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元麻布春男の週刊PCホットライン

ハードディスクの最近の動向 その4



■ SCSIホストアダプタをインストールしている理由

 Windows 98を使っている筆者の仕事マシンは、ハードディスク、CD-ROMドライブ(実際はDVD-ROMドライブ)、SuperDiskドライブのすべてがATA/ATAPIを利用している。これは、主要なストレージデバイスすべてがATA/ATAPIであることに等しい。にもかかわらず、今も仕事マシンには必ずSCSIホストアダプタがインストールされている。もちろんその理由は、必要不可欠であるからにほかならない。

 ATA/ATAPIサポートに問題の少ない(全くないとは言わないが)Windows 98を利用しているにもかかわらず、SCSIホストアダプタが欠かせない理由は、外付けのストレージデバイスを利用したいからだ。ATA/ATAPIには、チャネル当りのデバイスが2台までという制約に加え、ケーブル長にも18インチ(46cm)を越えてはならない、という制約がある。これは事実上外付けデバイスが利用できないに等しい(ノートPC用CD-ROMドライブなど例外はあるが)。外付けストレージデバイスの接続に、将来は別のインターフェイス(USB 2.0あるいはIEEE-1394)を使う可能性が高いとしても、現時点ではSCSI以外に選択肢はない。

 では逆に、なぜ外付けのストレージデバイスが必要なのか。あるいは、なぜすべてを内蔵してしまわないのか、ということになる。

 一般にストレージデバイスを内蔵するメリットとしては、外付けの場合に不可欠なケースや電源といった、余分なパーツが要らないためコスト的に有利ということがすぐに思いつく。これに加えて、システムの起動時に必ずPC本体と同時に電源が入るため、電源の入れ忘れがない、ということもメリットとして挙げて良いかもしれない。だが、これは必ずしも良いことばかりとは限らない。実際に使われるかどうかにかかわらず通電されるということは、単に電気の無駄であるばかりか、デバイスにとって悪い影響を与える可能性があるからだ。

 大半のPCは、内部に冷却用のファンを内蔵している。中でも電源ユニットは、必ずと言って良いほど冷却ファンを内蔵しており、PC前面の隙間から取り込んだ空気を電源ユニットから排出する仕組みになっている。問題は、この「隙間」だ。PCケースには、最初から冷却を意図して隙間(スリット)が設けられている。しかし、隙間はこうした意図されたスリットばかりではない。リムーバブルドライブのメディア挿入口も立派な「隙間」として働く。

 PCの電源が入り、冷却ファンが回るということは、メディア挿入口からも空気がPC内部へ取りこまれるということである。だが、取りこまれるのは空気だけではない。空気中の埃も一緒に取りこまれてしまう。この埃が、リムーバブルドライブのメカ(ヘッド、スピンドルその他)に付着し、トラブルを引き起こす。特にこの問題は、筆者のように仕事場が住居を兼ねている場合(純粋なオフィスに比べどうしても埃が多い)に深刻だ。また、リムーバブルドライブを頻繁に利用するのであれば、定期的に繰り返されるメディアの挿入やイジェクトが、自然と埃をはらってくれるが、使用頻度が低いと知らぬ間に埃が蓄積してしまう。

 こうしたトラブルを避けるには、内蔵デバイスと外付けデバイスを、使用頻度に応じて振り分ければ良い。つまり、使用頻度の低いデバイスは外付けにし、使用頻度の高いデバイスを内蔵すれば良いことになる(もう1つ、システムの起動に用いるデバイスは内蔵、システム起動を行なわないデバイスは外付け、という原則も考えられるが)。具体的に言えば、筆者の場合、テープドライブとMOドライブが外付けデバイスだ。仕事マシンにインストールされているSCSIホストアダプタは、この2つのためにある。

 仕事マシンのデータディレクトリ(原稿や付随した図版データが収められている)は、基本的に1日1回、自動的にサーバーマシンにミラーしていることもあって、テープドライブを使ってバックアップするのは月に1回程度である(もう少し頻度を高めたいところだが、ついサボリがちだ)。MOにしても使用頻度という点では、あまり変わらない。ちょっとしたデータを書くという点で、MOは手軽なメディアだし、日本では最も普及した大容量リムーバブルメディアである(特に128MBのMO)。試作品の周辺機器のデバイスドライバが、メーカーからMOで提供されることさえある。ただ、その使用頻度はCD-Rの普及もあって、非常に少なくなってしまった。下手をすると、月に1度もないかもしれない。

 こうした月に1度程度しか使わないデバイスを仕事マシンやサーバーマシンのような、使用頻度の高い(ほぼ常時通電されている)PCに内蔵すると、アッという間に内部は埃だらけになってしまい、いざという時に役に立たない。専用マシンルームに設置されているサーバーや、毎日きちんとバックアップを行なうサーバーなら、テープドライブ等を内蔵しても良いのだろうが、筆者のところでは到底不可能な話だ。そのたびにシステムを再起動しなければならないとしても、外付けにして使う時だけ通電するというのが、最も合理的という結論に行き当たったのである。

 もちろん、この結論に達するまでには、痛い目にもあっている。現在は、DDS(DAT)のテープドライブを使っている筆者だが、以前はQICミニカートリッジのテープドライブをPCに内蔵していた。QICミニカートリッジは、テープの端を光学検出する仕組みになっており、テープはリールに固定されていない(この構造は大型のQICカートリッジと共通である)。この時よく泣かされたのは、片側のリールにテープを巻ききってしまう、というトラブルだ。こうなると、カートリッジを分解してテープをリールに巻きつける、という作業をメーカーにやってもらわない限り(自分でもできるだろうが保証がなくなる)、バックアップしたデータを読み出せなくなってしまう。筆者はドライブを内蔵したため、埃が光学検出用のセンサに付着し、テープ端の検出ができなくなってしまったのである。

 というわけで、現在筆者のところでは、ハードディスク、CD-ROM/DVD-ROMドライブ、SuperDiskドライブ、CD-Rドライブは内蔵、テープドライブやMOドライブは外付けという振り分けになっている。CD-Rドライブが内蔵になる理由は、CD-Rを焼く専用マシンを用意する都合からだ。実際にCD-Rドライブを利用するのは月に1回程度で、決して頻度は高くない。だが、専用機であるため、CD-Rドライブを使う頻度と、CD-Rドライブを内蔵したPCを利用する頻度は等しい。PCに対するCD-Rの利用頻度という点からすると100%になる。もし、専用マシンが用意できないのだとしたら、間違いなくCD-Rドライブも外付けにするだろう。

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[Text by 元麻布春男]


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ウォッチ編集部内PC Watch担当pc-watch-info@impress.co.jp