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ブラザーのモノクロレーザー複合機 「MFC-L2740DW」
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ビジネス向けのプリンターに求められるものって、何だろう。大企業やDTP関連の業種は別として、従業員数名から十数名程度までの会社規模だと、第一に安さ、第二にスピード、第三に設置しやすさ、といったところかもしれない。
コストを抑えたいなら、継続的に費用がかかる複合機をリース契約で、というわけにはいかない。また、印刷スピードを重視すると、最近はインクジェットプリンターの性能も上がってはいるけれど、それでも印刷枚数が多い場合は明らかにレーザーの方が有利だ。でもレーザープリンターって値段が高そうだし、大きくて設置場所にも困りそう……。
と思いきや、そんなイメージは今は昔。最新のブラザー「MFC-L2740DW」は、本体価格もランニングコストも安価で、印刷スピードが驚くほど速い。サイズはコンパクトなうえ、さらにスキャン機能や無線LAN、クラウド連携機能まで備えているという、今の時代のスモールオフィスにばっちりフィットするビジネス向けモノクロレーザー複合機なのだ。
というわけで、「MFC-L2740DW」がどんな製品なのか、まずは簡単に説明したい。
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レーザープリンターは大量印刷にもってこい!
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読者のみなさんはすでにご存じだろうが、プリンターの現在の主流は、大きく分けてインクジェット方式とレーザー方式の2種類。インクジェットは多くがカラー・モノクロ印刷の両方に対応しており、レーザーはカラー印刷ができるものとモノクロ印刷に特化したものの2パターンがある。
「MFC-L2740DW」は、まさにこの後者に当てはまるモノクロ印刷特化のレーザープリンター。A4までのモノクロ印刷に対応し、その速度は1分間約30枚。ビジネスではとりわけ重視される最初の1枚目の印刷速度も10秒以内と、かなり高速だ。250枚まで格納できる大容量給紙トレーを備え、ADF(自動原稿送り)にセットできる枚数も一度に最大35枚まで可能。もちろん両面印刷も可能となっている。しかもスキャナーとFAXの機能を搭載した複合機だ。
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片面10ページの書類をプリントする様子
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もう1つの特徴であるスキャナー機能は、当然ながらカラー原稿に対応する。このスキャナー機能を応用したコピー印刷も行えるが、2箇所に設けられた読み取りセンサーによって「両面同時スキャン」できるのが一番のポイント。実際に試したところでは、以下の動画にあるように、片面も両面もほぼ同じ時間でスキャンできる驚異の高速さだ。
スキャンデータはPDFやJPEGなどのファイル形式で、ドライバーがインストールされている同じネットワーク内のPCの特定フォルダーに保存したり、PC上のメールソフトでファイル添付した状態で起動したり、あるいはFTPサーバーにアップロードしたりと、業務スタイルに合わせられるさまざまな取り込み手段が用意されている。
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指定したPCを保存先に、書類をスキャン
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スキャンしたデータはPDFやJPEG形式となり、ネットワーク経由で保存可能だ
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ビジネス用途としてはFAX機能も重要だろう
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FAX機能も高い利便性を実現している。なかでも受信したFAXを紙に印刷せず、MFC-L2740DWの内蔵メモリーにデータとして蓄積しておいて、PCに逐次自動転送する仕組みは活用しがいのある機能だ。印刷コストをいたずらに増やすことなく、PC画面上でFAX内容を確認して必要なものだけ印刷できるし、重要でない受信FAXで他の大切なものが埋もれてしまったりすることもない。
ビジネスにおいて書類のコピーを取ったり、FAXを受け取ることは日常茶飯事。高速な印刷処理と両面同時スキャン、複数の取り込み手段、そして合理化が可能なFAX受信機能によって、仕事の効率が格段にアップすることは間違いない。
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有線LANやUSBポートもあるが、無線LAN接続するのであれば電源ケーブルを差し込むだけでセッティングは完了
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ところでMFC-L2740DWの機体は、たいへんコンパクト。ちょっと広めのデスクなら脇に置いてあっても邪魔にならないほどだ。無線LANに対応しているので、オフィスの全員でネットワーク共有して使いたい時もLANケーブルを接続する必要はなく、電源ケーブル1本のみコンセントに差し込めばOKだ。
無線LANをはじめとする各種設定や、プリント・コピー・スキャンなどの基本的な操作は、前面パネルにある2.7インチの液晶ディスプレイを使う。このディスプレイはタッチパネルとなっていて、画面上に分かりやすく表現されたアイコンなどをタッチし、さまざまな操作を手早くこなしていけるようになっている。
