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IE 5.5とDirectX 8でDirectMusicは飛躍的に向上!?

DirectMusic開発者インタビュー



 '99年9月にDirectX 7.0がリリースされ、ハードウェアによるトランスフォーム&ライティング(T&L)のサポートやDirectMusicの充実など、着実に進化を遂げている。
 12月に米Microsoftからオーディオ テクノロジー エバンジェリストのChanel Summers氏が来日。マイクロソフト株式会社のデベロッパーマーケティング統括部のテクニカルエバンジェリスト大塚友則氏とChanel Summers氏からDirectMusicに関するお話を伺う機会を得たので、DirectMusicはどのように進化しているのか? に始まり、DirectX 8.0、次期バージョンInternet Explorer 5.5との親和性などについて話してもらった。


■ 「Final Fantasy VIII」もDirectMusicを利用している

Microsoftのデベロッパーリレーショングループ、オーディオ テクノロジー エバンジェリストのChanel Summers氏
--まず今回のDirectMusicのバージョンアップによって、何が可能となったのかを聞いてみた。

Chanel Summers氏 DirectMusicはDirectX 6.1で初めて実装され、9月にリリースされたDirectX 7.0ではDLS2(Downloadable Sounds level 2)の搭載や制作ツール「DirectMusic Producer(SDKに収録)」の強化をかなり行なっている。

--日本ではグラフィックアクセラレータなど、目に見える部分を強化する傾向があり、サウンド関係へお金をかけることは後回しになっている節がある。DirectMusicの登場はそういった現状を打破するだけのインパクトはあるのだろうか?

Chanel Summers氏 現在、(ソフトウェアへの)採用率は高い伸びを記録している。伸びる勢いで言えばもっとも勢いがあるAPIだと思う。すでに50~100の制作中のタイトルがDirectMusicを使っている。それらの開発中のタイトルは、やはりゲームソフトが多い。その中には「Final Fantasy VIII」も含まれており、DirectMusicのMIDIプレイバック機能を使っていると聞いている。

 PC用のアプリケーション(特にゲーム)は最近では、映画などと比較されるところまできている。それだけ、グラフィックだけでなく音楽も重要な要素となってきた。これまでは背景音(バックグラウンドで鳴る同じフレーズが繰り返されるだけの音楽)だった。どんなにいい音楽でも、時として消されるときもあった。だけど、DirectMusicを利用すれば、同じように聞こえる音楽を微妙に変化させることが容易になる。このことにより“音楽”は必要不可欠な要素となったと思う。

大塚友則氏 これまでのゲームでは音楽が変わるとき、必ず曲の頭から流すしかなかったんですが、DirectMusicでは音楽が流れている途中で楽器を変えたり雰囲気を変えたり、テンポや違う曲へ変化させることもできるんです。急にテンポを変えたり、違う曲に変えるとつながりが変になってしまうんですが、そこを自動的にコントロールしてくれるんです。

 イメージとしてはミュージカルに近いですが、例えば映画の場合は尺が決まっている。何分頃盛り上がるといった、シーンの流れがすべて決まっていて、それに合わせて音楽が作られている。でもゲームの場合はシーンの長さは決まっていない。ミュージカルの決闘シーンがアドリブで、BGMを生バンドがアドリブで演奏しているといった感じを想像してもらえばわかりやすいと思います。

 また、DirectMusicを利用したゲームとして、米国のVR-1がグラフィックの全くない「CROSSROADS」というゲームを開発中です。ネットワークゲーム(オンラインのみ)なんですけど、テキストベースのアドベンチャーゲームなんです。情景の説明を音と音楽で行ない、テキストで補足するというゲームです。(同ゲームはAOLでのみプレイ可能)


■ Internet Explorer 5.5でインタラクティブMusic WEBが実現

マイクロソフトのデベロッパーマーケティング統括部テクニカルエバンジェリスト大塚友則氏
大塚友則氏 DirectMusicというのは、WEBとの親和性がいいんです。というのは、インターネットでは音楽をけっきょくMIDIで鳴らすわけで、WAVEファイルを送るよりはMIDIのファイルを送るほうが小さいファイルですみますよね。特定の音色というのもDLSでダウンロードできるわけです。そして、DirectX 6.1以降がインストールされているPCであればどのPCでも同じ音が鳴らせるわけです。

 例えば、見せたい部分にカーソルがいけば、アイキャッチのように音楽が鳴るなどの仕組みを作ることができるわけです。Microsoftでもそういったサンプルページの制作は計画はしているんです。どこかを開くと音が鳴るような仕組みを考えています。

Chanel Summers氏 現在、デモとして作られたものだが、我々のサンプルページがある。「Age of Empire」の紹介ページを元に制作したものだが、MIDIを使って作成した。(WEBページには上半分にAge of Empireの紹介があり、下半分にはAge of Empire IIの紹介がされている)上のAge of Empireのところにカーソルを持っていくと1作目のBGMが鳴り、下半分に持っていくとAge of Empire IIの音楽に変化する。もちろんDirectMusicを利用しているので、自然に変化していく。また、各種ボタンにはゲームのサンプリング音をDLSでダウンロードして鳴らすように設定してある(ボタンの上にカーソルが来ると戦いのホーンが鳴り響く)。これらの機能はInternet Explorer 5.5で実現することができる(Internet Explore 5.5のリリースは現在未定)。


■ DirectX 8.0でどう変わる?

 「DirectX 7.0a」が12月にリリースされたばかりだが、次バージョン「DirectX 8.0」はどのような変化を遂げるのだろうか?

Chanel Summers氏 まだ正式な発表はできませんが、現在、DirectX 8.0の作業を行なっていて大変エキサイトです。
 まず最初に、DirectSoundとDirectMusicが統合化され、ソフトウェアシンセサイザーの中にDLS Level2がサポートされる。そしてストリーミング・オーディオ・プレイバックとDirectMusicのシンクロが可能となるほか、オーディオ・スクリプティングと音響効果のプロセッシングが可能となっている。

 最終的な方向性としては、ゲームオーディオのレベルから映画の音楽レベルまで引き上げたいと思っている。


□DirectX 7.0ニュースリリース
http://www.microsoft.com/japan/presspass/releases/0924dire.htm
□DirectX 7.0a SDKリリース概要
http://www.microsoft.com/japan/directx/developer/downloads/dxsdk.asp
□DirectXホームページ
http://www.microsoft.com/japan/directx/
□関連記事
【'99年9月25日】米Microsoft、DirectX 7.0をリリース
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/990924/ms.htm

('99年12月24日)

[Reported by funatsu@impress.co.jp]


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ウォッチ編集部内PC Watch担当 pc-watch-info@impress.co.jp