Click


COMDEX/Fall '99 会場レポート
3dfx、Voodoo4/Voodoo5など最新ビデオチップVSA-100(Napalm)を
搭載したビデオカードを発表!

3dfx会長のゴードン・キャンベル氏
3dfx会長のゴードン・キャンベル氏

期日:11月15日~11月19日(現地時間)

会場:Las Vegas Convention Center
   Sands Expo and Convention Center
   Las Vegas Hilton

 

広報写真

 3dfx Interactiveは現地時間の11月15日早朝にCOMDEX/Fall '99が開催されているSands Expo Centerに隣接するベネチアンホテルで記者会見を開催し、これまでNapalmのコードネームで知られてきた同社の最新ビデオチップであるVSA-100とそのVSA-100を利用したグラフィックスボードのVoodoo4/Voodoo5シリーズの5製品を発表した。噂通り、NVIDIAのGeFORCE 256がサポートしているようなハードウェアのジオメトリ演算機能(ハードウェア T&L)は持たず、T-BufferやTexture Compressionといったレンダリング系の機能を強化し、さらに1つのボード上に複数のVSA-100チップを載せることでレンダリング時の描画性能を大幅に向上させるというアプローチがとられている。

■マルチチップ構成により大幅な描画能力の向上を目指す

 今回発表された3dfxの最新ビデオチップであるVSA-100が目指しているのは、同社の創始者であり会長のゴードン・キャンベル氏の「PCにおける主要な用途のトップ3にあげられるのはPCゲームであり、当社は今後もPCゲームにおける3D描画環境を追求していく」という発言に象徴されるように、とにかくPCゲームでの3D描画性能を向上させていこうという意図に基づいて設計されている。今回発表されたVSA-100のスペックは以下のようになっている。

 VSA-100の最も大きな特徴は、最大で32個ものVSA-100をSLI(Scan-Line Interleaving)接続できるようになっていることだろう。過去にはVoodoo2も2つをSLIで接続できるようになっていて、ヘビーゲーマーの間ではVoodoo2を2枚挿してSLI接続して利用するというは半ば常識になっていたが、このVSA-100はなんと32個も同時に接続することができるというのだから驚きだ(ただし、3dfxが発売するコンシューマ向けのビデオカードは4個が最高で、5つ以上搭載したワークステーション向けのビデオカードは3dfxのパートナーであるQuantum3Dから発売される)。


■T-Bufferに対応するなどレンダリングエンジンは大幅に機能強化

ソフトシャドウ
ソフトシャドウを利用すれば影をより自然に表示できる

 レンダリングのエンジンも大幅に機能が向上されている。3dfxではVSA-100のレンダリング系の機能強化点として以下の点を上げている

 アンチエイリアシングとは3D画像を描画するときに物体に発生してしまうジャギー(物体と背景の境界線に発生するぎざぎざのこと)を取り除く技術のことだが、VSA-100ではこのアンチエイリアシングを強化することでさらにジャギーを取り除き描画品質を上げるように配慮されている。このフルシーンアンチエイリアシングは従来のゲームをプレイする場合にも有効になっており、メリットは決して小さくない。
 T-Bufferはモーションブロウ、プログラマブルDepth-of-Field、ソフトシャドウ&リフレクション、という3つの新しい機能をサポートした3D描画品質を写真ないしは映画の品質に引き上げるべく導入された新しいレンダリング技術で、例えばソフトシャドウでは影と影でない部分の境界線をやや曖昧にすることで影を自然な感じにする技術。
 また、VSA-100はテクスチャ圧縮にも対応している。これにより、従来よりも大幅にファイルサイズの大きなテクスチャを表示できるようになり、やはり表示品質を向上させることが可能になる。なお、VSA-100のテクスチャ圧縮はDirectX6以降でサポートされているDXTCと3dfx独自のテクスチャ圧縮であるFXTCの両方に対応しており、3dfx独自のAPIであるGlideでも利用することが可能だ。


