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西川和久の「モバイルマシン六つ巴の戦い!?」
~ おでかけ用メールマシンを選ぶ ~


全エントリーマシン

外出先で気軽にメールをやり取りするには!?

 最近どうも年のせいか? できるだけ用途を見極め簡単に済ませよう……と、何をするにしても横着になってきた。仕事の一環として筆者的に重要な、外出先でのメールチェックがその良い例であろう。少し前まで平気でThinkPad600を持ち歩いていたにも関わらず、モバイル環境は急速に小型軽量化が進む一方だ。そこで、今回は外出先でインターネット・メールを主に使うとき、どれが最適か!? を横並びに評価すると怒られそうなマシンまでわざわざ並べ一斉チェックを行った。

Text by Kazuhisa Nishikawa


●エントリーしたマシンは!?

 色々候補を考えた結果、今回は以下のような構成となった。ジャンル的に不足しているのは、IBM WorkPad、SHARPザウルス系と思われるが、これ以上一斉チェックすると、ちょっと大変なので今回は省略。なお、筆者の所有物はTOSHIBA DynaBook SS3010、HP Jornada 680、NTT DoCoMo N501iの三機種。PC Watch編集部持ちはNTT DoCoMo POCKETBOARD PLUS。メーカーよりお借りしたのが、FUJITSU INTERTOP CX300とHITACHI PERSONA HPW-600JCである。私物の場合思い入れもあり、偏った評価になる可能性もあるので、あえてここで公開することにした。多少バイアスをかけながら読んで欲しい。

TOSHIBA DynaBook SS3010
TOSHIBA DynaBook SS3010

OS Windows 2000 Professional β3(Build2031)英語版
CPU Mobile MMX Pentium 266MHz
メモリ 64MB/96MB
サイズ/重量 257×199×19.8mm(幅×奥行き×高さ)/約1.19kg(バッテリー含む)
屋外での見易さ ×
PCシンクロ度
バッテリー駆動 ×
コメント  筆者の連載で何度も登場しているので、今更紹介の必要はないだろう。購入したのは去年の「98インターネットショーin秋葉原」。丁度1年経ったことになる。ほんの数週間前までは、外出用のメールマシンとして主に使っていたものの、今回色々なパターンで試した結果、国内出張や撮影時の画像確認&メディアバックアップ程度にしか出番がなくなってしまうのは確実となった。

HITACHI PERSONA HPW-600JC
HITACHI PERSONA HPW-600JC

OS Windows CE H/PC Pro V3.0日本語版
CPU SH-4
メモリ 16MB/32MB
サイズ/重量 219.8×158.5×29.5mm(幅×奥行き×高さ)/約920g(バッテリー含む)
屋外での見易さ
PCシンクロ度
バッテリー駆動
コメント  CPUにSH-4採用、ATOK Pocket for Windows CE/USB/グラフィック・アクセラレータ搭載、cdmaOne対応など、現時点でかなりトンガったWindows CEマシン。今回紹介していないWindows CEマシンも含め、作動速度は最速を誇る。最大の欠点はSH-3用に書かれたアプリケーションと互換性が無く、対応アプリケーションは“画像閲覧ソフト「PictureShot」”“辞典ソフト「辞スパ for Windows CE」”など標準添付ソフトを除くと皆無に等しいことだろう。この点さえクリアできれば今年最強のWindows CEマシンになる可能性を秘めている。

FUJITSU INTERTOP CX300
FUJITSU INTERTOP CX300

OS Windows CE H/PC Pro V3.0日本語版
CPU MIPS系
メモリ 16MB/32MB
サイズ/重量 215.0×160.5×26.0mm(幅×奥行き×高さ)/約880g(バッテリー含む)
屋外での見易さ
PCシンクロ度
バッテリー駆動
コメント  おしゃれなボディーにVGA解像度の液晶パネル、PCシンクロステーション標準添付、オリジナルアプリケーション“MOBILESUITE”など、Windows CEマシンとしてなかなか魅力的なINTERTOP CX300。CPUはMIPS系でアプリケーションも豊富。実際使った感じも良好だ。ただ、速度面は解像度の関係もあると思うが、Jornada 680より気持ち遅い。CPUのパワーアップか、グラフィック・アクセラレータの採用が望まれる。

