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日本AMD、Athlonを発表。公開ベンチマークなど自信を見せる

'99年8月10日 発表

1,000個ロット時単価:
650MHz 110,370円
600MHz 79,950円
550MHz 58,370円
500MHz 32,370円


 日本AMD株式会社はAthlonの発表会を行なった。会場では、AMDの現状とAthlonのブランド戦略、チップセットなどの情報が公開された。

 最初に登場した吉沢俊介取締役は、メモリやDSPの市場に比べてMPU市場の大きさを示すグラフを示し、「Athlonという言葉は、速さや競争をイメージさせる造語だ。この大きなMPU市場のほとんどがIntelによって占められており、そのアーキテクチャもPentium IIと、MMX Pentiumの2つしか存在しない。我々はここに競争を持ち込もうとしてきた。そしてAthlonを発表することで新しいアーキテクチャを導入することができた」と述べた。

 また、「x86市場で戦うためにはMPUのデザイン、プロセステクノロジー、生産のキャパシティが必要であり、どれかが欠けていると退場することになる。現在、この3つを備えているのはAMDだけである」と述べた。また、IntelとAMDの日本市場でのシェアの推移を表で示し「'98年第1四半期には90.4%対4.6%だったのが、'99年第1四半期には82.8%対11.4%となった。我々の調査では'99年第2四半期ではさらに伸びている」とK6ファミリによる実績が挙がっていることを強調した。また、「世界のPCメーカーの上位10社のうち、Dellを除く9社ではすでにK6を搭載したシステムが商品化されている。すでにAMDのプロセッサはカスタマには認められており、Athlonを投入することでダイナミックなことが起きるだろう」と述べた。
シェア動向調査結果
Athlon 内部構成図
Athlonファミリの構成

 続いてサム・ローガン リージョナル・マーケティング・マネージャーが登壇し、「AMDは'97年6月のK6の発表以来、小売り市場を中心に実績を挙げている。Athlonは新しい世代のブランドとした、企業市場などの新しいセグメントに合わせた展開を行なう」と述べた。「“Athlon”は小売り市場向けのハイパフォーマンスPC向けのブランドであり、この市場向けの低価格PCには“Athlon Select”、企業市場向けにはハイパフォーマンスPCが“Athlon Professional”、サーバー/ワークステーション向けには“Athlon Ultra”というサブブランドを付けて展開する。各サブブランドは、キャッシュ容量やマルチプロセッサへの対応によって差別化される」と述べた。各サブブランドの仕様や発売時期については未定とした。


 ・MPEG-1(6.4MB)
 ・RealVideo 56k(1.3MB)
 600MHz AMD Athlon(左)とPentium III 600MHz(右)のベンチマークデモ

 さらにAthlonのアーキテクチャを紹介し、同一構成のPentium III 600MHzとAthlon 600MHzのシステムを並べベンチマークテストを公開、約1割ほどAthlonの方が処理速度が速いことを示した。

 質疑応答の際に「AMDは良い製品を作っているのに、なぜ赤字なのか」という質問に対し、吉沢俊介取締役は「Celeronをぶつけられて、下のセグメントに抑えられてしまったのが大きい。結果的にAMDが予定していた収益はエンドユーザーの皆さんに低価格という形で還元されてしまった。また、市場では高速=高クロックであり、クロックによってセグメントされてしまうということがわかった。Athlonではその反省もふまえてクロックを上げやすいような設計となっている。Athlonは下から追い上げる形ではなく、上から抑えるような形で展開していきたい」という自信を感じさせる回答だった。

 なお、Athlonの1,000個ロット時の国内価格は650MHzが110,370円、600MHzが79,950円、550MHzが58,370円、500MHzが32,370円。搭載システムの販売は8月17日とされている。これは現状の同クロックのPentium IIIの実売価格よりも低い設定で、650MHzはPentium III Xeon 550MHzに近い設定となっている。

 また、現時点で製品化されているAthlon用のチップセットはAMD-750のみで、AMD-751ノースブリッジとAMD-756サウスブリッジから構成される。ユニプロセッサのみでマルチプロセッサには対応しない。また、メモリはPC-100SDRAMに対応する。一般的な機能に加え、AGP2X、Ultra DMA/66、ACPI 1.0などの機能も備える。当初の製品はこのチップセットを搭載したマザーボードが使用される見込み。

□日本AMDのホームページ
http://www.amd.com/japan/
□ニュースリリース
http://www.amd.com/japan/news/prodpr/nr9988.html
□製品情報
http://www.amd.com/japan/products/cpg/athlon/index.html

('99年8月10日)

[Reported by date@impress.co.jp]


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ウォッチ編集部内PC Watch担当 pc-watch-info@impress.co.jp