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MIT、太陽電池の素材開発を20年から2年に縮めるシステムを開発

 米マサチューセッツ工科大学(MIT)は6月6日(現地時間)、ペロブスカイト(灰チタン石)を用いたソーラーセル(太陽電池)の素材開発を20年から2年に縮められるシステムを開発したと発表した。

 ペロブスカイトは現行のソーラーセルの効率をさらに高める材料の1つとして注目されているが、構成物の材料の組み合わせが実質的に無制限であり、有力なペロブスカイト構造の発見は多大な時間を要する作業となっている。

 研究チームは、新しいエネルギー変換材料を開発する基本システムの構築には20年を要すると見ていたとしており、この期間を2年以下に収めることが目標となっていた。

 そこで、MITを含めた研究チームらは、多種多様な材料を平行してテストできるシステムを構築。同じ材料を合成するプラットフォームを使って、広範囲にさまざまな組成にアクセスできるようにした。これにより、合成と化合物の解析速度をおよそ10倍高めることに成功した。

 実験では、さまざまな組成の材料を選んで溶液に混ぜ、基板上に堆積させた後、薄膜に結晶化。結晶構造内の原子の配置がわかるX線回折技術を用いて分析し、畳み込みニューラルネットワークで分類を行なった。当初分類には3~5時間が必要だったが、機械学習が適用されたことで、90%の精度を保ちながら5分30秒まで削減可能になった。

 初期試験では75種類の形成を検査し、そのなかから高効率でソーラーセル向けの有望な鉛フリーのペロブスカイト系を2種類発見できた。さらに、研究チームは一部の検査プロセスの自動化を進めることで、10~100倍は高速化できるだろうと述べているほか、キロワットあたりで2セント以下の経済的な太陽光発電システムが作れるように、技術開発を進めていく意向を示している。