HP Jornada 680
HP Jornada 680

OS Windows CE H/PC Pro V3.0日本語版
CPU SH-3 133MHz
メモリ 16MB
サイズ/重量 189mm×95mm×34mm(幅×奥行き×高さ)/510g(バッテリー含む)
屋外での見易さ
PCシンクロ度
バッテリー駆動
コメント  メールのためだけにDynaBookを持ち歩くのが面倒になってきたので、自腹で購入した初めてのWindows CEマシン。ただ買いに行ったとき、横に同じ売値でINTERTOP CX300が並んでいて、「同じ値段なら解像度も高いし、キーボードも打ちやすいし……」と、散々悩んだ結果、後ろ髪を引かれる思いで、このJornada 680に決めたという経緯がある。そこで一度「INTERTOP CX300を試したい!」と、編集部にお願いして借りていただいたのが、もともと今回の企画だったのだ。

NTT DoCoMo POCKETBOARD PLUS
NTT DoCoMo POCKETBOARD PLUS

OS
CPU
Memory
サイズ/重量 155×86×22.5mm(幅×奥行き×高さ)/約205g(電池含む)
屋外での見易さ
PCシンクロ度 ×
バッテリー駆動
コメント  このレポートの企画ミーティングのとき、「もしよかったら使ってみて!」と、編集部から渡されたのが、POP3/SMTPも扱えるようになったPOCKETBOARD PLUSである。はじめは「エ~~!?」と思っていたものの、実際使い出すとかなり便利。iモード端末を購入するまでほとんどこればかり常用していた。特筆すべきは、バッテリー駆動時間。すでに預かってから、2週間以上にもなるが、まったくローバッテリーになる気配もなく、今も元気に動いている。Windows CEマシンを含め一般的なパソコンに毒されている人ほど、このバッテリーのもちには驚くだろう。

NTT DoCoMo N501i
NTT DoCoMo N501i

OS
CPU
メモリ
サイズ/重量 96×50×24mm(幅×奥行き×高さ)/約115g(バッテリー含む)
屋外での見易さ
PCシンクロ度 △携帯電話・PCリンクソフト使用。但し現状ではE-Mailアドレスを編集できない。
バッテリー駆動
コメント  「*502iが出るまでは絶対に買わない!!」と誓っていたのに、周りの友人があまりにも便利そうに使っているのを見て、ついつい買ってしまった。N501iにしたのは、他のiモード端末と比較して「表示文字数が多い!!」この1点。ただ表示文字数が多い分、欠点も目立ち、「スクロールが遅い(左サイドにある[ボイスサーチ][伝言/確認]キーでページングは可能だが、やはりスクロールが遅いのは我慢できない)」、「文字編集モードで、カーソルは左右にしか動かない」、「文字挿入ができず全て上書きになってしまう([マナー/メモ]キーで1文字づつスペースが挿入されるが、PC同様Insert/Overwriteモードがトグルして欲しい)など、入力が面倒なiモード端末において致命的とも思える欠点を持っている。更に買って1日目でバッテリーを抜かないとどうにもならないハングアップと遭遇。一見携帯電話に見えるが、中身はかなり高度な処理を行なっているためありうる話であるが、携帯電話がハングアップしたのは5年以上DoCoMoユーザーである筆者にとってはじめての経験だ。

※ここに並んでいる順番は、下から順に筆者が評価期間中、実際持ち歩いた時間の長いマシンである。当たり前であるが、携帯電話と一体化しているiモード端末は他の5機種と比較して桁違いに長時間持ち歩いた。


●汎用OS搭載マシン vs 専用機

サイズ比較
サイズ比較(上から)
N501i
POCKETBOARD PLUS
Jornada 680
PERSONA HPW-600JC
INTERTOP CX300

DynaBook SS3010
 
 外出用メールマシンを決めるにあたって、1番の問題は「潰しが利く汎用OS搭載マシン」を選ぶか? 「専用機」にするか? の選択だろう。本来「DynaBookが更に小型軽量化し、バッテリー駆動時間も数倍に……」と、いいたいところであるが、それは今の技術では絶対不可能。特にバッテリー面については絶望的だ。となると、Windowsと親和性が高いWindows CEマシンに矛先が向くのは自然な成り行き。そこで試したのは“速度優先”、“解像度優先”、“サイズ優先”の3パターンとなった。

 まず環境設定を開始し、はじめに気になったのは、PCと接続する“Windows CEサービス”。Windows 95/98/NTとWindows CEマシンの間でファイル転送はもちろん、共有フォルダやOutlookのデータをレコード単位で同期する便利な機能だ。標準設定のままシリアル経由で接続すると、転送速度は19,200bps。ちょっとしたファイルを転送するのも時間がかかり、設定を触って115,200bpsへ変更する必要があった。この件は、全てのマシンが同じだったので、Microsoft側の設定そのままだと思われるが、今時これは考え物だ。

