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「態度が横柄」「パソコンソフトが使えない」…定年後の再就職先で苦情受ける高齢者

勤続年数により素材が異なる大和ハウス工業の社章。左から勤続40年のプラチナ、同30年の金、同20年の銀、20年未満の一般的な合金のもの=25日、東京・飯田橋の大和ハウス工業東京本社

 政府の働き方改革の推進で定年延長や再就職など高齢者の働く場が拡大する中、高齢者を戦力として活用する取り組みに注目が集まっている。4月28日は日本記念日協会が認定した「アクティブシニアの日」。シニアが職場の“お荷物”にならず実力を発揮するには、本人の意識改革に加え、雇用する側が役割を提供し、働きを評価することが重要だ。(産経新聞社会部 高橋裕子)

「思わずえらそうな態度」

 「態度が横柄だ」「パソコンのソフトが使えない」

 シニア人材を企業に派遣する都内の会社に派遣先から最も多く寄せられる苦情は、こうした基本的な態度やビジネス技術だという。

 同社には現役時代に海外でビジネス経験を積んだ60~65歳の退職者を中心に約3千人が登録。海外進出を見込むベンチャーや中小企業に顧問として派遣されている。複数社との顧問契約を抱える“売れっ子”がいる一方、企業側と面談を繰り返しても成約に至らない人がおり、稼働率は約4割だ。

 同社の広報担当者は、その理由を「即戦力を求める経営者に机上のアドバイスしかできなかったり、若い経営者に思わずえらそうな態度を取ってしまったりと、気持ちのすりあわせができていなかった」とみる。

 同社では「アクティブシニアの日」となる28日、今春同社に登録した20人を集めて「入社式」を開催、すでに活躍している顧問らが働く心得を講演する。担当者は「少し教えればどんどんできる人が多い。そのきっかけになれば」と狙いを語る。

労働力、5人に1人が60歳以上

 総務省の労働力調査によると、平成27年の労働力人口は6598万人。このうち60歳以上が1296万人と19・6%を占め、その割合は昭和55年の9・3%の2倍以上に増加した。労働者の5人に1人が高齢者となる中、高齢者の戦力化は急務となっており、積極的に高齢者の戦力化を進める企業も少なくない

 住宅メーカー大手「大和ハウス工業」(大阪)では、平成25年、65歳定年制を導入。一部を除いて60歳で役職定年となり、新たな仕事に再配置される。

 再配置前に外部講師を招いて研修を行うが、同社人事部の菊岡大輔次長は、主なテーマを「『嫌われないシニアになれ』ということ」だと説明する。

 再配置先は「会社にとって重要で、シニアの持ち味が生きる仕事」(菊岡氏)。具体的には工事の安全管理を確認・指導したり、将来的に収益につながりそうな情報を収集したりする部隊などで、60~65歳でも昇格のチャンスがある。

 賞与には所属先や個人の成績が反映され、シニアのやる気を高めるとともに、気を抜けないシステムだ。また、能力や成果とは別に、長期間会社を支えたことを評価するため、永年勤続表彰を実施。さらに社章の素材がランクアップし、勤続20年で銀、同30年で金、同40年ではプラチナ製の社章が授与される。

役割と評価を

 3月に「65歳超雇用推進マニュアル」を発行した「独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構」(千葉市)の浅野浩美雇用推進・研究部長は「新しい職場や役割で、どうすれば自分らしく働けるのか、気持ちの切り替えが大事だ」と指摘する。過去の立場にこだわらないことはもちろん、部下や、役職に頼らずに仕事を進める力がより求められるという。

 一方、シニアを雇用する企業側は、役割や期待している仕事を本人や周囲にきちんと伝えることが重要だ。また、期待した役割を果たしているか評価することも欠かせない。

 浅野氏は、「定年後も働きたい人は、職場で役に立ちたいと思っている。企業も本気で戦力としてとらえ、力を十分発揮してもらわないともったいない」と話している。

 アクティブシニアの日 シニア世代をより元気でアクティブ(活動的)にすることを目的に、シニアを応援するサイトを運営する会社が制定し、日本記念日協会に認定された。日付は4と28で「シニア」と読む語呂合わせから。