西川和久の不定期コラム
FRONTIER「NSMシリーズ」
~第8世代Kaby Lake-R搭載の狭額縁14型ノートPC
2018年10月5日 06:00
狭額縁14型非光沢FHD、4コア8スレッド、M.2 SSD
昨今のスマートフォンでは狭額縁が流行っているが、ノートPCのパネルも技術的に狭額縁が可能となり、その結果、14型のパネルが13型クラスの筐体へ収納可能となった。
AcerやASUSなど、多くのメーカーからこれに該当するモデルが登場している。実際に見たり持ったりすると、この約1型の違いは大きく、数値以上のインパクトがある。
少し面白いのは、狭額縁は上左右の3辺で、下辺に関してはどれも間延びした空間があることだ。これはキーボードの奥行き方向を確保するためで、またスペース的に上側に入らなくなったWebカメラが下側になるケースも多い。
今回ご紹介するFRONTIER「NSMシリーズ」もまさにこのタイプ。おもな仕様は以下のとおりだ。
FRONTIER「NSMシリーズ」の仕様 | |
---|---|
プロセッサ | Core i5-8250U(4コア8スレッド/1.6GHz~3.4GHz/キャッシュ6MB/TDP 15W) |
メモリ | DDR4-2400 8GB(8GB×1) |
ストレージ | M.2 SSD 256GB |
OS | Windows 10 Home(64bit) |
ディスプレイ | 狭額縁14型フルHD(1,920×1,080ドット)、光沢無し、タッチ非対応 |
グラフィックス | Intel UHD Graphics 620、HDMI |
ネットワーク | IEEE 802.11ac対応、Bluetooth 4.2 |
インターフェイス | USB 3.0×2、USB 3.0 Type-C×2、92万画素カメラ、メディアカードスロット、音声入出力、2W+2Wスピーカー、マイク、指紋センサー |
バッテリ/駆動時間 | 15.2V/3,290mAh/50Wh、約10時間(充電約3時間) |
サイズ/重量 | 約322×222×15.95mm(幅×奥行き×高さ)/約1.2kg |
税別価格 | 99,800円から |
プロセッサは第8世代Kaby Lake-RのCore i5-8250U。4コア8スレッドでクロックは1.6GHzから最大3.4GHz。キャッシュは6MBでTDPは15W。
AMDとの競争により、この世代からi5は最大4コア/4スレッドまでという、これまでのルールが崩壊している。ユーザーにとっては嬉しい限りだ。また、上位モデルとしてCore i7-8550U(4コア8スレッド、1.8GHz~4GHz)も用意されている。
メモリはDDR4-2400 8GB(8GB×1)。カスタマイズは不可で、8GBモデルか16GBモデルかを選ぶことになる。ストレージはM.2 SSDで256GBまたは512GB。OSは64bit版Windows 10 Homeを搭載する。これはカスタマイズでWindows 10 Proも選択可能だ。
ディスプレイは、狭額縁の14型非光沢フルHD(1,920×1,080ドット)。タッチには対応していない。
グラフィックスはプロセッサ内蔵UHD Graphics 620。外部出力用にHDMIを装備する。確認したところ、2つあるType-CはDP Alt Modeには対応していなかった。
ネットワークはIEEE 802.11ac対応とBluetooth 4.2。有線LANは非搭載となっている。そのほかのインターフェイスは、USB 3.0×2、USB 3.0 Type-C×2、92万画素カメラ、メディアカードスロット、音声入出力、2W+2Wスピーカー、マイク、指紋センサー。
このクラスとしては、Type-Cが2つあるのは珍しいところか。なお、キーボードはバックライトも搭載している。
サイズは約322×222×15.95mm(幅×奥行き×高さ)、重量約1.2kg。15.2V/3,290mAh/50Whのバッテリを内蔵し、駆動時間は最大約10時間。
税別価格は99,800円から。内容を考えると10万円切りはリーズナブルな価格だろうか。上記に説明したとおり、プロセッサ/メモリ/ストレージの組み合わせは、Core i5-8250U/Core i7-8550U、8GB/16GB、256GB/512GBとなる。どれも実用的なパターンだ。
筐体はアルミ合金製のシルバー。なかなか質感も良く雰囲気があり、写真からも分かるように天板にロゴもなく「どこのノートPCだろう?」という期待感も醸し出す。また重量も実測で1,171gと軽く、パッケージから楽々取り出すことができた。
前面、パネルは狭額縁だ。上にWebカメラを付けるスペースがなく、下にあるのが分かる。真横から見ると、パネル部分が限界かと思われるほど薄い。
左側面に電源入力、HDMI、Type-C、音声入出力。右側面にUSB 3.0×2、Type-C、メディアリーダ、ロックポートを配置。ロックポートが手前にあるのは珍しい。ゴム足からキーボードまでの厚みは約1.5cmとスリムだ。
裏は、手前左右側面にスピーカー、ゴム足は中央も含め5つ。メモリなどにアクセスできる小パネルはない。
バッテリは内蔵式で着脱できない。付属のACアダプタは、サイズ約105×45×30mm(同)、重量215g。出力19V/3.42A。コネクタがミッキータイプになっている。一時期よりは一般化しているが、やはりメガネタイプの方が何かの時に安心。この点だけ惜しいところか。
14型のディスプレイは非光沢で見やすい。明るさ、コントラスト、視野角は良好。発色は少し原色系が地味な大人しい感じだ。パネルは180度まで傾けることができる。
キーボードは88キーのアイソレーションタイプ。仕様上、キーピッチは約19.2mm/ストロークは約1.15mm±0.2mm。[|]、[_]、[無変換]、[変換]のキーピッチはかなり狭いものの、そのほかは大丈夫なので、とくに問題にはならないだろう。
19mmのキーピッチを確保していると俄然入力しやすくなる。4段階の明るさに調整できるキーボードバックライトも搭載する。