 次にPocket Outlookでメールを読んだところ、思いっきり遅い。どうやらWindows CEサービスとシンクロナイズする部分がオフ・ラインにも関わらず何かやっているらしく、そこでタイムロスが発生している。更に、もともとWindows CEはVGA未満の解像度に合わせて設計されている関係上、画面を分割しながらメッセージを表示するプレビューウィンドにPocket Outlookは未対応。その名残が最大800×600ドットにまで対応したH/PC Pro V3.0でも受け継がれているのには正直驚いた。なぜINTERTOP CX300や今回試していないNECのWindows CEマシン(Mobile Gear)にオリジナルのメールソフトが付いているのか!? やっと理解できた。これではPocket Outlookは、はっきりいって使い物にならない。Jornada 680のようにPocket Outlookしか搭載していないマシンでは、フリーウェアのQMAIL、Village Centerから出ているPocket WZ MAILなどを使えばかなり効率アップする。また、HotmailのようにHTTPプロトコルベースの無料メールを利用するのも1つの方法だ。

 メールの設定も終了し、Pocket Internet Explorerでホームページを見ているとき、256色表示になっていることに気が付いた。「確かH/PC Pro V3.0ではHiColorに対応し、ハードウェア的にもOKなハズなのに256色……。どうして!?」と、Windows CE FAN  *1 で調べた結果、レジストリの

HKEY_CURRENT_USER\Software\Apps\PocketIE\Use16bppDIBs=0

を“1”にすればOKという情報を得て、実験したところ全てのマシンで有効であった。もちろんレジストリを触るにはレジストリエディタが必要であり、筆者はMicrosoft純正のPowerToys 3.0を使用。HiColorにするとメモリをより多く使用するので標準設定は256色になっていると思われるが、その変更をPocket Internet Explorerからできないとはなんとも情けない話である。更にPIAFS64Kで通信しているにも関わらず画面表示が妙に遅い。これはマシンスペックというより、Pocket Internet Explorer本体レンダリングエンジンの問題であろう。Windows版Internet ExplorerだけでなくWindows CE版も、もっと気合を入れて開発していただきたいものだ。

 以上のように少し触っただけでも、Windows CEサービス、Pocket Outlook、Pocket Internet Explorerといった、一番使われるであろう3大アプリケーション、しかもMicrosoft純正がこんなお寒い状態では、パソコンに詳しい人ならともかく、初心者から見て「値段の割に遅い! 使い難い!」と判断するには十分な内容だ。それを自ら証明するかのように、コントロールパネル→システムを見ると、Pocket OutlookとPocket Internet ExplorerはROMではなく、メインRAMのファイルシステム上にへ置いてある。何時でも新しいバージョンへ切り替えできる状態をはじめから想定しているのだろうか。

 “Windows CEマシン三つ巴の戦い”は、予想通り、“速度”、“IME”など色々な意味において単体だとPERSONA HPW-600JCが一番使い易かった。ただし、PCシンクロステーションが無く、せっかくUSBがあるにも関わらず、PCへの接続はシリアルもしくはネットワーク経由。Windows CEサービス自体がUSB未対応なので仕方がないかもしれないが、今後の検討課題だろう。付属アプリケーションを含めトータルバランスのいいのはINTERTOP CX300だ。できの悪いPocket Outlookを排除するかのように作られたMOBILESUITEもGood。惜しむべきは速度面。PERSONA HPW-600JC並の速度になればかなり印象は違ってくると思われる。携帯性ではもちろんHP Jornada 680の圧勝。PIM中心であれば特にストレスも感じない。流石にこの解像度で一般的なWebサイトを見るのはちょっと辛いが、Hotmailだけなら十分実用範囲である。いずれにしても「自分にとって何が一番重要か!?」をはっきり見極め選択するといいだろう。

*1 “Windows CE FAN”は、Windows CEに興味のある人必見のサイトだ。裏技である文字出力の高速化など、面白い話題で一杯。是非アクセスして欲しい。

