technologiesの発表会では、今や台湾経済界のヒーローとなったVIA社長兼CEOのウェン・シー・チャン氏が登場し、同社の新製品のメリットを語るというのが定番なのだが、今回はスピーチが予定されていたにもかかわらず、同氏の姿は会場にはなかった。実は同氏は米国へ出張しており、昨日までに台湾にもどる予定だったそうなのだが、搭乗する予定だった飛行機が遅れて間に合わなかったのだ。
そこで、代わりにマーケティング部門担当副社長のテッド・リー氏が段上に登り、オープニングのスピーチを行なった。リー氏は「このKT333によりAthlon XPは一段上のパフォーマンスを発揮することができるようになる」と述べ、KT333は従来のKT266Aにくらべて高いパフォーマンスを発揮すると強調した。
続いて、同社のシー・ウェイ・リン氏がKT333についての詳細を説明した。基本的には、昨日のレポートで説明しているとおりで、KT266Aからの変更点は、サポートするメモリにDDR333が追加されただけであり、KT266Aから大きな変更があるわけではない。ただ、メモリのクロックが上がり、帯域幅が2.7GB/secと従来よりも広がったことにより、性能面では若干の向上が確認できるという。
なお、発表会には台湾AMDのジェネラルマネージャ K.J.チョー氏も駆け付け、報道陣の質疑応答などにも答えていた。報道陣からは「システムバスも333MHzにならなければDDR333のメリットはあまり大きくないはず。AMDはシステムバスを333MHzにする予定があるのか?」という質問がでたが、「計画はある。CPUだけでなく、チップセット側でも考えないといけないので、いつになるのかというのはまだ決まっていない。現行の第7世代のプロセッサでは予定はないが、次世代では検討している」と答え、次世代プロセッサ(つまりはThoroughbredかBarton)ではシステムバスを333MHzにすることを検討していることを明らかにした。
●KT333AはDDR400をサポートしたKT400へと変更されて第2四半期に登場
今回発表されたKT333はその仕様からもわかるように、基本的にはKT266AのDDR333対応版であり、特に目新しいものはないと言ってよい。このKT333が投入されることになった背景は、Platform Conferenceのレポートの中でも説明したとおり、いちはやくDDR333に対応したチップセットを投入したSiSへの対抗策として計画されたものだからだ。このKT333のすぐ後には、新機能(AGP 8x、533MB/secの帯域をサポートしたV-Link 8x、USB 2.0コントローラを内蔵した新サウスブリッジのVT8235)をサポートしたKT333Aが用意されていたため、KT333は“つなぎ”の製品であると考えられていた。
しかし、2月に入り、VIAのロードマップは若干変更された。基本的には、KT333がつなぎであることに変わりはないのだが、KT333Aは消滅し、その代わりとしてKT400という製品が第2四半期に登場することがVIAのOEMメーカー筋からの情報で明らかになった。KT400は、従来KT333Aと呼ばれていた製品のメインメモリを、あらたにDDR400(400MHzのDDR SDRAM)に対応させた製品で、やはりAGP 8x、V-Link 8x、USB 2.0をサポートしたVT8235を組み合わせる仕様になっているという。
このKT400が登場した背景には、SiSがDDR400をサポートしたチップセットを計画しているためであると業界関係者は指摘している。SiSはOEMメーカーに対してDDR400をサポートしたチップセットを投入すると説明しており、VIAもそれに対抗せざるを得なくなったというわけだ。両社とも、3月にドイツで行なわれるCeBITにはブースを用意しており、そこでDDR400に対応した製品を展示する可能性が高い。となると、CeBITではDDR400がチップセットベンダの1つのキーワードになりそうだ。
●各社がKT333を搭載したマザーボードを展示
展示会場ではマザーボードベンダ各社のKT333マザーボードが展示されていた。仕様はKT266A搭載マザーボードと同様で、異なっているのはメモリがDDR333対応となっているだけというメーカーが多かった。
Apollo KT333。DDR333をサポートしたVIAの最新チップセット | SOLTEK ComputerのSL-75DRV。3DIMM、Ultra ATA/133対応 | SOYOのK7V/Ultra。3DIMM、Ultra ATA/133対応 |
Acorpの7KT333。3DIMM、Ultra ATA/133対応 | BIOSTARのM7VIF。4DIMMスロットなのだが、最大メモリ容量は3GB。Ultra ATA/133対応 | DFIの型番不明マザー。3DIMMで、Ultra ATA/133対応 |
FASTFAMEの型番不明マザー。3DIMM、Ultra ATA/133対応 | ECSのK7VTA3。3DIMM、Ultra ATA/133対応で、PromiseのRAIDコントローラがオンボードで搭載されている | IwillのKK333。3DIMM、Ultra ATA/133対応。チップセットクーラーが渦巻状になっていてユニークな形状をしているのが特徴 |
□VIAのホームページ(英文)
http://www.via.com.tw/
□関連記事
【2月20日】VIA TechnologiesがKT333チップセットを正式発表
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2002/0220/via.htm
【1月28日】Platform Conferenceレポート
μPGAパッケージのThoroughbredでモバイルPentium 4-Mに対抗するAMD
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2002/0128/pfc02.htm
(2002年2月21日)
[Reported by 笠原一輝@ユービック・コンピューティング]