タッチパッドはボタンのない1枚プレート型だ。加えて左上にWindows Hello対応の指紋センサーがある。タッチパッド、パームレストともに少し長細いものの、それなりの面積が確保され扱いやすい。
振動とノイズは、試用した範囲でまったく問題なし。発熱はベンチマークテストなど負荷をかけると、キーボード右上のメッシュ部分が若干暖かくなる程度で、放熱も十分できているようだ。
サウンドは左右側面にスピーカーがあるため、サイズの割にステレオ感がある。音質はクラス相応だが、パワーはそこそこあり、音楽や映像を本体だけでも楽しめる。
総じてなかなか好印象で、とくに気になる部分はなかった。あえて挙げれば、ACアダプタのコネクタがミッキータイプなのと、キートップ刻印の書体が少し一般的でなく、慣れるまで落ち着かない程度だ。完成度は高い。
快適な性能とバッテリ駆動約10時間
OSは64bit版のWindows 10 Home。4コア8スレッドのCore i5、メモリ8GB、M.2 SSDなので、非常に快適。軽い用途が主としても、予算が許せばこのクラスは欲しいところだ。
初期起動時のスタート画面(タブレットモード)は1画面。とくに追加されたグループなどはなく、標準のままだ。デスクトップは壁紙の変更はないが、今どき珍しく左側には多くのショートカットが並んでいる。
ストレージはM.2 SSD 256GBの東芝「KSG60ZMV256G」。実質Cドライブのみの1パーティションで約222.14GBが割り当てられ、空きは202GB。Wi-FiとBluetoothはIntel製だ。
プリインストールのソフトウェアは、「WPS Office」、「ウィルスバスタークラウド」と、「SYSTEM CONTROL MANAGER」、IntelやSynapticsなどのシステム系だ。とくに解説する必要はないだろう。
ベンチマークテストは、PCMark 10、PCMark 8、3DMark、CINEBENCH R15、CrystalDiskMark、BBenchを実施。結果は以下のとおり。
ベンチマークテスト | |
---|---|
PCMark 10 v1.0.1457 | |
PCMark 10 Score | 3,329 |
Essentials | 6,852 |
App Start-up Score | 8,332 |
Video Conferencing Score | 6,151 |
Web Browsing Score | 6,279 |
Productivity | 5,468 |
Spreadsheets Score | 6,906 |
Writing Score | 4,331 |
Digital Content Creation | 2,672 |
Photo Editing Score | 3,043 |
Rendering and Visualization Score | 1,859 |
Video Editting Score | 3,374 |
PCMark 8 v2.8.704 | |
Home Accelarated 3.0 | 2,995 |
Creative Accelarated 3.0 | 3,147 |
Work Accelarated 2.0 | 4,404 |
Storage | 4,961 |
3DMark v2.4.4264 | |
Time Spy | 379 |
Fire Strike Ultra | 240 |
Fire Strike Extreme | 434 |
Fire Strike | 951 |
Sky Diver | 4,189 |
Cloud Gate | 7,485 |
Ice Storm Extreme | 43,276 |
Ice Storm | 58,672 |
CINEBENCH R15 | |
OpenGL | 40.29 fps |
CPU | 540 cb |
CPU(Single Core) | 146 cb |
CrystalDiskMark 6.0.0 | |
Q32T1 シーケンシャルリード | 545.954 MB/s |
Q32T1 シーケンシャルライト | 341.950 MB/s |
4K Q8T8 ランダムリード | 339.357 MB/s |
4K Q8T8 ランダムライト | 281.744 MB/s |
4K Q32T1 ランダムリード | 207.814 MB/s |
4K Q32T1 ランダムライト | 171.233 MB/s |
4K Q1T1 ランダムリード | 12.961 MB/s |
4K Q1T1 ランダムライト | 73.497 MB/s |
BBench(キーボードバックライトOFF、ディスプレイの明るさ0%、電源モード:バッテリー節約機能) | |
バッテリ残量5%まで | 10時間46分12秒(仕様では約10時間) |
プロセッサが4コア8スレッド、クロック1.6~3.4GHz、そしてM.2 SSDということもあり、なかなかのハイスコアだ。ゲーミング用途でない限り、十分なパフォーマンスと言える。
バッテリ駆動時間は残5%で、10時間46分12秒。仕様上は約10時間なので、ほぼその通りとなった。ただ輝度0%は結構暗いので、実質25%以上で運用すると若干短くなるだろうか。
いずれにしても、このクラスでこれだけの長時間駆動ができれば、多くのモバイル用途では十分だと思われる。
以上のようにFRONTIER「NSMシリーズ」は、13.3型の筐体へ14型の狭額縁パネルを搭載したノートPCだ。
第8世代Kaby Lake-R、M.2 SSD、8GBまたは16GBメモリ、バッテリ駆動約10時間、キーボードバックライト対応で約1.2kgと、スペックも申し分ない。加えて発熱は少なく、サウンドは良好。文句の付けどころがない仕上がりだ。
先に挙げた、キートップ刻印の書体やACアダプタのミッキータイプコネクタなど、重箱の隅をつついた点以外、仕様上とくに気になる部分はなく、下位モデルは10万円を切る価格。
メーカーを問わず、比較的安価でカッチリした内容の14型狭額縁ノートPCを探しているユーザーにお勧めできる製品だ。