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西川和久の
「もっと対応機種を!! IBM microdrive 」


microdriveと専用PCカード・アダプタ

もっと対応機種を!! IBM microdrive

 Compact Flashとほぼ同じサイズで340MBもの容量を持つハードディスク、microdriveが登場してはや数ヶ月が経った。発売当日に購入した筆者がその使用感や巷で発生している問題点なども含めレポートする。

Text by Kazuhisa Nishikawa


パッケージ
BUFFALO(後ろ)IBM(手前)のパッケージ。
中身は同じIBM製microdriveが入っている。

手持ちの対応機種
筆者手持ちの対応機種
SANYO DSC-SX150
Canon PowerShot Pro70
HP Jornada 680
もちろんCanon EOS D2000もOK!!

スケルトン
特別にお借りしたスケルトンモデル。
残念ながら動かない……。
(clickすると640×512pixelの画像を表示)

付属ケース
運搬中の振動など、衝撃をある程度
和らげる付属のケース。
PCカードアダプタはmicrodrive専用だ。

●ベンチマークテスト

 丁度手元に色々なメディアがあるので、試しにベンチマークテストを行なった。結果は、以下の表をご覧頂きたい。

Media Type Read (KB/sec.) Write (KB/sec.)
PC Card Type3 HDD / VIPER260 1,066 808
Memory Stick / 32MB 886 491
Compact Flash / BUFFALO RCF 30M 1,348 295
SmartMedia / 32MB 1,583 1,105
microdrive / 340MB 1,632 1,208
※ISAタイプのPC Cardインターフェイスを使用し、HDBench Ver.2.610(Windows 98)で測定。

手持ちの関係から、Compact Flashに関しては最近の高速タイプでないので、あまり参考にならないかも知れない。それでも全メディア中、microdriveはリード/ライト共に最速。またSmartMediaも健闘しているのがわかる。このベンチマークテストだけで判断するのは危険であるが、“立ち上がり後”の速度に関しては全く問題ないレベルに達していると考えてよいだろう。

●気になる対応機種と巷の評判

 現在ノートPC以外で正式にmicrodriveへ対応している機種は、民生用デジタルカメラでは、SANYO DSC-SX150Canon PowerShot Pro70CASIO QV-2000UX、最近アメリカで発表されたCanon PowerShot S10、Windows CE機では、HP Jornada 680Compaq C-Series 2010程度。PCカード・アダプタを使い、FUJIFILM DS-330SONY Cyber-shot PROへ入れてみたものの、結果はNG。いずれにしてもサイズがType2なので、一般的なCompact Flash対応機では使えずちょっと残念な状況だ。

 余談になるが、筆者愛用のプロ用デジタルカメラ、Canon EOS D2000はmicrodrive Ready。数年前から使っていたType3のHDDが最近かなり痛んできたので買い換えようと思ってみたものの、秋葉原でさえもあまり見掛けなくなっている。そこへmicrodriveの登場だ。少なくともType3のHDDより高速・低消費電力と良いことずくめ。更に、いよいよこの月末から発売開始となるNikon D1もmicrodrive対応。このように、ハイエンド・デジタルカメラ・ユーザーにとってmicrodriveはパワフルな存在といえよう。

 さて、発売から数ヶ月経ったこともあり、巷では大きく別けて3つの問題点が上がっている。1つは対衝撃性、2つ目はノイズ面、そして最後に消費電力。まず対衝撃性の話は「撮影中に壊れたのではなく、机の上へ落として壊れた」ということらしい。デジタルカメラ・メーカーがmicrodriveの採用に二の足を踏んでいるのも、この点がある程度問題になっているようだ。しかし撮影中に壊れるならともかく、落として壊したのは完全にユーザーサイドの責任。例えば多くのハイエンド・デジタルカメラはType3のHDDを使うが、撮影後のHDDはとても慎重に扱うのが普通である。見た目がCompact Flashとあまり変わらないとはいえ、microdriveはハードディスク。非撮影時の扱いはユーザーが注意すべきであろう。IBMによると静止時はヘッドが専用の待機エリアにあり、対衝撃性は大丈夫とのことである。今回のケースは単に運が悪かったのだろうか!? 逆に、コンクリートへ落としても大丈夫だったという報告も受けている。

 次にノイズ面。これはSANYO SX-150を使って動画を撮った時に、ドライブのモーター音がノイズで入ってしまうという件だ。実際試したところ、確かに深夜の部屋の中など、かなり静かな環境ではそれなりに気になるレベルとなるが、イベント会場などもともと騒がしい所では周囲の雑音の方が気になり、モーター音のノイズは聞き取れなかった。ノイズに関しては許容範囲の個人差やハードウェア自体の固体差もあると思うので、主に動画で使いたい人は(可能であれば)ショップなどでお願いし試聴すると良いだろう。ただ筆者的にはノイズより、このサイズのデジタルカメラで動画“も”撮影可能なことが重要だと思うのだが……。

 最後は消費電力。これに関しては半導体メディアと比較すると流石に辛いものがある。しかし、例えばSANYO SX-150でフル充電の1600mAhのニッケル水素電池を使って動画を連続30~35分撮れるなど*1、それなりに実用範囲。更にある程度強力なバッテリーを搭載する、PowerShot Pro70やハイエンド・デジタルカメラでは遜色なく撮影可能だ。

*1 Compact Flash使用時には40~45分。撮影条件は液晶ON、1回の録画は最長5分なので、終了後即次の録画を開始。


●結論

 対衝撃性、ノイズ面、消費電力など、若干気になる部分もあるmicrodrive。しかし、340MBもの大容量が実売5万円を切っている現状を考えるとコストパフォーマンス抜群。特にデジタルカメラは、例えばCAMEDIA C-2500Lの最高画質(SHQ/JPEG)で撮影すると、1枚1.5~2MBものサイズとなり32MBのSmartMediaでさえも16枚程度しか入らないなど、ファイルサイズは大きくなる一方だ。来年300万画素機の登場する可能性も高く、記録メディアの最大容量は深刻な問題になりつつある。そういった意味で、ぜひとも対応機種が増えて欲しいと願っている。

[Text by 西川和久]


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ウォッチ編集部内PC Watch担当 pc-watch-info@impress.co.jp