■「現時点ではハードウェアジオメトリエンジンは必要ない」

 3dfxのライバルと言えるNVIDIAがGeFORCE 256でハードウェアによるジオメトリ演算機能を内蔵したことで、3dfxがどうするのか注目を集めていたが、噂通りVSA-100はハードウェアのジオメトリエンジンは搭載されていなかった。このことについて、VSA-100のプレゼンテーションを行なった3dfx CTOのScott Sellers氏は「将来的にハードウェアのジオメトリエンジンが必要になるということは疑いの余地がない」と、ハードウェアのジオメトリエンジンの必要性に関しては否定しなかった。

 しかし、「現時点ではハードウェアによりジオメトリ演算をサポートしたゲームはごくわずかで、現時点ではハードウェアのジオメトリエンジンを内蔵するよりは、レンダリングの性能を上げた方がユーザーにもたらす利益が大きいと判断した」と述べ、現時点でハードウェアのジオメトリエンジンを内蔵することがユーザーの利益につながらないと述べた。ただし、最後に「もし市場がハードウェアのジオメトリエンジンを必要とするようになれば、我々も対応するだろう」とのべ、将来の対応には含みを持たせた。


■Voodoo4/Voodoo5併せて5製品を同時に発表

 VSC-100と同時にVSC-100を搭載した製品が発表された。今回発表された製品は実に5製品と多岐に渡っており、ユーザーが自分の好みに合わせて選択できるようになっている。


 
Voodoo4 4500 PCI
Voodoo4 4500 AGP
Voodoo5 5000 PCI
Voodoo5 5500 AGP
Voodoo5 6000 AGP
インターフェイス PCI AGP 4X PCI AGP 4X AGP 4X
チップ数 1 1 2 2 4
ビデオメモリ 32MB 32MB 32MB 64MB 128MB
フィルレート 333M~367M
ピクセル/秒
333M~367M
ピクセル/秒
667M~733M
ピクセル/秒
667M~733M
ピクセル/秒
1.33G~1.47G
ピクセル/秒
価格 179.99ドル 179.99ドル 229.99ドル 299.99ドル 599.99ドル


 いずれの製品も発売は2000年の第1四半期を予定している。なお、今回は特に展示されていなかったが、パートナー企業であるQuantum3DからはVSA-100を8個から32個まで搭載した各種のビデオカードが発売されることも併せて発表されている。

 このように、今回のVSA-100およびVoodoo4/Voodoo5の各製品の発表により、3dfxは再びPCゲーム機市場で覇権を取り戻すため、反撃の狼煙を上げることができたと言える。NVIDIAがハードウェアジオメトリのアプローチでジオメトリ演算のパフォーマンスをあげるアプローチをとったのに対して、3dfxは複数のチップを1つのボード上に載せたり表示品質を向上させることでレンダリングの性能を上げるという別のアプローチをとったことは興味深い。

 NVIDIAのアプローチが今後ソフトウェアベンダがハードウェアジオメトリに対応してくれるかどうかに依存しているのに対して、3dfxのアプローチは今日今すぐにも効果を体感できるという違いがある。そうした意味では、ハードウェアジオメトリが本格的に普及する前にリードを築けるかが3dfxの今後を左右するといっていいだろう。

3dfxのホームページ(英文)
http://www.3dfx.com/
製品情報(英文)
http://www.3dfx.com/prod/voodoo/newvoodoo.html


□COMDEX/Fall '99のホームページ(英文)
http://www.zdevents.com/comdex/fall99/
□関連記事
【11月15日】COMDEX/Fall '99開幕前日レポート~ 着々と準備が進む展示会場 ~
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/991115/comdex01.htm

('99年11月16日)

[Reported by 笠原一輝]


【PC Watchホームページ】


ウォッチ編集部内PC Watch担当 pc-watch-info@impress.co.jp