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このコーナーでは、窓の杜編集部の協力を得て、Windows用のさまざまなオンラインソフトを月ごとにテーマを決めてレビューします。今月のテーマは電話関連オンラインソフトです。掲載は毎週木曜日を予定しています。 【編集部】 |
■ISDNでナンバー・ディスプレイを体験しよう
発信した相手の電話番号を表示する、ナンバー・ディスプレイが登場してからかなりたつが、このサービスを個人で実際に使っている人は、あまりいないのではないだろうか。なにしろ利用するには月々の利用料が必要だし、ナンバーディスプレイ対応電話に買い換えたりと、いろいろコストがかかる上に、いたずら電話が多くて困っている、といった特殊な場合を除けばあまりメリットがないからだ。しかし、ISDN回線を使っているユーザーにはちょっとした抜け道がある。ISDNにはもともと番号通知機能があり、相手がISDN、もしくは携帯電話/PHSの場合ならば、発信者の番号がわかるのだ。とはいえ、これはTAの小さな液晶に表示されるだけなので非常に見づらいし、TA自体が隠れていて見えない人もいるだろう。そんなときは、このTA-Diverを使って、パソコン上で表示してみよう。
■TA-Diverの使い方
TA-Diverが対応しているTAは、現在NECのAtermIT50以降のAtermシリーズ、NTTのINSメイト V-3、V-7だ。ただしIT60シリーズの場合、USB接続では動作しない。INSナンバー・ディスプレイに加入している場合は、もちろんアナログ回線からの着信でも番号表示が可能だ。
起動すると、最初に環境設定画面が現われるので、TAが接続されているシリアルポート、速度、TAの会社名と製品名、そして接続しているTAで使っている電話番号をセットしよう。ナンバー・ディスプレイの契約をしている場合は、[オートチェック機能]をチェックして、チェックする周期を設定する。分、秒、ミリ秒単位で設定ができるようになっているが、普通はデフォルトの5秒程度でいいだろう。
設定が終わったら、つぎは[着信]タブを押して、着信時のアクションを設定する。着信するとウィンドウがポップアップして表示を行なうわけだが、このポップアップ秒数を1~30秒の間で指定できるようになっている。着信した番号をファイルに保存しておきたい場合は[ログを記録する]にチェックを入れ、ファイル名を入力しよう。保存されるファイルは普通のテキストファイルなので、適当な名前でいい。[着信ベルを鳴らす]をチェックすると、着信時にWAVファイルを鳴らすこともできる。これは発信者が番号通知をしているかどうかによってパターンを設定し、それぞれ別のサウンドを指定しておくことも可能だ。
[その他]のタブから[起動時にタスクトレイに入れる]にチェックしておくと、さらに[前回終了時以降に着信があった場合は表示する]ことも可能だ。基本的に最小化状態で待機するプログラムなので、これはチェックしておくべきだろう。これで一通りの設定は終了なので、あとは電話がかかってくるのを待つだけだ。携帯やPHS、またアナログポートに電話機をつけているなら、さっそく電話をかけて試してみよう。
TA-Diverの起動中に電話が着信するとウィンドウがポップアップし、発信者の電話番号、そして未登録の番号から着信した場合は「不明」と表示される。この時設定されていれば呼び出しサウンドも鳴る。ウィンドウは、呼び出している間ゲージが伸びて、指定のポップアップ時間が経過するか、電話を取ると自動的に閉じる。
着信後にタスクトレイのアイコンをクリックするとウィンドウが開くので、下に並んでいるボタンの中から[ユーザーリスト]ボタンを押すと別ウィンドウが開き、ユーザーリストに着信した電話のデータ一覧が表示される。表示される内容は名前と読み仮名、電話番号と回線の種別、携帯やPHSの場合はキャリアも分かるようになっている。ここに「不明」というユーザー名で、今かかってきた電話番号の行があるはずだ。その行をクリックすると、上に内容が表示されるので、相手の名前を入力しよう。この電話番号専用の着信音を指定することも可能で、その場合は設定の[着信ベルを鳴らす]で[通知者毎]を選択しておこう。入力が終わったら、[追加/更新]ボタンを押し、最後に必ず[保存]しておくのを忘れないようにしよう。この設定が終われば、次回の着信からは電話番号とともに名前が表示され、それぞれ違った着信音が鳴るわけだ。データは電話が着信するごとにどんどん増えていくので、必要ならば名前を登録し、いらないデータは[不明者削除]で一括削除してしまおう。
■デザインの変更も自由自在
TA-Diverのウィンドウは、Skinと呼ばれるイメージセットで自由に変更できる。インストールされたフォルダ内に[skins]というフォルダがあり、その中の[Default]フォルダ内に標準のデータがある。標準ビットマップと、UI.TXTという設定ファイルの組み合わせで構成されており、それぞれのパーツの位置やカラーなどを指定できるので、自由度は非常に高い。[skins]フォルダ内に、同様の設定をしたフォルダを作れば、環境設定の[表示]タブから、スキン名のドロップダウンボックスから独自のデータが選択できるようになる。しかし、設定に関する細かい仕様が明らかにされていないので、標準のデータを参考に、最初はボタンや表示の位置はそのままに、背景画像などから少しずつ変更してみよう。
■最後に
このソフトは試用評価版のため、現在はサポートしている機種も少ないが、ほかのメーカーのTAでもナンバー・ディスプレイ対応機種ならば、機能を呼び出すためのATコマンドとその結果を作者に伝えれば対応してくれる可能性もある。詳しくはヘルプの[サポート]の項目をチェックしよう。
終了時にデータの保存を行なわなかったり、着信用の長いサウンドが鳴りっぱなしになるなど、細かい部分で気になる部分もあるが、番号表示に関する機能的にはすでに完成しているといっていいだろう。それになんといっても便利で面白い。ちょっとした設定で、かかってきた電話の時間がすべてデータとして残しておけるし、パソコンから最新のナンバー・ディスプレイ機能付き電話よろしく「XXさんから電話です」なんて声が聞こえてくるようにすることもできる。とりあえず、対応しているTAのユーザーならば一度試してみて損はないはずだ。
□作者のホームページ
JS-ANGEL Software
http://hello.to/jsangel/
[Text by 鹿山雅志]