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SEYBOLD SEMINARS SF 展示会場レポート第1弾
G4プロセッサ搭載のPowerMac G4がついに姿をみせる

会場

会期:8月30日~9月3日(現地時間)

会場:サンフランシスコ Moscone Center


 基調講演の会場でSteve Jobs氏がPowerMac G4をお披露目するのにあわせるように、午前10時から展示会場もオープンした。南北に分かれているMoscone Centerの、南側ホール入口正面にブースを構えるのがApple Computer。展示会場レポートの第1弾は、ここからPowerMac G4とCinema Displayの詳細についてレポートしよう。

■第4世代のPowerPCを搭載するPowerMac G4

 ブース内にずらりと並べられているPowerMac G4。形こそ、今年1月にデビューしたPowerMacintosh G3と同様だが、その内容は大きく異なっている。外面でその変化を主張しているのが、シックにまとめられたカラーリング。本体側面は「highly polished silver」と呼ばれる銀が基調、底面を除くパネル部分と側面のAppleロゴは「graphite」と呼ばれるグレイのトランスルーセント素材が使われている。PowerMacintosh G3にみられた透けてみえるG3(G4)の文字は、highly polished silverの部分が透過していないために存在しない。また本体のコーナーに位置する4つのハンドルは、いずれも完全なクリアパーツが採用されている。

 その名のとおり、PowerMac G4を特徴づけているのが第4世代のPowerPC、G4プロセッサの搭載である。Apple、Motorola、そしてIBMの共同開発による同プロセッサには、新たに「Velocity Engine」と呼ばれるSIMD機能やマルチメディア機能などを強化するユニットが内蔵されている。これは、今まで「AltiVec」として紹介されていたもので、今回のリリースにあたり「Velocity Engine」が正式名称となった。そのパフォーマンスは基調講演でもアナウンスされたように、500MHzのG4プロセッサで、Pentium III 600MHzの2.94倍にも達するという。

 今回、PowerMac G4は標準的な構成として3モデルがアナウンスされているが、採用されているマザーボードは2種類ある。ひとつは、PowerMacintosh G3とほぼ同等の機能でPowerPC G4を搭載するもの。そして本命と目されるのが、上位2モデルに採用されている全く新しいマザーボードだ。このマザーボードは、グラフィックバスにAGP 2Xを採用。また、内蔵ハードディスクのインターフェイスにUltraATA/66を採用するほか、メモリのバンド幅を従来の倍にあたる最大800Mbit/secへ強化。最大搭載メモリの1.5GBへの拡張。それぞれ独立しているふたつのUSBポート、後述するAirPortへの対応など、さまざまな面で強化が図られたもので、G4の性能を生かす工夫が凝らされている。

 言い換えれば、PowerMacintosh G3のプロセッサ部分をG4に載せ変えたもの(もちろん、それほど単純ではないが)と、G4の搭載を前提に設計したものである。もちろん前者は廉価であるが故にコスト面での魅力はあるが、やはりプロユースを意識するこのクラスの製品なら、いずれを選ぶべきかは明白だろう。なお、詳しいコンフィギュレーションは以下のスペック表を参照してほしい。

 米国では、廉価版となる400MHzモデルが本日付けで出荷を開始。450MHzモデルは9月中、ハイエンドの500MHzは10月の出荷が予定されている。

 ちなみに、ここまでで気が付いた読者の方も多いと思われるが、今回発表された製品の正式な名称は「PowerMac G4」であり、「PowerMacintosh G4」ではない。カタログ、ニュースリリリースなどのすべてで、この表記が利用されている。従来の「PowerMacintosh XX」といった名称からの転換について、同社からのコメントはまだ得られていない。

【PowerMac G4の標準的なコンフィギュレーション(米国内での販売価格)】
プロセッサスピード PowerPC G4 400MHz PowerPC G4 450MHz PowerPC G4 500MHz
メモリ(最大搭載量) 64MB(1.0GB) 128MB(1.5GB) 256MB(1.5GB)
メモリ(最大搭載量) PC-100 SDRAM 64MB(1.0GB) PC-100 SDRAM 128MB(1.5GB) PC-100 SDRAM 256MB(1.5GB)
最大メモリバンド幅 400Mbit/sec 800Mbit/sec 800Mbit/sec
グラフィックス RAGE128/PCI RAGE128/AGP 2X RAGE128/AGP 2X
HDD 10GB UltraATA/33 20GB UltraATA/66 27GB UltraATA/66
CD-ROMドライブ/ほか CD-ROM DVD-ROM/ZipDrive DVD-RAM/ZipDrive
FireWireポート 2 3(内部1を含む) 3(内部1を含む)
USBポート 2 2(独立) 2(独立)
AirPort 搭載不可 搭載可能 搭載可能
CinemaDisplay 利用不可 利用可能 利用可能
56K V.90モデム 内蔵済 内蔵済 内蔵可能
販売価格 1,599ドル 2,499ドル 3,499ドル
販売時期 販売中 9月出荷 10月出荷