 さて次は専用機の番だ。流石にどちらもパソコンを知らない人でも簡単に扱えるようかなり工夫されている。八方美人ではない専用機の強みだろう。特にPOCKET BOARD PLUSは侮れない存在。キーボードの左上に[ワンタッチメール]キーを備え、携帯電話へケーブルを接続、それを一発押せば、大量にメールが無い限り約1分で自動ダイアル→認証/接続→メール送受信→回線切断と、一連の作業が終了する。もちろんWindows CEマシンでも1つのキーにファンクションを割り当てる機能があるので、同様の操作は可能であるが、お気楽度はPOCKET BOARD PLUSの方が圧倒的に上。下手に「接続したついでに!!」と、ブラウザを動かさない分、余計な通信費もかからないという話もある。

 しかし色々使っていると、「やはりブラウザも欲しい」、「簡単なPIMがあればもっと便利」、「PDCは通話料が高いのでPIAFS32/64Kも対応して欲しい」など欲が出てくる……と、書いている最中にまさにピッタリのマシンが発表された。NTT DoCoMo「Browser Board」である。ベースがSHARPのコミュニケーションパルなので、IrDAを使ったPC接続もOK、しかも実売3万円を切りそうな価格設定だ。出荷日に速攻で買ってみよう!!

 最後は思いっきりのダークホース。iモード端末。筆者は基本的に第一世代のマシンには手を出さない主義であり、ズルイかも知れないが、ライター特権(?)で興味のあるものはお借りするケースが非常に多い。説明するまでもなく、*501iシリーズはiモード発表後の第一世代機。そういった意味では*502iが出るまで待ちを決め関心を示さないようにしていた。が、今回のレポートと、たまたま機材を買いにフラ~っとよったカメラ屋で「機種変18,800円待ち時間30分!!」の看板を見た瞬間、うかつにも買ってしまったのだ。更に購入した2日後には“好きな名前@docomo.ne.jp”のサービスがはじまり、開始時間の12日(月)4:00amに合わせて起床。希望する名前を一発でゲット。その後は、Remote MailMoCoAstron200iEmCm実用すくりぷとん……など、iモードのメールサービスに関係しそうなサイトを片っ端から調べ、最終的に会社の.forwardを触りEmCmへ転送、フィルタリングとメッセージ圧縮をした後、筆者のiモードメールへ送信するように設定した。

 また、HTTPタイプのメールサービスを使って感じたのは、「PCからのアクセスも考慮して欲しい」ことだ。メールの整理、アドレス/署名の登録/変更など、わざわざあの入力しにくいキーボードを使いパケット料を気にしながら設定するのは外出時だけにしたい。唯一Astron200iはこの点を考慮しPCからのアクセスも可能。ぜひ、競合他社も是非検討していただきたいと思う。ただし、HTTPタイプのメールサービスは、後述する理由によりパケット効率が非常に悪く、コストアップするので現時点では使っていない。

 筆者のiモードメール環境は整ったが、残された問題は、

1)“Reply to all”ができない。
2)メールヘッダーの“Reply-to address”が設定できないので、iモードメールで返信すると、常用しているメールアドレスにならない。

この2点。これらは基本的にメールアプリケーションで対応する内容であり、現状の*501iではどうにもならない。*502iでは対応していただきたい項目だ。

PCシンクロステーションと充電器
PCシンクロステーションと充電器
手前がINTERTOP CX300用
奥左が
Jornada 680用
奥右はN501i用充電器
 
POCKETBOARD PLUS起動直後の画面
POCKETBOARD PLUS起動直後の画面
 
N501iでiモードメニューへ入ったところ
N501iでiモードメニューへ入ったところ

●気になるデータ通信料

 各マシンの素性がわかった上で、次に気になるのはランニングコスト。つまり通話料金を含めたインターネット接続料だ。いくら便利でも本気で使うと直ぐに購入した端末の金額を超えてしまうのでは洒落にならない。そこで簡単にまとめて見ると以下のような表になる。

  PIAFS64K
デジタル
PDC 9600bps
アナログ
iモードパケット通信(9600bps)
デジタル
1分間に転送可能なデータ量 438KB 72KB 72KB
1分間の通話料金 15円
166使用時・全国均一
約31.5円 *1
平日昼間・同一都県内・一般電話
168.75円(但し、連続転送時)
全国均一
PIAFS64K基準の1byte単価比 ×1 ×約12.6 ×67.5
短いメールの送受信 15円(1分)
166使用時・全国均一
10円(19秒) *1*2
平日昼間・同一都県内・一般電話
1.4円(500bytes/4パケット) *3
全国均一

