やじうまミニレビュー
PCや家電の物理スイッチをスマートフォンから操作できるIoTデバイス「Switch Bot」
2018年7月30日 06:00
Wonder Tech Labの「Switch Bot」は、PCや周辺機器、家電製品などの物理スイッチを、スマートフォンアプリ経由でリモートで押すことができる、超小型のIoTロボットデバイスだ。
物理ボタンに取り付けることで、最大80m離れたところから、Bluetooth経由で遠隔操作が行なえる。
押し込む方式の物理スイッチのほとんどに対応することから、電源のオン/オフはもちろん、PCのリセットボタンに取り付けて、遠隔でのリセットを可能にするなど、応用範囲は無限大だ。
なかでも、住宅据え付けの照明スイッチや冷暖房のように、本体ごと交換しづらい機器や、リモコン機能のない古い家電を、手軽に遠隔操作できるのは魅力的だ。
本製品は、約2年前から技適のないモデルがAmazonなどで流通していたが、今年(2018年)頭に国内代理店のFUGU INNOVATIONS JAPANがクラウドファンディングを実施したのを皮切りに、技適取得済みのモデルが流通するようになった。
今回は、このクラウドファンディングで入手したモデルを用い、製品の特徴と基本的な使い方について紹介する。
簡単設定でスマートフォンから物理スイッチのオン/オフが可能
本体は、42.8×36.5×24mmの手のひらサイズで、身近にあるものでサイズが近いのは、USB-AC変換アダプタなどだろうか。
重量は公称100gとなっているが、実測は38gと軽量だ。ボタン型電池ではなく、CR2というカメラ用の電池を採用しているため、電池寿命は約2年とかなり長い。
利用にあたっては、スマートフォンに専用アプリ(iOS/Android)をインストール。本体の絶縁テープを剥がしてBluetoothで接続すれば、アプリからの操作で、本体中央のアームを動かせるようになる。
あとは、操作したい物理スイッチにアームが当たるよう、両面テープで位置を調整しつつ、本体を貼り付ければ完了だ。
アームの可動範囲は135度で、水平よりもやや下までせり出すので、多少窪んでいるスイッチでも問題なく押せる。逆に、出っ張っているスイッチだと、アームの圧によって本製品が浮き上がってしまうので、取り付ける高さを調整してやらなくてはいけない。
もっとも、本製品自体には高さ調整の機能はないので、スイッチの高さによっては、自前で切り出したプラ板をかませるなど、多少の工作が必要になることがある。この点については、やや改良の余地ありだと感じる。
なお、両面テープは3M製の強力なタイプで、ちょっとやそっとでは剥がれない。構造上、スイッチを何度も押すうちに、本体が剥がれて落下するのではと心配になるが、まったくの杞憂だ。むしろ、貼り付けた側の壁紙などが剥がれるのを心配したほうが良い。
シーソースイッチのオン/オフにも対応
ところで、勘の鋭い人であれば、ここまで紹介した仕様だけでは、スイッチの種類によっては使えないことに気づくだろう。
というのも、この仕様であれば、両端をシーソーのように交互に押すスイッチでは、押してオンにすることはできても、オフに戻すことができないからだ。
もちろん、シーソースイッチの反対側に本製品をもう1台取り付け、オンとオフで2台を使い分けるようにする手もあるが、1つのスイッチのために本製品を2台取り付けるのは、さすがにコスト面で難がある。また、スイッチの両側を本製品で塞ぐと、指で押すのが困難になるという別の問題もある。
こうした場合のために、本製品はワイヤーがついた1cm四方のステッカーが付属している。これをシーソースイッチに貼り付けたのち、スマートフォンアプリ側の設定で「壁スイッチを使用します」をオンにする。
すると、通常は135度可動するアームが、約70度の位置で止まった状態になるので、ステッカーのワイヤーを、そのアームの先端に引っ掛ける。
上記のように設定することで、オンにすると押される一方、オフにするとワイヤーが引っ張られて、スイッチが元の状態に戻るという動作が可能になる。
これならば、照明スイッチのようにシーソー式になったスイッチでも、オン/オフ両方の操作が可能になるというわけだ。
新境地が開けるIoTデバイス?
以上のように本製品は、さまざまなタイプのスイッチに対応でき、汎用性は抜群だ。
類似の製品では、スイッチの上から覆いかぶせるように取り付けるタイプもあるが、本製品ならば手動での操作も邪魔しないので、これまでと使い方を変えなくて済むのもよい。
別売の「Switch Hub」を組み合わせることで、外出先からの操作や、スマートスピーカーとの連携による音声での操作も可能になる。IFTTTとの連携にも対応するので、Webサービスとの組み合わせもできるなど、応用範囲は無限大だ。
ネックがあるとすれば、防水仕様ではないため、風呂場など水がかかる場所で使えないことだろうか。欲を言えば、サイズももう少し小さいとベターだが、粘着面が狭いと取付強度が下がる可能性があり、致し方ないだろう。
価格も5,000円を切っており手頃で、これまでリモコンなどで操作できなかったさまざな機器が、スマートフォンからコントロール可能になることから、2つ、3つと欲しくなってしまう。
本格的なスマートホームとまでいかなくとも、リモート操作できれば便利だと思っている機器が手元にある人は、試してみれば新境地が開けるはずだ。