本体の形状は従来のPowerMacintosh G3と同様。使われているカラーの彩度が低いためかなり落ち着いた印象を与えるデザインになっている
付属のマウスとキーボードは残念ながら従来製品と全く同じ形状となるが、もちろん「graphite」カラーが使われている 本体背面のインターフェイス部分。PowerMacintosh G3で唯一残されていたレガシーインターフェイス「ADB」もついに姿を消した。ふたつのUSBポートはそれぞれ独立しており、各々12Mbpsのパフォーマンスを有する

上位モデルに採用されている新設計のマザーボード。従来のものに比べてはるかに部品点数が減っており、集積度の高さをうかがわせる。巨大なヒートシンクも印象的だ FireWireのポートが内部にもひとつ用意されている。今後登場するであろうFireWire対応の各種ストレージ製品の内蔵に利用できるはずだ 3本並んだPCIバスの右側に位置するのが、AGP 2Xのグラフィックバス。ATIのRAGE128チップを搭載したグラフィックカードが標準で搭載されている


■iBookに続いて、AirPortの無線LANに対応

 先日、iBookと同時に発表された無線LAN「AirPort」はPowerMac G4でも利用できる。IEEE802.11に準拠し、11Mbpsの通信速度を有するAirPortの詳細について、ここでは割愛するが、PowerMac G4にも搭載可能とすることで、AirPortに対しての同社の本気度がうかがい知れるというもの。搭載するAirPortカードは先日発表されたカード(99ドル)がそのまま利用できる。ただし、前述したとおり利用できるのは(スロットが用意されているのは)、新設計のマザーボードのみとなる。

iBookと同様のAirPortカードを装着できるスロットが、マザーボード上に用意されている。導入はカードを挿入し2本のケーブルを接続するだけだ なかなかわかりにくいが、iBook同様にAirPort用のアンテナは本体内部に設置済み。正面上部のハンドル内の左右にひとつづつ設置されているのが見えるだろうか? AirPort用のアンテナに接続されているケーブルは、本体内であらかじめこのように配線されている


■ハイエンド液晶ディスプレイはAppleStoreからの限定出荷

 基調講演で最後に紹介されたのが、22インチの液晶ディスプレイ「Cinema Display」である。1,600×1,024ドットの横長の画面に1,677万色を表示する。ブース内に用意されたPowerMac G4には8割方このディスプレイが接続されており、派手やかなデモンストレーションが繰り広げられた。しかし、液晶パネル供給の限界からか、製品の出荷は制限される。購入できるのは同社のオンラインストア「AppleStore」からのみで、PowerMac G4(の上位2モデル)との同時購入が条件だ。BTOによるPowerMac G4のカスタマイズも可能だが、AGP 2X採用のマザーボード搭載が前提になる。ディスプレイ単体の価格は3,999ドルに設定されている。購入予約は本日付けで開始されたが、出荷開始は10月1日からの予定。

 「Cinema Display」は、デジタルインターフェイスを採用していることから、同時に購入するPowerMac G4のグラフィックカードもデジタルインターフェイスを併せ持つRAGE128/AGP 2Xのグラフィックカードにカスタマイズされる。

正面と背面、そして斜め横から「Cinema Display」をみる。液晶パネルを含む内部部品をクリアパーツで覆ったデザイン。スタンド部分のヒンジが巧妙に設計されており、写真のように上部に手をかけて前後に力を加えるだけで、角度の調整を自在に行なうことができる

電源と輝度の調整ボタンは写真のように、液晶パネルの真下に位置し、クリアパーツ部分のデザインを損ねないような工夫がほどこされている 左隅に見えるユニークな丸い穴は盗難防止用のロックではない。Cinema Display本体からのケーブルは1本だけ。この部分で、デジタルビデオインターフェイス、USB、ACアダプタへと分岐している Cinema Display用のACアダプタ。iBook用のそれとよく似たデザインだが、据え置きでの利用が前提のため、コードの巻き取りなどには対応していない

Cinema Display用のRAGE128/AGP 2Xインターフェイス。アナログインターフェイスとデジタルインターフェイスの双方が用意されているもの。このグラフィックカードが搭載されるのは、AppleStoreからのPowerMac G4とChinemaDisplayの同時購入時 本体背面には、2ポートのUSBハブ機能も搭載されている。足となる部分がクリアパーツで構成されているので、遠目には液晶パネル部分だけが浮かんでいるように見えなくもない CRTモニタの従来製品、17インチと21インチ(日本では未発売)のApple Studio Displayも、PowerMac G4と同様のgraphiteカラーに変更されて出荷が続けられる


すっかりおなじみになった新製品のポスターは今回も用意されていた。横長サイズのポスターが、2種類セットであらかじめ輸送用の筒に入れられている。いわば親切度五割増しといったところ。かなりの来場者がゲットしていくが、次から次へと台車で運び込んで補充されていた


SEYBOLD SEMINARSのオフィシャルサイト(英文)
http://www.seyboldseminars.com/
Apple Computerのホームページ(英文)
http://www.apple.com/
「PowerMac G4」ニュースリリース(英文)
http://www.apple.com/pr/library/1999/aug/31wrapper.html
「PowerMac G4」製品情報(英文)
http://www.apple.com/powermac/
「Apple Cinema Display」製品情報(英文)
http://www.apple.com/powermac/splash/

('99年9月1日)

[Reported by 矢作 晃]


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ウォッチ編集部内PC Watch担当 pc-watch-info@impress.co.jp