*1 但し、この数字は通話料金だけであり、プロバイダ接続料金は含まれていない。
*2 モデム同士のネゴシエーション、ID/PWの認証時間も含めると20~30円かかる可能性大。
*3 但し、実際はメールにヘッダーが付くため、数パケット増える可能性がある。

 まず“PIAFS64K基準の1byte単価比”に注目して頂きたい。連続転送を仮定した場合、iモードのパケット料金は実に1:67.5という驚くべき比率となる。もちろん、iモードはパケット通信なので、接続時間は関係なく、データ転送量に応じて1パケット(128bytes)/0.3円。この料金設定が、高いか安いかは読者の判断にお任せする。従ってこの表は不公平だと批判を浴びそうであるが、パケット通信の基本は、

1)区切り符号(例えば[CR])一文字で1パケット使う。
2)1パケットに満たない場合、ある一定の時間を過ぎると自動的に1パケット扱いにする。

この2点。確かにパケット通信は見ている時間が長いWebに一見最適と思われがちであるものの、iモード用に作られたコンテンツを行き来すれば一目瞭然。1パケット毎に割ると128bytesに満たないデータや、番号の選択/[OK]/[Cancel]など区切り符号の頻繁に発生するケースが多く、想像以上にパケットの無駄遣いが行なわれている。面白くて長時間触っていた関係もあるが、筆者はN501iを購入してたった2日間で2,000円以上を使ってしまった。これはPAIFS64Kなら約2時間に相当する金額。日頃インターネットしている感覚ではそんなに使っているとは思えない。

 取り消し線の部分は筆者の間違いです。iモードの場合、通常のパケット通信のパターンとは違い、1ヶ月間の総データ転送量を128bytesで割った値に0.3円を掛けたものが通信料金となります。詳細はここを参考にして下さい。筆者の中途半端な知識により、多方面の方々にご迷惑をおかけしました。ここにお詫びして訂正します。

 iモードという発想自体は素晴らしいものであるが、本気でiモード用のコンテンツを広く一般に普及させたいのであれば、「連続転送時でPDC 9,600bps+プロバイダ接続料金と同等程度に設定」、もしくは「上りのパケット料金を安くする」など、何か対策をしないと、ユーザーは予想もしなかった金額の請求書を受け取り、途方に暮れることになるだろう。「iモードって高価なおもちゃですよね! [(c)法林岳之]」といった厳しい意見さえも出るほどだ。

 逆に直接端末へ転送されるiモードメールは、「あのキーボードから文字入力するのは面倒」 *4 、「1メッセージ最大500bytes」の関係で1メール約1円とかなり安い。実際、購入3日目以降はiモードメールしか使っていないので、一日のパケット使用料は100円前後に落ち着いている。プライバシーの関係から問題になっていた“電話番号@docomo.ne.jp”のメールアドレスも、7月12日(月)4:00amから“好きな名前@docomo.ne.jp”が使えるようになり、一件落着。少なくともメールだけを使うのであれば料金的に非常にお勧めであることは間違いない。

*4 面倒なキー入力に関しては、本体内蔵の定型文を駆使したり、署名に「今iモードからなので、詳細は後ほどご連絡します。」といったメッセージを埋め込めむことによってある程度回避できる。更にその範囲を超える内容に関しては、メールに入っている電話番号へカーソル持っていくと自動ダイアルする機能で電話すれば済む話だ。


●結論

 さて、約1週間、とっかえひっかえ各機種を使い、この原稿を書いている今日現在、最終的にiモード端末のN501iに落ち着いている。筆者の場合、原稿や画像ファイルのやり取り以外は、届いたメールに対して“Yes”or“No”の意思決定を即座にしなければならないケースか、そのまま読み流す内容が最も多く、タイムラグ無くダイレクトにメールが届くiモード端末は何よりも便利。しかも携帯電話を持って出ないことなど絶対になく、確実性という意味でもほぼ100%だ。残念ながら、先に書いた問題点が残っている関係で希望する環境には達していないが、それでもほとんどのケースはこれ1つで何とかなる。もちろん人によってメールの内容や用途が違うので、Windows CEマシンやPOCKET BOARD PLUSの存在を否定するつもりはなく、万人向けの答えでないのは十分承知の上での結論だ。

 まだまだ不満点もあるiモード端末であるが、きっと*502iになる頃にはかなりの部分が解決されているだろう。料金形態も含め、今後の進化に期待したい。

[Text by 西川和久]


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ウォッチ編集部内PC Watch担当 pc-watch-info@impress.co.jp