Click


新iMacはここが変わった!
iMac DV & iMac DV Special Editionの細部に迫る
~ インターフェースや拡張スロットなどを詳報 ~

会場

期日:10月5日 午前10時(現地時間)

会場:The Flint Center at DeAnza College(カリフォルニア州 Cupertino)



■名称は同一だが、透明度が増して明るい感じがするカラー

 Macworld EXPOのように展示会を併設するイベントと異なり、関係者向けの製品発表会という趣向のSpecial Eventだけに、新製品の展示は限られていた。Steve Jobs氏の講演が終了したのち、ステージ上で搬出前のデモ機が数台と、正面入り口にiMac DVモデルが各色1台で計5台。さらにお馴染みの回転する台に載ったSpecial Editionが4台といった程度である。それらをざっと見わたして、気づいた点をあげていこう。

 デザインは、上下左右、正面、背面のどこから見てもiMacそのもの。当初のコンセプトを忠実に守ってリファインされている。現時点では前モデルと並べて見られるわけでもないので細部まではわかりにくいが、奥行きは使用するモニタの改良などにより1インチほど短くなっているという。また、前モデルにあったモニタ背面のシールドがなくなり、ハンドル周囲に小さな穴を空けたこと、部品の改良による発熱量の減少、さらには透明度のアップなどで、本体内のファンが必要なくなった。Jobs氏の言葉を借りれば「他のPCにはあるのに、新iMacにはないもの、それがファンだ」となる。ファンの除去は騒音対策に非常に効果的で、オフィスで30デシベル程度、家庭で27デシベル程度、20デシベル以下なら静寂と考えられるが、iMac単体ならばそれを下回る7デシベルを実現するという。

 iMac DVの5色と、iMacのブルーベリーは前モデルと名称こそ一緒だが、カラー自体は若干の変更が加えられている。Jobs氏によれば「ハッキリして明るくより良い色」ということになる。グラファイトカラーは、PowerMac G4に採用にされたそれとは、大きく異なり、光源によってはかなりの透明度を感じることができる。また、キーボードとマウスの形状は、従来モデルと同じだ。

写真はiMac DV。ブルーベリーカラーの場合、ちょっと見にはiMacとiMac DVの区別はつきにくい。簡単に見分けるにはインターフェイス部分のFireWireポートの有無や、背面のRGB端子の有無で確認するといい グラファイトカラーのSpecial Editionを斜め背面から。ハンドルの周囲に多数の小さな穴が空いており、ここが放熱の一助になっていると思われる。そのほか、部品の改良や使用パーツ数の減少などで、本体からファンがなくなっている
iMac DVのインターフェイス部分。前モデル同様に、本体正面に向かって右側側面に位置する。ただしカバーは廃止されている。リセットスイッチとプログラマーズスイッチに凹凸が付き、ハングアップ時のリセットがやや容易になる。FireWire非搭載のiMacでは、FireWireのポート部分が目隠しされる これもiMac DV特有のRGB出力端子部分。15ピンのVGA出力から外部モニタに出力可能。写真ではカバーを取り外しているが、実際はカバーを取り付けたままで利用することができる
iMacのCD-ROMドライブ、iMac DV/Special EditionのDVD-ROMドライブに共通するスロットイン(講演ではSlot-loadという言葉が使われていた)の採用で、以前よりもスッキリした印象のフロントパネル harman kardonのスピーカーが内蔵されている。左にふたつあるのは、ヘッドホン用の出力端子。以前のiMacとは設置位置が左右反対になり、縦位置から横位置に変わった。iMacのユーザーは見比べてみよう harman kardonから、99ドルで販売されるサブウーハー。iMacにはUSBポートを使って接続する。クリアなボディのその外観は、その昔、化学準備室でお目にかかったような……
本体底面にある拡張スロット。メモリの増設とAirPortカードの取り付けは、このカバーを取り外して行なう。開閉はコインも使えるねじ止め式。本体カバーの取り外しが必要だった前モデルに比べて、格段に作業が楽になった。利用できるメモリは、PC1OO対応のSDRAM。最大256MBまで搭載できるメモリスロットがふたつ用意されている こちらは、AirPortカードの取り付け。メモリと同位置にあるスロットに取り付ける。あらかじめ本体に内蔵されたアンテナに接続しているケーブルやコネクタをカードに接続してから、横方向に取り付ける。メモリの増設より手順は煩雑だが、決して難しい作業ではない 改良が加えられたというチルトスタンド。若干強度も増しているようだ。本体の銘板にクリア素材が使われているあたりに、こだわりを感じさせる


