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AMD、RDNA 3に対応した次世代Radeon RXの実働する様子を公開

次世代Radeon RXのデモを行なうAMD CEO リサ・スー氏

 米AMDは8月29日(現地時間)に、米国テキサス州オースティン近郊の会場において記者会見を開催し、同社が開発を表明してきた次世代CPUアーキテクチャ「Zen 4」コアを採用した新しいデスクトップPC向けCPU「AMD Ryzen 7000シリーズ・デスクトップ・プロセッサー」(以下Ryzen 7000シリーズ)を正式に発表した。

 その会見の中でAMD CTO 兼 上級副社長 マーク・ペーパーマスター氏はZen 4の特徴としてマイクロアーキテクチャの改良、特にフロントエンドと分岐予測の改善などによる改善でIPCが13%改善していること、新しくAVX-512の拡張命令セットに対応していること、TSMCの5nmプロセスルールで製造されるCPUであることなどを強調した。

 ペーパーマスター氏によれば、そのZen 4に基づいているRyzen 7000シリーズのCPUコア1つ(CPU+L2キャッシュ)は、Intelの第12世代Coreのそれに比較してダイ面積で50%小さく、電力効率で47%ほど優れていると強調した。

 また、AMDは同社の次世代GPUアーキテクチャRDNA 3に対応した次世代Radeon RXのデモを行ない、既に電力が入りゲームなどが動いている様子を公開した。

Intelの第12世代CoreのCPUコアと比較すると半分のダイ面積となるZen 4のCPUコア

AMD CTO 兼 上級副社長 マーク・ペーパーマスター氏

 AMD CTO 兼 上級副社長 マーク・ペーパーマスター氏は、今回発表されたRyzen 7000シリーズに採用されているCPUコアのアーキテクチャ「Zen 4」に関しての説明を行なった。Zen 4は、初代Ryzenに採用されたZenから始まるZenアーキテクチャの最新版で、現行製品となる「Ryzen 5000シリーズ・デスクトップ・プロセッサー」(以下Ryzen 5000シリーズ)に採用されているZen 3の後継となるマイクロアーキテクチャだ。

Zen 4の特徴
13%のIPCの向上
そのうちわけ、フロントエンド、ロードストア、分岐予測が大きく寄与している

 ペーパーマスター氏によれば、Zen 4は内部のマイクロアーキテクチャの改良で、IPC(Instruction Per Clock-cycle、1クロックあたりに実行できる命令数。IPCが高ければ高いほどCPUの性能は高まる)が約13%改善されているという。そうした改善に至ったのも新しいフロントエンド、そして分岐予測などを導入したためだと説明した。また、データの出し入れを担当するロード/ストアに関しても改良が入っており、その3つだけで改良に寄与している理由のほとんどになるという。

 そして、AMDのCPUではずっとAVX-256止まりだった拡張命令セットに関しても、Zen 4からAVX-512に対応するという(なお、AMDはIntelとx86 ISAを利用する契約を結んでおり、こうした拡張命令セットもその契約でカバーされる)。AVX-512ではVNNIなどのマシンラーニング/ディープラーニングの推論をより効率よく処理する命令セットが加えられており、FP32の推論で1.3倍、VNNIを利用したINT8の推論で2.5倍の性能向上を実現できるとペーパーマスター氏は説明した。

AVX-512に対応

 ペーパーマスター氏によれば、Zen 4のCPUコアは、Intelの第12世代Core(Alder Lake)のCPUコア(Pコアのことだと考えられる)と比較すると、ダイ面積は約半分でしかないという。加えて、電力効率に換算すると、Zen 4が47%高効率だとペーパーマスター氏は強調した。

TSMCとのパートナーシップにより5nmに微細化していることが電力効率改善の理由
第12世代CoreとのCPUコア1つあたりのダイ面積の比較

 なお、AMDはこの世代でIOD(I/Oダイ)の製造技術もZen 3世代の14nmから6nmへと微細化しており、CPU全体と考えるとそれによるI/O周りの消費電力削減効果も大きいとも説明した。

RDNA 3の次世代GPU「Navi 3x」とみられる次世代Radeon RXをデモ

 AMD CEO リサ・スー氏は、会見の終わり頃に、同社が開発している次世代GPUアーキテクチャ「RDNA 3」に対応した次世代Radeon RXが実際に動作している様子も公開した。Navi 3xという開発コードネームで知られる製品とみられており、発表されたばかりのRyzen 9 7950Xとの組み合わせで、既にゲームが動作していた。

 スーは「今年中にはさらなるアップデートを提供する予定だ」と述べ、今後さらに次世代GPUに関しても発表する予定であることを明らかにした。

初のRDNA 3 GPUの公開デモ