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プリント、スキャンなども画面をワンタッチするだけ
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FAX送信する際は、その時だけ画面右側に明るく出現するタッチ式のダイヤルキーを用いる。普段は目立たないので、通常は操作用のディスプレイと、ダークグレーもしくはブラックで統一された機体色が見えるだけで、全体的に驚くほどシンプルなたたずまいだ。オフィスの中で変に目立たない、しっかり仕事をしてくれる堅実そうな雰囲気をかもし出しているのも、ビジネス向けプリンター製品としてちょうどいい作りだと思う。
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FAX使用時にのみ画面右側にダイヤルキーが浮かび上がる
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もともとレーザープリンターはトナー(インク)交換などの機会がインクジェットほど多くはないのだが、それでも、メンテナンスにおける細かい使い勝手の部分にまで気遣いが表れているのが、MFC-L2740DWの優れたところ。
たとえばトナーを交換したいときは、前面のパネルを1箇所開き、目の前に現れるハンドルを手前に引くだけで交換が可能な状態になる。ちなみにこのハンドルの付いたパーツ全体は“ドラムユニット”と呼ばれるもの。レーザープリンターの心臓部と言えるものだが、日常のメンテナンスはほぼこのドラムユニットの面倒だけを見ていればOKだ。
印刷したものに汚れが目立つなあと思ったら、ドラムユニットを引き出して、緑色のつまみを往復させるだけ。“印刷面の規則的な汚れ”が見えてきたときは、やはりドラムユニットを引き出し、裏返して傷つけないように綿棒で拭き取るだけ。紙詰まりの原因とならないよう給紙トレーや本体のローラー部分のメンテナンスもときどき必要だが、用紙補充時に合わせて点検すればいいので、それこそ説明するまでもないほど簡単だ。
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この緑色のつまみを左右往復させるだけで清掃終了
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規則的な汚れが目立つときは裏返して感光部を綿棒で拭き取る
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おおざっぱに表現するなら、「パタン、クイッ、カシャッ」とやれば、だいたいの日常メンテナンスは完了してしまう。とはいえ、正しく、長く使うためには、説明書にある日常点検の方法について必ず読んでおきたい。
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スマートフォンと組み合わせて使える
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モバイル、クラウド時代の製品らしく、MFC-L2740DWにも当たり前のようにそれらに適した機能が盛り込まれている。まず1つ目は、EvernoteとDropbox、Google ドライブなどへの対応だ。スキャンしたデータを各種クラウドサービスに直接送信してファイル保存できるので、他の人と共有設定しているフォルダに保存すれば、スキャン直後に外出中の同僚がスマートフォンなどでデータを参照するのも簡単。
また、Google クラウドプリントに対応しており、スマートフォンやタブレット上の書類を無線LAN経由で印刷できるだけでなく、外出中でもインターネットを介してオフィスに置いてあるMFC-L2740DWを使って印刷できるようにもなっている。さらにiPhone/iPadなどのiOS端末は、同一LAN内での印刷が可能なAir Printも利用可能。モバイルからでも、レーザープリンターで手軽に出力できる時代になったわけだ。
さて、プリント、コピー、スキャン、FAX、さらにはモバイル・クラウド対応まで、幅広くハイレベルにこなすMFC-L2740DWだが、残る問題は「お高いんでしょう?」というところ。実勢価格としては税込4万円前後(PC Watch調べ)で販売しているショップが多く、ビジネスレーザー複合機としてはそれだけでも割安感はある。さらにブラザーでは、4月13日まで、購入者に最大1万円のキャッシュバックを行う「満足実感キャンペーン」も展開しており、かなり強気の攻めを見せている。
キャッシュバック額は機種によって異なり、MFC-L2740DWは3000円で、実質的には3万円台半ばから後半(PC Watch調べ)で導入できることになる。楽天リサーチによる調査では、もともと本体価格、コストパフォーマンス、消耗品価格、印刷速度、故障の少なさという5項目全てにおいて満足度トップという結果が出ているブラザー製品。低コストでスモールオフィスにこれまで以上の機動力をもたらすMFC-L2740DWを、ぜひ一度店頭・Webでチェックしてほしい。
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楽天リサーチによる調査では、ブラザーのプリンターはユーザー満足度が高い。導入費も安いとなれば、ますます満足すること間違いなしだ。
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(日沼 諭史)
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