■初心者層という従来路線に加えて、買い換え需要も喚起

 新iMacには3種類のラインナップがあることは既報のとおり。この3機種が共通してもつ基本的なスペックは、100MHzのシステムバス、8MBのグラフィックメモリを搭載したAGP 2XのRage 128、それぞれ独立したふたつのUSBポート、56Kbpsモデムと10/100BaseのEthernetポートの搭載といったところ。AirPortへの対応と、ハードディスクインターフェイスのUltraATA/33サポートもそうだ。ラインナップ別のスペックの違いは、ニュース記事のスペック表を参照していただきたいが、3種類の基本性能はほぼ同一ということがわかる。同様に3ラインナップを出荷するPowerMac G4の場合は、グラフィックバスやハードディスクインターフェイスなど、下位モデルと上位2モデルでマザーボードの構成からして異なっていた。しかし、今回のiMacとiMac DVにはそうした違いはない。もちろん、ベーシックモデルに搭載されていないFireWireや、RGB出力端子を後から追加するわけにはいかないものの、それ以外の素性というか出自は同じなのである。

 そう考えれば、機種選択は明確になる。FireWireポートを利用するか否か、あるいはデジタルビデオ編集に興味があるか否かの二者択一だ。加えて、Special Editionの選択は、わずか!? 64MBばかりのメモリと3GBばかりのハードディスク容量の増加よりも、グラファイトカラーに200ドル(日本ではいくらになるのかは不明だが)の価値を見いだすことになるに違いない。

 iMacがコンシューマ市場をターゲットにして、入門者や初心者を中心にマーケットを広げてきたのは紛れもない事実である。ことに日本はその比率が高い。このコンセプトは変わらず、これらのユーザー層への訴求力は今後も持続するものと思われる。それに加えて、FireWireあるいは、デジタルビデオ編集というソリューションの提示は、既存のiMacユーザーの買い換え需要を喚起する可能性もある。

 10月7日には、日本国内でこれらのiMacとiMac DV/Special Editionの発表会が開かれる。ハードウェアとしては同一だが、さまざまな日米間の違いはでてくるはずだ。例えば、インターネット接続においてCompuServeと3年間の契約を結ぶことで得られる400ドルのリベート(ただし、米国内でもCompUSAなど限られた店舗での購入者に限られるようだが)のようなサービスは果たして日本でも提供されるのか。また、米国内で販売されるiMac DVモデルに添付される「A Bug's Life」のようなDVD-VIDEOタイトルは日本でも添付されるのか。国内販売価格や発売開始日とともに注目される。

今回は招待者のみが対象とあって、かなりレアものとも思えるポスター。正面入り口には写真の3タイプが貼られていたが(結構高い位置だったため、やたらオアリ気味の写真になってしまった)、配布場所では5色のiMac DVを除いた2種類しか置いていなかった。招待客もおおかたは帰ったあとだったので、最初から無かったのか、途中で品切れになったのかは不明。それにしては、他の2種類はかなりの数が残っていた。ちなみに、掲示されているのはサンプルのようで、本物には会場と日付も印刷されている


Apple Computerのホームページ(英文)
http://www.apple.com/
ニュースリリース(英文)
http://www.apple.com/pr/library/1999/oct/05imac.html
http://www.apple.com/pr/library/1999/oct/05wrapper.html
iMac製品情報(英文)
http://www.apple.com/imac/
□関連記事
【10月6日】米Apple、DVDやFireWireに対応した新型iMacを発売
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/991006/apple3.htm

('99年10月6日)

[Reported by 矢作 晃]


【PC Watchホームページ】


ウォッチ編集部内PC Watch担当 pc-watch-info@impress.co.jp